【追及!セブン‐イレブン商法 第2弾】

マスコミタブー!?日経新聞が報道しなかったセブン‐イレブンの敗訴判決

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 消費期限の迫った商品を値引きする「見切り販売」はスーパーではよく見かけること、しかし、コンビニエンスストアでは、「価格への信頼性を損なう、同一商品で“一物二価”の不信感、同一チェーン同士の価格差による価格競争の可能性、ブランドイメージの失墜」などの理由で難しいとされている。また、商品の「廃棄ロス」分は売上原価に加算せず、その分のロイヤリティも加盟店側が支払うという、コンビニ独自の「ロスチャージ会計」システムがあり、セブン本社側にとっては加盟店に「見切り販売」されるよりも「廃棄ロス」が出るほうがロイヤリティが多くなる。

 一方で、「見切り販売」では売上原価に加算されてしまい、粗利に一定のチャージをかけた本部に払うロイヤリティは少なくなってしまう。つまり、本部に流れ込むカネの事情から、「見切り販売」は否定すべきものなのだ。

 2000年代、本部の「ドミナント出店」の影響などによる売上の減少から、一部加盟店は「見切り販売」に乗り出したが、セブン側はこれを「見切り販売をしたら店は続けられない」などと発言し、妨害。この妨害に関しては、09年、公正取引委員会はセブンが立場の差を利用して、加盟店の見切り販売を制限したと認定し、独占禁止法違反の排除措置命令を出している。セブン側もこれを認め謝罪している。

 この経緯から、一部加盟店はセブン本部の違法性に対して総額1億4000万円の損害賠償を求め提訴した。高裁は13年8月、同社従業員が原告らに対し、「見切り販売をしたら加盟店契約を更新できないことを示唆した」などと指摘し、妨害行為を認め、総額1140万円の賠償金の支払いを命じた。今年10月14日には最高裁第3小法廷が賠償を命じた東京高裁判決に対するセブンの上告を退ける決定をした。賠償額は減額されたものの、最高裁で加盟店側の主張が認められることになった。セブンの裁判では初めてのことだ。

 これで、見切り販売は加盟店側が堂々と行えるかといえば、それも難しそうだ。実は、9月25日には最高裁で、別の福島県の元加盟店オーナーが訴えた「見切り販売」訴訟は上告棄却され原告側が敗訴になったばかり。事案ごとに本部社員や加盟店側の対応によって、妨害行為と認定されるかどうかが変わってくるのだ。

 また、「本部にたてつく加盟店の近隣には、“ドミナント出店”と称して、もう一店新規出店させて、売上を減少させる」(ジャーナリスト)などのセブン側の対応もあり、見切り販売を行うことが事実上難しくなっていることが現実だ。

「あいててよかった」というCMのフレーズに代表されるセブンの便利さだが、フランチャイズ加盟店の犠牲に成り立っているというわけだ。

 なお、日経が、「値下げ『妨害』でセブン敗訴確定 最高裁、上告退ける」という小さな記事を掲載したのは、その日の夕刊だった。朝刊でも朝日が「『見切り販売妨害』確定 最高裁 セブン-イレブン敗訴」と3段見出しで扱った他は、読売、毎日で囲み記事と小さい扱いだった。各新聞社はセブンにとって524億円という莫大な広告宣伝費(2014年2月期 決算補足資料)を投入してくれる大スポンサー様なうえに、店頭売りで販売経路も握られている。配慮が働いたのは明らかだろう。
(小石川シンイチ)

【追及!セブン‐イレブン商法シリーズはこちらから→(リンク)】

最終更新:2015.01.19 04:49

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