米軍ヘリ墜落事故でわかった安保法制もうひとつのリスク…自衛隊員が戦死しても真相は隠蔽される!

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 つまり、安保法制による集団的自衛権、後方支援は、この米軍と自衛隊との不平等な関係が実際の戦場へと広がっていくことを意味するのだ。

 こういうシナリオが考えられる。南シナ海や中東で自衛隊が米軍に弾薬提供や給油を行なった際、米軍側のトラブルにより事故が起こり、自衛隊員が巻き込まれて死亡したとしよう。日本国民は事故の原因究明を望むが、アメリカ側は軍事機密を理由に開示をこばむ。このとき、安倍政権は米軍に対し、情報公開を求めるだろうか。

 表面上は求めるかもしれない。だが、アメリカの国防上の理由を盾に断られることは目に見えている。そして、日本政府は何かしら言い訳をしながら曖昧化し、自衛隊員が死んだという情報しか国民にもたらさない。日米地位協定が何度も見せてきた問題をそのまま繰り返すだけだ。

 もっと極端なケースも考えられる。たとえば、米軍が自ら敵艦を攻撃しながら、攻撃を受けたという誤情報を流し、自衛隊が集団的自衛権を発動して戦闘行為に参加してしまった場合。米軍はこの情報を開示するだろうか。これまで中東でやってきた誤爆を見ても分かるように、米軍がそれを認めるというのは考えられない。そして、日本政府も米軍の言いなりになって口をつぐむだろう。

 これは妄想で言っているわけではない。その証拠に、安倍首相はあれだけ安保法制の必要性と片務性の解消を謳っているのに、日米地位協定の不平等性については一言たりとも言及していない。これで「戦後レジーム」からの脱却などとのたまうのだから呆れるが、おそらく安保法制下での自衛隊の活動も、いままでと同じく、アメリカ様の言うことに反射的に首を縦にふるだろう。連中はアメリカに従うことが「国益」になると言ってはばからないのだから。

 本サイトでも何度も指摘してきたとおり、安保法制は自衛隊員が戦闘行為に巻き込まれ、戦死するリスクを飛躍的に高める。だが、それだけなく、彼らがなぜ死んだのか、という情報すら、国民には知らされないということが起こりうるのだ。

 日本と同じように米軍と地位協定のあるイタリアやドイツでは、改定のたびに主権を回復しつつある。他方の日本は、いまだに軍事領域ではアメリカの“飛び地”のままだ。

 こんな状況を無視したまま、集団的自衛権の行使を認め、アメリカの戦争に加担しようとする安倍政権に「国益」を語る資格はない。
(宮島みつや)

最終更新:2015.08.20 07:16

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