ヘイトスピーチの原点、関東大震災「朝鮮人大虐殺」の実像に迫る

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
gyakusatsu_140831.jpg
『九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響』(加藤直樹/ころから)

 路上やネットに響き渡るヘイトスピーチ、本屋に山積みにされる嫌韓本、毎週のように週刊誌を飾る嫌韓特集……。これらの主張をひとつひとつ見てみると、そこにあるのはもはや歴史認識や主義主張の問題ではないことがよくわかる。捏造と妄想によって韓国・朝鮮人に対する憎悪、恐怖が煽られ、グロテスクな差別感情が一気に噴き出しているだけだ。

 この風景を見て想起させられるのが91年前の9月1日のできごとだ。1923年9月1日午前11時58分。マグニチュード7.9、震度7の巨大地震、関東大震災に乗じて、日本でもジェノサイド「朝鮮人虐殺」が起きたのである。

 倒壊・焼失家屋約29万3000軒、死者・行方不明者10万5000人以上に及ぶ壊滅的被害が広がる中、始まりは、人々の間で「朝鮮人が井戸に毒を投げ入れている」「放火している」という不穏な噂が駆け巡ったことだった。

 この噂は何の根拠もないデマだったが、瞬く間に広がりを見せる。そして噂を信じた日本人は自警団を組織して、朝鮮人たちを襲い、次々と虐殺していったのだ。民間人だけではなく、警察、軍もそれに加わり、当時の警察が立件しただけで233人、実際は少なく見積もっても1000人以上の朝鮮人・中国人が虐殺された。

 ところが、ここにきて“嫌韓ブーム”にのってネトウヨ、保守派の間で、こんなストーリーが出まわり始めている。

「当時、実際に朝鮮人の暴動があったのは間違いがない。その暴動を鎮圧する過程で虐殺にエスカレートした」
「共産主義の国際団体のコミンテルンが日本で革命を起こすために、朝鮮人に暴動を煽った」

 日本人だけが悪いわけではない、虐殺には正当な理由があったという謀略論である。さらには、虐殺そのものを否定する『関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった!』(加藤康男/ワック)なる嫌韓本まで登場した。

 歴史修正主義者やレイシストたちが侵略戦争の次に、このジェノサイドまでをなかったとことにしようと企図しているわけだが、一方で、こうした状況に危機感を抱いて一冊の本が出版され、話題になっている。『九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響』(加藤直樹/ころから)だ。

 この本の中心をなしているのは、虐殺事件の解説や歴史的分析ではない。著者は読者に「現実」を感じてもらうため、ひたすら当時の証言や記録を集め、事細かにそれを紹介していく。しかも、それは、公文書や軍の資料、戦後の検証記録はもちろん、被害者の朝鮮人、目撃した一般住民、さらには作家の芥川龍之介や国学者である折口信夫の証言まで、多岐にわたったものだ。

 そうした資料からは、無抵抗な朝鮮人たちが虐殺されていった様子が想像以上に生々しく浮かびあがってくる。たとえば、当時、文芸評論家・中島健蔵が神楽坂で目撃した虐殺はこのようなものだ。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

ヘイトスピーチの原点、関東大震災「朝鮮人大虐殺」の実像に迫るのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。エンジョウトオルネトウヨ嫌韓の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 バイデン大統領就任でも日本のトランピストのフェイクは止まらない
2 河野太郎の「ワクチン接種5月」デタラメ呼ばわりこそフェイクだ
3 菅首相が「明るい話聞いた」相手は「コロナはインフル並み」が持論
4 蓮舫の菅首相演説事前公開はルール違反じゃない おかしいのは批判する側だ
5 特措法・感染症法の改正案が酷い 嘘の申告した感染者には懲役も
6 ノーベル賞・本庶教授が「PCR検査の大幅な拡充」訴えるも厚労省は…
7 安倍は原爆の日も核兵器禁止条約を黙殺
8 萩生田文科相が芸者あげてノーマスク会食! ワイドショーは追及せず
9 ぼうごなつこ『100日で崩壊する政権』は安倍政権のインチキの記録
10 もはや権力の「中の人」…御用ジャーナリスト5位〜2位、大賞を発表
11 葵つかさが「松潤とは終わった」と
12 櫻井よしこ、西岡力、文春…朝日・慰安婦報道叩きのデタラメが次々露呈
13 安倍政権でも菅政権でも権力大好き! 御用ジャーナリスト大賞10位〜6位
14 読売新聞「菅首相が疲労」報道は安倍政権末期にもあった官邸の作戦
15 小倉優香の番組中「辞めさせてください」の本当の理由は番組のセクハラ
16 菅首相のポンコツが止まらない!「変異種」を忘れ、患者を「お客さん」
17 松本人志『ドキュメンタル』のセクハラ
18 吉村知事のずさんな政策決定と責任転嫁の手口を“8割おじさん”西浦教授が暴露
19 ポイント還元でも307 億円…安倍政権の電通優遇はネット情報操作の見返りか
20 麻生太郎が愛人の店に2360万円
1菅首相のポンコツが止まらない!「変異種」を忘れ、患者を「お客さん」
2ノーベル賞・本庶教授が「PCR検査の大幅な拡充」訴えるも厚労省は…
3もはや権力の「中の人」…御用ジャーナリスト5位〜2位、大賞を発表
4菅首相ポンコツ会見で「国民皆保険の見直し」というグロテスクな本音ポロリ
5吉村知事のずさんな政策決定と責任転嫁の手口を“8割おじさん”西浦教授が暴露
6特措法・感染症法の改正案が酷い 嘘の申告した感染者には懲役も
7安倍政権でも菅政権でも権力大好き! 御用ジャーナリスト大賞10位〜6位
8河野太郎の「ワクチン接種5月」デタラメ呼ばわりこそフェイクだ
9菅首相 緊急事態宣言の記者会見で露呈したヤバさ!結婚式みたいなセリフが
10 菅首相が「明るい話聞いた」相手は「コロナはインフル並み」が持論
11蓮舫の菅首相演説事前公開はルール違反じゃない おかしいのは批判する側だ
12 読売新聞「菅首相が疲労」報道は安倍政権末期にもあった官邸の作戦
13バイデン大統領就任でも日本のトランピストのフェイクは止まらない

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄