清原逮捕で注目の長渕剛が芥川賞作家・柳美里と「原発」批判対談! 被災地に身を置いた二人の怒りの声を聞け

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 さらに二人は生き物だけでなく「土」にも着目し、この事故によって失ってしまったものの大きさを語る。この夏、音楽業界の話題を独占した「長渕剛10万人オールナイト・ライヴ2015 in 富士山麓」でも披露されている新曲「富士の国」には〈「家族」という土を踏みならして生きてきたんだ〉という歌詞があるが、長渕はその歌詞についてこう発言している。

「土にこだわったと思います。土はもともと誰のものでもないということですね。白人たちがインディアンたちの土地を収奪する時代に、酋長がその国の代表者に宛てた手紙を読んだことがあるんです。これは涙が出ました。言葉で言うと稚拙ですけどね。「土地は誰のものでもない。なぜそれを追い払おうとするのか」という、嘆願書みたいなものです。その手紙を見たのと、震災の後にあの土地に入った時の悪寒や恐怖感、おかしいと思ったこと、そういったものが総合的に「富士の国」の歌詞に入ったんだと思います」

 長渕が語る「土」に対する思い。それは実際に南相馬に居を移し、生活のリアリティを実感している柳美里にとっても同じものだった。

「福島県民にとって土が損なわれた、というのがやはり一番大きな問題だと思います。除染では、4、5センチの表土を削るわけですが、その厚さに作物にとって必要な養分が入っている。表土を削り取ると、有機物が欠乏した痩せた土壌になってしまう」

 事故によって土は汚され、動物たちも犠牲になった。そして、もう故郷に帰ることができない人々を大量に生みだしたのにも関わらず、8月には川内原発が再稼働。この動きはさらに他の原発にも波及しようとしている。喉元過ぎれば熱さ忘れると言うにはあまりにも短い。3.11からまだ数年しか経っていないのにも関わらず、この国はまた悲劇を生み出そうとしている。そんな状況に長渕はこう怒りをぶちまける。

「自国にプライドを持ちたいという気持ちが皆ある。だけど国は嘘をつく。僕たち民衆はいつも国家に裏切られる」

 富士山麓オールナイト・ライヴではオーディエンスによって日の丸が振られ、ネットで拡散されたその写真は「カルト」と揶揄されたりもしたが、柳美里は旗が振られている様子を見てこのように感じたと言う。

「日の丸の振り方に仰天しました。(中略)富士オールナイトライブで振られた日の丸は、日本が自国の国土と国民を蔑ろにしている、という憤怒と抗議によって振られたものなのですね」
「ファシストはあんな風に前後に、拳と一緒に突き上げるようには振らないですよ。戦時中に出征兵士を見送る時や、ヘイトデモでは左右にパタパタひらひら振っている。富士ライブでの旗の振り方は内心からのストレートな怒りを表現している。他国の国旗でも、あんな風に振られたのは見たことがない」

 福島で起き、そして今でも現在進行形で起きている悲劇を、自ら被災地に飛び込むことで理解しようとした長渕剛と柳美里。私生活での毀誉褒貶とは関係なく、この思いはしっかりと受け止めるべきだろう。
(新田 樹)

最終更新:2017.11.24 08:35

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