辛坊治郎が「新宿区がコロナ感染者に10万円」をデマ攻撃!「東京都の感染者急増の原因」「ホストが10万円狙いで感染」

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8日放送『グッとラック!』に出演する辛坊氏


 また、いつもの弱者叩きが始まった。新宿区では、6月にコロナ感染した新宿区の住民に対し10万円の見舞金を支給することを決定したのだが、これについて、こんなバッシングが飛びかっているのだ。

「新宿区の感染者が増えているのは見舞金のせい」
「見舞金10万円目当てでホストがわざとコロナをうつしあっている」
「新宿10万円コロナチャレンジ」

 いまさらいうまでもないが、新宿区が導入したこの見舞金制度は、感染したことによって社会経済活動が制限された人の生活支援と、それにより軽症者にも病院やホテルでの隔離療養を促進するためのものだ。

 感染が確認されれば、症状の有無にかかわらず、感染拡大防止のため、家族も含め約2週間社会活動が制限される。仕事ができない上、普段以上の出費もかかる。困窮する住民の生活支援を行政が担うことは何もおかしくないし、感染拡大防止という観点でも理にかなった施策といっていい。

 ところが、この施策を「わざとホストが感染しあっている」などという無根拠な流言によって否定する動きが広がっているのだ。

 開いた口が塞がらないが、このようなデマまがいのバッシングを繰り広げているのは、ネット民だけではない。テレビなどの大マスコミでもここに来て、この「新宿区10万円」バッシングが展開されているのだ。

 その急先鋒が、辛坊治郎氏だ。辛坊氏は、ラジオやテレビで「新宿区10万円」を攻撃しまくっている。

 6日自身がパーソナリティを務めるラジオ番組『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』(ニッポン放送)でこう吠えた。

「東京の感染者が増えています。新宿区のホストクラブ、やたら増えていると思いませんか。それがどうのという大きい論理的な話はあらためて詳しくしますが、ひとつ事実としてあるのは、新宿区では、新型コロナウイルスに感染すると、10万円の見舞金をもらえるのですよ。これは、行政の在り方としてどうなのですか」
「現実に、若い人にとってはこの病気は、ほとんど鼻風邪で、陽性でも症状が全くないという認識なのですよ。だったら、批判殺到の極論ということを承知で言いますが、『陽性になるだけで10万円くれるの? おまえ、鼻風邪ひいてないか? ここでゲホゲホしてみろよ』という若者もいないとは限らないと思います」
「若い人のなかで、大した病気でもないと思っている人は、積極的に『感染してやろうか』と感染すると2週間入院だったのですが、さすがに全員感染者を入院させると、医療がパンクするということで、いまはけっこうホテルに送るらしいですね。しかし、隔離しないといけないのですよ、伝染病予防法で隔離対象になりますから。ホテルに全部公費で丸抱えで2週間、いまはミニマム10日。発症から10日なのですよ、基準がね。ホテルにいられて、全額無料、医療費も無料、その後の従業員の仕事の手当もしてくれる、みたいなことになったら、積極的にかかろうかという不届き者もいないとは限りません」

 さらにゲスト出演した8日放送の『グッとラック!』(TBS)でも、こうまくしたてた。

「これひとつの原因だと思いますが、新宿はですね、条例作って、感染者、無症状でも感染者が出た場合には、その人に10万円差し上げますっていう条例を可決したんです。なおかつ、PCR検査で、熱が出ていなくても調べてもらえます。ホストクラブの人たちがダーンと調べに行って、感染していたら調べてもらえるっていうので、やたら新宿区、豊島区あたりの感染者が増えてるっていう背景の一つにあります」

軽症者の隔離用ホテル滞在まで「全部公費で丸抱えで2週間」と攻撃する辛坊治郎

 そう、辛坊氏も完全にホストたちが10万円もらうために、コロナを感染しあっていると決めつけているのだ。

 ごく一部の不正を針小棒大に言いたてて、福祉制度そのものを否定するというのは、ネトウヨや新自由主義者による弱者叩きの典型で、生活保護バッシングでもよく見られるが、今回の「ホストたちが10円もらうためにコロナを感染しあっている」というのは、冒頭でも指摘したようにもっと悪質でほとんどデマといっていい。

 なぜなら、新宿区の見舞金10万円を受け取るためには、入院・隔離に協力することが前提になっているため、感染しあうことは物理的に不可能だからだ。また、新宿区の説明によれば、見舞金10万円制度には、新宿区に住民票があることなど、ほかにもさまざまな審査基準を検討しており、現在新宿区では約900人の感染者が出ているが、対象はそのうち2百数十名にすぎないという。これでなぜ、東京都の感染者増加が「10万円狙いのホストのせい」ということになるのか。

 しかも、辛坊氏のグロテスクな発言はこれだけではない。軽症者が隔離用ホテルに入所することまで「ホテルに全部公費で丸抱えで2週間」と税金泥棒扱いし、ホストクラブの集団検査についても「発熱していなくてもホストクラブの人は集団で受けられる」などと攻撃する始末だった。

 ホテルで隔離されるのも症状もないのに検査を受けるのも、その人個人でなく社会全体に感染拡大させないために必要なのだ。それをまるで「ズル」のように語るとは、この人には公共という観念がないのだろうか

 いや、ないのだ。辛坊氏といえば、イラク人質事件で自己責任論をがなりたてて人質バッシングを展開していたにもかかわらず、その後、自身がヨットで太平洋横断中に遭難し自衛隊に救助され、税金で賄われた多額の救助費用について「大ブーメラン」と批判を浴びると、「命がけの彼らを見ていて、それで金払いますとは言えない」「金額にする発想自体違う」などと言ったこともある御仁。ようするに、税金を自分以外の他人に使われるのがとにかく嫌なだけなのである。

御都合主義の自己責任論者・辛坊治郎は自分以外の国民に税金が使われるのが嫌なだけ

 しかし、マスコミには辛坊氏と同じく欠落人間はけっこういるらしい。8日放送の『直撃LIVEグッディ!』(フジテレビ)でも、この見舞金について批判的に取り上げていた。IT関連の仕事をしている20代の男性が「かかったらラッキー」「コロナにかかってもいい」「家族も気にしない」「感染して10万円が欲しい」と語る場面や、ホストクラブの従業員が「新人は10万円とか5万円で生活しているから、何もせずにお金もらえたほうがいいという人も中には出てくるんじゃないかなと思います」と語る場面を流したり、歌舞伎町をマスクなしで歩く男性を何人も映し、その人がホストかどうかもわからないのに、「マスクしていません」などとあたかもホストが感染防止に無頓着、わざとかかろうとしているかのように印象づけていた。

 しかも、コメンテーターのカンニング竹山は「実際、新宿とかに入って研究してる人たちとこないだ話したりしたんですけど、実際ホストの方とかがPCR検査、まあ東京都が10万円渡すって言っちゃってるから、はじめ。新宿が東京都が10万円渡すから、陽性だったら10万円ですよてことをやって、PCR検査が一気に増えて、(陽性が)出たんですよ。それで、陽性になって10万円渡してるんだけど」と、辛坊氏同様、検査が増えたのは10万円給付のせいだと言い、まだ給付が始まってもいないのにすでに陽性者に10万円渡されているかのようなことまで言っていた。

 言っておくが、この見舞金の支給開始予定は8月中旬以降で、案内送付開始が7月中旬から下旬の予定。受付すらまだ始まっていない見舞金を、どうやって陽性者に渡しているというのか。

 まったくグロテスクきわまりないが、こうした辛坊氏をはじめとするマスコミの視野狭窄、差別的な態度と対象的だったのが、見舞金制度を導入した新宿区の吉住健一区長だった。

 吉住区長は8日放送の『ひるおび』(TBS)にリモート出演し、検査が増えた背景を語ったのだが、その内容は非常に説得力あるものだった。

吉住区長が語った真っ当な感染防止「店名公表は感染拡大防止に逆効果」

 6月はじめに吉住区長が、自身もホストクラブを経営し歌舞伎町商店街振興組合常任理事を務める手塚マキ氏にコロナ感染拡大防止にどうしたら協力してもらえるか相談。すると「ホストの間で感染者が出たら店名まで公表されるとみんな思っている行政に不信感がある」「『プライバシーを守る』と区長の口からみんなに言ってほしい」とアドバイスされたという。それで、6月3日・4日にホストクラブ関係者30人ほどが区役所を訪れ、区長と面会。ホスト関係者と保健所とのホットラインが設置されることになった。これにより、相談数も検査も増えたのだ。

 政府の新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」に登録しても、いまだに「帰国者・接触者相談センター」しか窓口がない状態なことを考えると、このホットラインがホストの人たちを検査につなぐ上で大きな役割を果たしていることは想像に難くない。

 さらにその後も、新宿区ではホストクラブやキャバクラなど飲食業関係者を集め連絡会や分科会を開き、お店の感染防止対策や従業員の検査体制の確認、お店側と新宿区での情報共有などをしているという。

 区長は「名乗り出ることが怖いことだと思わないようになってもらうことが第一歩だと考えています」と語っていたが、その通りだろう。

 また感染者の出た事業者名を公表する方法についても、このように否定的な見解を示した。

「感染者の確認が出来ている事業所は感染拡大防止の協力者です。すでに感染拡大防止策を講じている協力事業所名を公開し、晒してしまうことは感染した可能性を隠す事業所を潜在化してしまう結果になります」
「強制的に閉めるとか圧力をかけると、いまおっしゃられた通りで、よそのエリアに行って営業を始めてしまうだけなんですね。これは、浄化作戦をやったときに反社会的勢力を新宿から締め出そうということでやった際も、客引き対策をやった際も、よその繁華街に流れていってしまっただけで、結局、気がつくとまた戻ってくるというそのイタチごっこを繰り返してきています」

コロナ禍が襲った今も、辛坊治郎のような反知性的新自由主義者が跋扈する日本

 吉住区長の指摘はまさに正しい。見舞金を攻撃している新自由主義者やネトウヨは感染者を出した事業者名を公表しろ、感染防止に協力的でない業者に罰を与えろ、と叫んでいるが、そんなことでは感染は防止できない。

 きちんとした補償や隔離対策をして、業者が自発的に協力する状況を作らない限り、このコロナ感染は防げない。吉住区長は事態の本質をよくわかっているのだ。

 それに比べて、辛坊氏らの浅薄さはどうだろう。感染による生活苦を支援する見舞金をズルのように非難する。隔離のためにホテルに入れば、公金で贅沢していると罵る。そんなことをやって、感染拡大を防げると本気で考えているのだろうか。

 しかし、日本では、政治でもメディアでも、こういう底の浅い新自由主義的、反知性的な発言をする者ばかりが幅を利かすようになっているのが現実だ。しかも、連中はコロナ禍のいまもその姿勢を変えていない。

「新自由主義の申し子」といわれるあのイギリスのボリス・ジョンソン首相すら、今回のコロナ禍に際し「社会というものは存在する」と、サッチャー以来の社会福祉を切り捨てる緊縮財政・新自由主義路線を否定するような発言をしているのに、日本の新自由主義者たちは、あいもかわらず公共の概念が欠如した時代遅れの自己責任論をがなりたてているのである。この国の国民はこれからも、時代遅れの亡霊に生活を追い詰められ続けるのだろうか。

最終更新:2020.07.19 10:07

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