教科書に安倍首相の写真が15枚も! 政権お墨付き育鵬社の“歴史修正、改憲誘導”教科書が公立中学で採択続々

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「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」は「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」という憲法の前段落を受けた箇所だ。つまり、記述の前提にあるのは平和維持にかかわる世界的趨勢であり、件の箇所は他国への圧迫へとつながる利己的な国家主義への戒めとして解釈するのが正確だ。引用の方法が実に恣意的である。

「日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が~」以下は国会に提出された改正案のなかで新設された存立危機事態のことを示していると思われる。しかし、「他国に対する武力攻撃が発生した場合」や「必要最小限度の実力行使」はどのような基準で判断されるのか。「ホルムズ海峡での機雷の敷設」と繰り返す安倍政権だが、実際には政府のより主観的な判断で武力行使がなされる危険性が世間からさんざん指摘されている。

育鵬社_憲法改正1.jpg
『新編 新しいみんなの公民』より


 欄外ではセーラー服を着た女子中学生のイラストが吹出しで「憲法改正について世の中の人はどう考えているのかな」とつぶやいているが、右隣には憲法について「改正するほうがよい」が約半数(51%)という結果を示す読売新聞・世論調査結果のグラフつき。印象操作以外の何物でもないだろう。

■安倍政権のための安倍政権による教科書

 念のため、関東近郊の中学・高校で社会科の授業を担当する現役の教員数名にも、育鵬社の教科書を読んでもらった。

 都内の高校で非常勤をつとめる26才の女性教員は、公民の教科書冒頭に記載された曽野綾子のコラムに眉をしかめた。グローバル化をテーマにした章なのだが、にもかかわらず「人は1つの国家にきっちりと帰属しないと、『人間』にもならないし、他国を理解することもできない。『地球市民』なんていうものは現実的にはあり得ない」と、国家に帰属できない人々を全否定するかのような内容に「外国にルーツを持っていたり、難民である子どもたちへの想像力が欠けている。国際化が進む状況のなかで、時代遅れにもほどがある」と話す。

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