自業自得! ワタミを業績不振に追い込んだブラック経営の手口を振り返る

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ワタミ株式会社公式サイトより


 2014年11月〜2015年3月期の連結最終損益が30億円の赤字(前期は49億円の赤字)になるとの見通しを発表したワタミ。従来の20億円の黒字予想から一転、2期連続で赤字となる。メディアでは「若者の居酒屋離れ」「消費増税の影響」などと報じられてているが、ワタミがここまで大幅に業績を落としたのはやはり、従業員に対するブラックな雇用実態が知られるようになったためだろう。

 弁護士や学者、ジャーナリストなどの識者が選出する「ブラック企業大賞2013」で大賞に選ばれ、ワタミ創業者である渡邉美樹のブラック経営にも批判が集まった。その結果、イメージを大きく落とし、主力の居酒屋「和民」などの客が激減。今期の店舗閉鎖は100店に増えた。

 しかし、ワタミはいったい具体的にどんな手口でブラック経営を行ってきたのか。「我々はブラック企業に殺されないために、渡邉美樹の手口を知り尽くさなければならない」と指摘するのは、『ワタミ・渡邉美樹 日本を崩壊させるブラックモンスター』(中村淳彦/コアマガジン)だ。

 同書によると、ワタミの手口はこうだ。「地球上で一番たくさんの“ありがとう”を集めるグループになろう」といったグループスローガンを掲げ、「社員の幸福」「夢を叶える」といった美辞麗句をうたい、若者たちを集める。ワタミの社内冊子『理念集』では美辞麗句の一方で、「365日24時間死ぬまで働け」、「出来ないと言わない」などと社員に呼びかけ、巧妙に社員の夢とワタミの野望「1兆円企業」を同一化し、「ワタミを辞めた者は、夢を諦めた者」と洗脳していく。そして、徹底したコストカットと低賃金で異常な長時間労働を強いるのだという。

 その結果、さまざまな場所で事故や不祥事が起き、不満や批判が噴出する事態となっている。同書はそういったワタミで起きている実態もまとめているので、紹介しておこう。


■ワタミの実態その1 居酒屋経営では長時間労働で自殺に追い込む!■

 08年6月、4月に新卒で入社したばかりの居酒屋店舗勤務の20代の森美菜さんが、長時間労働、長時間拘束により抑うつ状態に陥り、自宅近くのマンションから飛び降り自殺をした。

「ワタミは事実関係の提供を拒んだが、納得のいかない森さんの両親が勤務状況を調べあげて、1カ月の残業時間が140時間という膨大なものである証拠を掴んでいる。一般企業の常勤の労働時間は160~180時間程度なので、おおよそ一般社会人の2倍の労働をしていたことになる。国が認定している過労死ラインは残業80時間以上。ワタミはその危険ラインを大幅に超えて働かせ、入社2カ月、たった60日間で森さんを壊してしまっただけでなく、命まで奪ってしまったのだ」
「店舗での長時間労働に従事して、やっと家に帰れば課題である渡邉美樹の著作を読み、感想文を書く。やっと休日かと思ったら介護施設でボランティア労働を強制されて、店舗への出勤時間となる。眠る時間もない。まさに地獄である」

 亡くなった森美菜さんは「地球上で一番たくさんの“ありがとう”を集めるグループになろう」というグループスローガンに共感にして入社したのだが、結果的には、その理念に食い尽くされてしまったのだ。

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