近代文学はダメ男だらけ! ここ100年でもっともトホホな男は誰だ?

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★第3位 コンプレックスをこじらせた中二病男 『トニオ・クレーゲル』トーマス・マン

「感受性の強い自意識過剰な青年が、あーでもないこーでもないと、ぐじゅぐじゅぐじゅぐじゅぐじゅぐじゅ、いつまでも思い悩む小説」(本書より)。ドイツ人商人の父と南国生まれのイタリア人母との間に生まれたトニオくんが、金髪碧眼のゲルマン民族=マジョリティへのコンプレックスをネチネチネチネチ発酵させていく姿は、まさに中二病炸裂。三十路過ぎても自分の悩みだけで頭がいっぱいなこじらせ系ダメ男トニオ、わりあい美形なだけに惜しい!


★第2位 キモメンからサイコまでダメ男見本市 『カラマーゾフの兄弟』ドストエフスキー

 好色でデブでキモメンの父親、金と女にだらしない長男、頭でっかちでプライドが高い次男、純真バカで乙女な三男。さらにはこの三兄弟と異母兄弟疑惑がある陰湿なサイコ男。世界文学の巨人ドストエフスキーが残した大長編は、実はバラエティ豊かなダメ男の見本市。どこまで読み進めても誰とも付き合いたくないのがすごい。ここに登場するダメ男たちに比べたら、あなたの周囲のダメ男たちなんて可愛いもんかも?


★第1位 野心と卑屈と妄執が同居する最強ドリーマー男 『グレート・ギャツビー』フィッツジェラルド

 レオナルド・ディカプリオ主演でド派手に映画化された記憶も新しい『グレート・ギャツビー』は、言ってしまえばダメ男の野望一代記。貧しい出自から成り上がり、かつて愛した女性デイジーを取り戻すため、ダーティーな商売に手を染めて大金持ちになったギャツビー。それもこれも「愛のため」と言えば聞こえはいいが、実際のところギャツビーが執着したのは生身のデイジーではなく、自分が憧れ続けた世界の象徴としてのデイジーだ。信じたいことだけを信じ、見たいようにしか世界を見ない。一歩間違えばストーカーになってもおかしくない粘着質なドリーマー男。行動力があるだけにこういう男が一番厄介だ。

 本書では他にも多種多様なダメっぷりが炸裂。男を見る目が確実に鍛えられるので、現在進行形でダメ男に悩まされている女子はぜひ読むべし。すっぱり斬り捨てるガッツがもらえるかも?
(阿部花恵)

最終更新:2014.09.16 07:58

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