セクハラでっちあげ、親の介入、備品持ち帰り…「モンスター社員」増殖の理由とは?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

 とある食品製造会社の、コンプライアンス崩壊ぶりは酷い。なんと製造した食品の賞味期限が切れそうになると、賞味期限シールを張り替えて出荷することを指示されるという。経営陣は「特に問題なく食べられるのだから大丈夫」と開き直っている。このような会社には、やはりモラルの低い社員が集まってくる。そのなかにあって、普通の従業員は適当に合わせることもできず、会社の方針に不満を溜め、反抗的になる。なかには会社の方針に納得できず、社長に意見したことで煙たがられ、適当に理由をつけて解雇されてしまった社員もいる。コンプライアンスの低い会社は正当な意見を言った社員をモンスター扱いしたり、不満を募らせてモンスター化していくことがあるという。

 このように、普通のいい人が環境によってモンスター化する可能性がある以上、採用前にモンスター予備軍を100%見抜くのは不可能だ。

 この本が示唆するのは、非常識な社員と旧体制の会社が繰り広げるドタバタ騒動だけではない。著者はモンスター社員が生まれる要因についてこう書いている。

「『その人が、仕事やプライベートも含めた人生に満足しているかどうか?』という点だ。『やりがいのある仕事をして、いい同僚に恵まれ、思いやりのある友人や家族に囲まれている』という人で、実はモンスター社員だった、という例を私は見たことがない」

 こう指摘されると、なにやら落ち着かなくなる人も少なくないのではないか。程度はさまざまだが、人生に満足している、と言い切れる人がいったいどれほどいるだろう。実際、著者も、モンスター化する一因としてコンプレックスを挙げているが、「どんな人でも、多かれ少なかれ自分に対するコンプレックスを抱えている。しかし、それが極端に大きくなると、コンプレックスから自分を守るために、周囲の人間を攻撃する人がいる」と書く。

 そう考えれば、少々極端だが、誰もが時限爆弾を抱えていて、それが職場の環境や思わぬきっかけで暴発するかもしれない、とも思える。取り上げられている様々な事例はどれも「そんなバカな」と呆れもするが、同時にどこか誰でも思い当たるようなもので、同じシチュエーションだったら、似たようなことをする人は結構いるのではないだろうか。働く人の多くにそんな因子が内包されていて、あるいはすでに他者からその存在を気づかれているかもしれない。

 著者は、こう結んでいる。

「モンスター社員が出現した際は、ある意味で企業が成長するチャンスであると考える。その対処方法を模索する中で、モンスター社員だけの問題でなく、職場の様々な問題が浮き彫りになることもあるだろう。問題から目をそむけず、正面から向き合う事で、きっとよりよい職場環境となっていくだろう」

 数々の修羅場を踏みながら、あるいは踏んだからこそ言える前向きな姿勢なのかもしれない。カイシャの覚悟が問われる。
(相模弘希)

最終更新:2016.08.05 06:40

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

あなたの隣のモンスター社員 (文春新書)

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

セクハラでっちあげ、親の介入、備品持ち帰り…「モンスター社員」増殖の理由とは?のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。コミュニケーション相模弘希の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
いいね! 数
1 安倍首相が「サイバー攻撃受けただけで武力行使可能」と宣言
2 長谷川豊が「プロ、犯罪の」と部落差別発言
3 幻冬舎・見城徹社長に寄せられた作家の批判総まくり!
4 百田尚樹vs古市憲寿、ウソついたのは
5 葵つかさが「松潤とは終わった」と
6 『朝生』で百田尚樹が徹底論破され大恥
7 玉川徹が『バイキング』の小室圭さんバッシングの嘘を批判!
8 秋篠宮家の料理番がブラック告発
9 丸山穂高「戦争」発言で長谷川豊、百田尚樹がマスコミを批判
10 「佐藤浩市が安倍を揶揄」の炎上は言いがかりだ
11 グッディ高橋克実が北朝鮮危機で本音
12 百田尚樹『日本国紀』批判で出版中止の津原泰水に直撃
13 『報ステ』がまた政権批判アナ排除
14 佐藤浩市をフェイク攻撃した安倍応援団が批判殺到で逃亡
15 佐藤浩市がテレビの右傾化に危機感表明
16 読売が出会い系通い記事批判に失笑反論
17 安倍が再びバノンから「偉大なヒーロー」と
18 瀬戸内寂聴がさらに激烈安倍批判
19 ジャニーズが“2.5次元”に危機感
20 DT浜ちゃんの息子がシティボーイ!?
1国民健康保険料が大幅値上げ、年間10万円増額も
2安倍首相と省庁幹部の面談記録ゼロ!安倍政権“公文書破壊”の実態
3石野卓球がワイドショーに勝利した理由
4忖度道路めぐり安倍の直接指示の新事実が
5安倍首相が「桜を見る会」に『虎ノ門ニュース』一行を堂々招待
6安倍が“忖度道路”の要望書を提出、山陰自動車道でも利益誘導
7上野千鶴子「東大祝辞」へのワイドショーコメントが酷い!
8 塚田「忖度」発言は事実! 麻生利益誘導の疑惑
9イチローに国民栄誉賞を断られ安倍政権が赤っ恥
10野党議員をデマ攻撃「政治知新」の兄・自民党県議を直撃!
11NHKで国谷裕子を降板に追い込んだ人物が専務理事に復帰
12維新勝利で橋下徹が「反対した年配の人が死んじゃった」
13中村文則が安倍政権批判に踏み込む理由
14 『あさイチ』の「中高生に韓国が人気」企画炎上の異常
15 安倍首相「桜を見る会」招待状が8万円で売買との報道!
16菅官房長官「令和おじさん」人気の正体!
17ゴーン逮捕“国策捜査説”を裏付ける経産省メール
18「あつまれ!げんしりょくむら」以外も…原子力ムラの醜悪SNS戦略
19衆院補選で安倍自民党が大惨敗の予想が!
20 ピエール瀧出演の『麻雀放浪記2020』に“安倍政権への皮肉”

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄