菅首相はやはり消費増税をするつもりだ! 内閣官房参与にコロナ禍の真っ最中、政府税調で増税を主張したエコノミストを抜擢

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首相官邸HPより


 菅首相が、本日13日付けで、内閣官房参与6名を新たに任命した。菅政権の内閣官房参与には、政権発足直後の9月25日に、飯島勲氏ら4人が安倍政権からひき続き再任されたほか、安倍政権の“影の総理”今井尚哉・元首相補佐官がすでに任命されていたが、今回新たに6名が任命されたもの。

 新たに任命されたのは、財務省出身の高橋洋一・嘉悦大教授、外務省出身の宮家邦彦・立命館大名誉教授ら安倍・菅応援団をはじめ、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会メンバーも務める岡部信彦・川崎市健康安全研究所所長、村井純・慶応大教授、経団連の中村芳夫顧問、そして大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストといった面々だ。

 宮家氏や高橋氏は安倍・菅応援団論客として様々なメディアで安倍政権擁護、政権批判叩きをしてきたことで有名。安倍政権に続いて菅政権でもお友だち人事が引き継がれることには驚きこそないが、気になるのは、内閣官房参与という明確な政権内部側になった人間を、メディアがどう扱うか、だ。

 ちなみに宮家氏は、本日夕方放送の『Live News イット!』(フジテレビ)にも、普通にコメンテーターとして出演していたが、まさかこのまま出演し続けるのだろうか。

 柿崎明二氏の首相補佐官就任に続き、メディアと政権の癒着体質については今後も注視したいが、今回の内閣官房参与人事ではもうひとり、本サイトが注目した人物がいる。

 経済・金融の分野を担当するという大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストだ。熊谷氏といえば、菅首相が就任直後の週末9月21日にさっそく会談していたが、安倍政権時代から政府税制調査会特別委員や総務省「情報通信審議会」委員など数々の政府委員務めている人物。

 熊谷氏が特別委員を務める政府税調では、今年8月、コロナの影響を受け、消費増税を中核に議論をすべきなどという意見が出されていたのだが、実はこの消費税増税を主張していたのが、まさに熊谷氏だったのだ。

 コロナの影響で経済が落ち込むなか、各国が消費税にあたる税の減税を打ち出しているなか、消費税増税とは正気とは思えないが、実はほかでもない菅首相じたいが消費増税を狙っているという見方は根強く囁かれてきた。

 実際、総裁選最中の9月10日には「これだけの少子高齢化社会、どんなに私どもが頑張っても人口減少は避けることはできない。行政改革を徹底して行った上で、消費税は引き上げざるを得ない」と発言。このときは批判の声が上がったため、翌11日になってあわてて「将来的な話として答えた」などとごまかしたが、消費税増税を強く訴える熊谷氏を内閣官房参与に起用した今回の人事は、やはり菅首相が消費税増税を本気で検討しているということではないか。

 本サイトでは、今年8月、熊谷氏の消費税増税をめぐる発言をはじめ政府税調の議論を詳報した。以下に再録するので、あらためてご一読いただきたい。
(編集部)

***************
https://lite-ra.com/2020/08/post-5565.html

首相の諮問機関「政府税調」がコロナ対策の財源確保と称し「消費税増税」を検討

 8月7日に発表された6月の実質賃金は4カ月連続で減少して前年比1.9%減、6月の消費支出も前年比1.2%減少となり、新型コロナが生活に与える影響が深刻化している。それでなくても昨年10月の消費税の税率引き上げによって国民生活は大きな打撃を受けていたが、そこにコロナが追い打ちをかけるという悲劇的な状況だ。

 そんななか、永田町では「景気悪化を受けて、安倍首相が消費減税の是非を問うことを大義にして秋にも衆院解散・総選挙に打って出るのでは」という噂がくすぶっているが、ところがどっこい、政府では耳を疑うような議論がおこなわれていた。

 というのも、8月5日に時事通信が「「消費増税中核に」政府税調、財政悪化を懸念」とタイトルに打った記事を配信したのだ。そこにはこう書かれていた。
〈政府税制調査会(首相の諮問機関)は5日、ウェブ会議方式で総会を開催した。
会合では新型コロナウイルス対応で財政悪化が一層深刻となっていることを懸念し、「消費税増税を中核に据えた、骨太の議論が必要ではないか」といった意見が出た。〉

 この状況下にあって、安倍首相の諮問に応じる内閣府の審議会では、消費税減税ではなく、なんと「増税するべき」という議論がおこなわれている、というのである。

 本サイトでも、問題の政府税制調査会の審議中継を確認してみたが、この発言をおこなったのは、大和総研専務取締役である熊谷亮丸氏だった。熊谷氏は“人災だったリーマン・ショックとは違ってコロナは天災の色彩が強い”と言うと、こうつづけたのだ。

「(天災のため)責任をなかなか追及することができないので同調圧力が強くて、もう野放図にですね、歳出の拡大圧力、財政の悪化がつづくと。こういうリスクがあるわけでございますから、財源の調達の機能、とくに消費増税を中核に据えた、まあそういう骨太の議論がですね、必要ではないか」

イギリス、ドイツ、ベルギー、オーストリアなど世界各国は大幅減税しているのに

「歳出拡大の同調圧力が野放図につづく」という言い草も酷いが、それを理由に「消費増税を中核に据えた議論が必要だ」とは、まったく開いた口が塞がらない。新型コロナの影響で収入が減って家計が圧迫されるなかで増税などすれば、さらに国民の生活は追い込まれ、消費はもっと冷え込み、内需がボロボロになることは明々白々ではないか。

 実際、世界では多くの国が減税に舵を切っている。

 たとえば、ドイツでは半年間、日本の消費税にあたる付加価値税を19%から16%に引き下げ、食料品などに適用されている軽減税率も7%から5%に引き下げ。また、イギリスも7月15日から半年間、レストランやホテル、映画館などの利用でかかる付加価値税を20%から5%にまで大幅に引き下げている。同様にベルギーでも、レストランやホテルなどを対象に12%から6%に引き下げた。このほか、オーストリア、チェコ、ケニアなども減税に踏み切っており、7月22日時点で税率引き下げや納税免除などの減税措置をとっている国は19カ国にものぼる。

 減税措置によって打撃を受けている産業に刺激を与え、雇用を守り、同時に家計の負担を減らす。事実、ドイツの減税措置では日本円にして月1万4000円余りの家計負担が減るといい(NHKニュース7月2日付)、ドイツのショルツ副首相兼財務相もこう述べている。

「消費を底支えするには速度が必要だ。期間限定なのは速度が必要だからだ。人々は買い物に行き、生活への自信も復活するだろう」(しんぶん赤旗7月24日付)

 さらに、新型コロナの影響で大きな煽りを受けているのは低収入の非正規雇用者だが、消費税は低所得者であるほど負担が重くなる逆進性がある。つまり、いま消費減税をおこなうことで、コロナの影響を大きく受けている生活が苦しい人たちの負担を減らすことができるのだ。
 ところが、この国は感染拡大の最中に、感染をより広げる「Go Toトラベル」などという世紀の愚策に税金を注ぎ込んでいる上、コロナを理由に「増税するべき」などという意見が政府の審議会から飛び出す始末。

政府税調では「せっかく10%まで税率をあげたのに」「消費減税は格差助長する」のトンデモ意見が

いや、それだけではない。政府税制調査会では、「増税」を口にした熊谷氏のみならず、土居丈朗・慶應義塾大学教授もまた、こんなことを主張していたからだ。

「せっかく10%まで税率をあげて社会保障の財源ということが国民にも合意を得ながら税率をあげてきて、ところがその消費税率の引き下げというものが、まだいまだに待望論のようなものがあるわけですけれども、むしろ消費減税をすることによって格差拡大を助長するということをまず国民にしっかりと訴えるべき」

 世界の国々が減税措置をとるなか、「増税すべき」「減税は格差を助長すると国民に訴えろ」などと主張する──。この世界との逆行ぶりは、検査の問題とも重なる。世界の多くの国や地域が検査数を増やすことで感染を封じ込めようとし、実際に成果もあげているが、人口100万人あたりの検査件数のランキングで、世界215の国・地域などのうち、日本は155位(7日時点)。目もあてられない状況となっているからだ。

 今回の「増税すべき」という意見が出たことを伝えた時事通信の記事をリツイートしたひろゆき氏は〈庶民は生かさず殺さずで、増税するのは江戸時代から変わってないですね〉とつぶやいていたが、検査の問題しかり、政府の審議会で増税が叫ばれることしかり、ようするにこの国において国民は虫けら同然にしか扱われていないということなのだろう。

最終更新:2020.10.13 09:46

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