戦後70年談話で迷走、安倍首相が怯える「天皇のお言葉」…天皇から憲法軽視と歴史修正主義への批判が?

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 当然、こうした動きに官邸は神経を尖らせ、宮内庁を通じて天皇の意向を探らせているようだが、なかなかうまくいっていないという。なぜなら、宮内庁はあくまでも天皇サイドで官邸に情報をあげないようにしているというのだ。これも深読みすれば、天皇の「ご意向」ということなのかもしれない。

 そういえば、安倍首相のブレーンとして知られる憲法学者の八木秀次氏が産業経済新聞社発行の月刊誌「正論」(14年5月号)で「両陛下のご発言が、安倍内閣が進めようとしている憲法改正への懸念の表明のように国民に受け止められかねない」「宮内庁のマネジメントはどうなっているのか」と、暗に天皇・皇后を批判する事件もあった。水面下で、安倍官邸と天皇サイドの暗闘が続いていたとも受け取れる。

 だが、安倍首相がどんなに策を弄しても、天皇が現政権の進める軍拡、改憲路線に賛同することはあり得ないだろう。なぜなら、天皇の平和に対する信念や憲法に対するスタンスは、安倍首相やその取り巻きたちとはまったく真逆のものだからだ。そのことがよく分かるのが、学習院大学教授・斉藤利彦氏の近著『明仁天皇と平和主義』(朝日新書)だ。教育史を専門とする斉藤氏が明仁天皇の自己形成の道程とそこから生まれた平和への希求について考察している。

 天皇の平和主義の原点は、その圧倒的な戦争体験にある。天皇は1999年の「天皇陛下ご即位十年に際し」の記者会見で、次のように述べている。

「私の幼い日の記憶は、3歳の時、昭和12年に始まります。この年に盧溝橋事件が起こり、戦争は昭和20年の8月まで続きました。したがって私は戦争の無い時を知らないで育ちました」

 70年前の終戦の日の直後には、当時皇太子だった明仁天皇の疎開である日光に陸軍東部宇都宮連隊の少佐参謀と中佐が現れ、皇太子の引き渡しを要求してきた。彼らは天皇(昭和天皇)の降伏宣言を認めず、明仁皇太子を天皇として徹底抗戦を続けると主張した。〈「天皇の軍隊」であったはずのものが、一夜にして「軍隊のための天皇」へと一変する(中略)そうした現実政治のリアルさを、少年として身をもって感じとった〉(前掲書より)という。

 まさに、天皇が軍部のクーデターの当事者にされそうになった瞬間だった。こうしたリアルな戦争体験もった人物は、安倍首相をはじめとする安倍政権の閣僚にも、取り巻き一派にもひとりもいない。最近はアニメやゲームでしか戦争を知らないような若手自民党議員が「戦争へ行きたくないなんて身勝手だ」などと発言しても、党としていっさいお咎めなしだというから、お話にならない。

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