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3・11を忘れるな! 被災地と原発の現実
優木まおみ、岸博幸も…復活した原発広告に文化人や芸能人がまたぞろ登場! 500万円の高額ギャラも
また、第14回(15年3月5日号)では、ドイツ在住の作家で『住んでみたヨーロッパ 9勝1敗で日本の勝ち』(講談社+α新書)なる“日本スゴイ本”の著者、川口マーン惠美がお目見え。ドイツ人は「ロマン主義的思考」としたうえで、「そのロマンが、やみくもな脱原発に走らせたのではないか」などとトンデモ理論を唱えながら脱原発政策を批判している。
続く第15回(15年4月23日)には、嫌韓本も多数出版の経済評論家・三橋貴明が、エネルギーの「ベストミックス」を猛プッシュ。「国家のエネルギー安全保障」として「もし、中東や東南アジアと日本にまたがる長いシーレーンのどこかで有事が発生するようなことになれば、日本の電力供給がたちまち危機的状況に陥る」など、安保法制の議論で安倍政権が喧伝していたことと重なるのが興味深い。
そして、第16回(15年7月30日号)のラジオDJなどで活躍するモーリー・ロバートソン、第17回に前出の勝間ときて、16年に入ると、第18回(16年3月3日号)で評論家の佐藤優が登場する。佐藤は、専門である外交分野、とりわけ中東情勢を語りつつ、“天然ガスの大半を中東に依存している日本でエネルギー問題は深刻”“エネルギーミックスは我が国のとるべき唯一の戦略”などと強引に原発推進へ話を持っていく。さらに、青森県六ヶ所村の核燃料サイクルを視察して「強く感じたのは働く人たちの道徳心と士気の高さです」なる“根性論”を理由に“六ヶ所村施設の存在そのものが、日本が国際社会から信頼を得ている証明”などと語っている。ちなみに、佐藤に関しては、つい先日も青森県の地方紙・東奥日報3月2日付の電事連全面広告に出演しており、やはり“核燃料サイクルは日本に不可欠”と力説している。
新手の“原発文化人”はまだまだいる。15年12月12日付の産経新聞および日経新聞掲載の電事連広告には、元経産官僚の岸博幸・慶応大学大学院教授とタレントの春香クリスティーンが登場。春香の質問に岸が答えるかたちで、やはり「停止した原子力発電所の代わりに古い火力発電所が頑張っていますが、原子力に比べて多くのCO2を排出します。一方、太陽光を始めとする再生エネルギーでは、今のところ電力の安定供給ができません」などと原発を推進。もちろん事故や汚染リスクなどについては完全にシカトだ。
ちなみに岸は、原発事故直後には「脱原発依存」の旗手だった。保守系オピニオン誌でも〈民間も国も、日本の組織は原子力という危険な技術を管理する能力がなかったことが証明された〉(「WiLL」11年8月号/ワック)、〈エネルギーは、投資を増やすほど技術進歩が早くなります。その意味では政府が再生可能エネルギーに対し、予算を集中投下することが重要〉〈太陽光パネルに関しても、送電所がたくさん増えればある程度、生産コストは下がると思いますよ〉(「Voice」11年9月号/PHP研究所)などと、原発に否定的かつ再生エネルギーを肯定的に語っていたのだ。どうやらPR広告への出演で意見を原発推進に180度変えた、そういうことらしい。
また、この電事連広告での対談相手(と、言っても岸の説明に首肯するだけだが)である春香クリスティーンは、本サイトでも既報の通り、産経系メディアが昨年大々的に展開したNUMOのパブ記事にも登場。これは「高レベル放射性廃棄物の最終処分」なるシリーズで、春香の他、増田寛也、科学作家の竹内薫、哲学者の萱野稔人、社会学者の開沼博、そして「iRONNA(いろんな)」の特別編集長として活躍中の現役女子大生・山本みずきなどなど、タレントや学者らによる座談会やインタビューで“核のゴミ”問題を語らせている。
このとき、NUMOは公式サイトでご丁寧にも媒体別にパブのターゲットを「ビジネスマン層」や「オピニオンリーダー層」などと明記していたが、他にも産経メディアでは、主婦や家族向け地域タブロイド版「リビング」に、“カリスマ予備校講師”の細野真宏を起用した電事連の全面広告が掲載されるなどしている(「リビング多摩」15年3月28日付で確認)。原発広告に起用するタレントや学者を媒体や読者層に合わせて変え、とりわけ春香や開沼など、リベラルな読者も持っている人物を起用しているのが興味深い。
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