芥川賞有力! 又吉直樹に樹木希林が「『火花』読んでないけど、読んだ人が『好きじゃない』って」と…

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 純文学の寵児である又吉にいまこんな辛いコメントを言えるのは樹木希林しかいない。さらに、「芸人」である又吉についてもこう語る。

樹木「バラエティを観たら、何にも発言しないのね」
又吉「してますよ、ちゃんと」
樹木「してるけど、別にそんな劇的な面白さもないし。ああ、こういう人でもやっていけるんだなあと思ってね。でもちょっと心配はしてたのよ。なんかファッションで注目されてるみたいだし、いなくなったら寂しいなあって」

「そんな劇的な面白さもない」って、当たってるだけに……。しかし、これは彼女流のブラックジョーク。実は、樹木希林は又吉の文才を高く評価している。又吉がせきしろと共著で出版した自由律俳句集『カキフライが無いなら来なかった』(幻冬舎)についてこう評した。

樹木「あれを読んでもう、本当にひとりでウケてね。歳をとると、あんまりビッシリ字が書いてあると読めないの。だからあのくらい空きがあると、ああ、いいなあと思って読み始めたら、あなたの太宰治のくだりがね、もう笑ったなあ」
又吉「あ、ホントですか」
樹木「うん。笑ったっていうだけじゃなく、ものを視る視点っていうのが面白いなあと思って」

 ちなみに、彼女の語る「太宰治のくだり」は、おそらく「ファーストキスが太宰の命日」の句と、それに付随するエッセイのこと。

 太宰治が入水自殺した日と又吉のファーストキスの日が同じ6月13日だったり、太宰の妻と又吉のキスの相手が同じ「みちこ」という名だったりといったことが続き、太宰の文章を読んで「なぜこの人は僕の個人的なことを知っているのだろう」という妄想に憑かれた彼は、ひょっとしたら自分は太宰の生まれ変わりではと思い、占い師に前世を見てもらいにいく。すると、その答えは、太宰ではなく、「バッタ」であったというエピソードだ。

 そんな話が出てくる通り、又吉と樹木希林をつなぐキーワードは「太宰治」。

樹木「太宰治の本ではどれが一番好きなんですか」
又吉「そうですね。一番好きなのは『人間失格』ですね」
樹木「ああ。私は『お伽草子』を読んで、ああ、この人はただ堕落して書いて、ただ女と入水自殺したんじゃないんだなと思ったんです」

 このように、太宰治の話で意気投合。さらに、樹木希林は又吉と太宰に重なるものがあるとすら評価する。

樹木「人をよく見てる。そこがあなたに通じるものだわよね。ああいう人がよしもとに入ったら、今だったら生きるでしょうね。売れるし、モテるし、自殺しているひまないよね」

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