仕事内容はウソ、奴隷並みの扱い…中高年の派遣労働のブラックすぎる実態を体験ルポ!

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『中高年ブラック派遣 人材派遣業界の闇』(中沢彰吾/講談社現代新書)

 多くの大企業が新卒採用には意欲的と伝えられている2015年の日本。しかし、中高年になればなるほど、厳しい労働環境が待ちうけているのは変わらない。

 リストラで正社員の地位を追われた。老親の介護のために会社を辞めて田舎に帰った。賃金カットで住宅ローンが払えなくなった。年金が少なくて生活できないなど様々な事情で困窮する中高年だが、「へたに中高年を採用すると売り上げに響く」という説がまことしやかに囁かれ、ひとくくりに忌避される。時給1500~2000円といった好条件の職場は「中高年はお断り」で、すんなりと採用されるのは時給800~900円といった低賃金の警備、清掃、介護ばかりだ(警備、清掃、介護は「三種の辛技」と言われている)。

 さらに、経済的に困窮する労働者の足元を見て、大ウソの就業条件をうち、低コストで人集めをする企業も多い。劣悪な労働環境で働かざるをえないのだ。

「扱うモノがモノなので女性が多く、明るく楽しい職場ですよ」という謳い文句で集めた「化粧品の検品」。ところが、現地に行ってみれば、真っ赤なウソで、実際には、大手印刷会社の倉庫内で5時間えんえんとカレンダー作り……。

「お菓子の工場での製造補助。女性に大人気の職場。パティシエにお菓子作りを教えてもらっちゃいましょう」という洋菓子工場の仕事。ところが、現地に行ってみれば工場街の一角にある灰色の建物、実際の仕事は消毒液の塩素ガスがたちこめる密室内でひたすら6時間、イチゴのヘタとりをさせられた……。

 ウソが横行する派遣の広告と、ウソと気づいても働かざるをえない中高年労働者の現実に迫ったのが、『中高年ブラック派遣 人材派遣業界の闇』(中沢彰吾/講談社現代新書)だ。元毎日放送アナウンサーという異色の経歴を持つ58歳のジャーナリストが試験監督・学会運営補助・検品などの日雇い派遣バイトを自ら体験し、労働法無視の奴隷労働の現場に迫っている。

 たとえば、さきほどの「化粧品の検品」と騙って集められた「カレンダー作り」は、タコ部屋同然の監禁労働だ。

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