これでも槇原敬之は立件されるのか? 尿検査本鑑定でもシロ、父親に「僕はやってない」…警察に都合の悪い事実は報じないマスコミ

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槇原敬之Twitterより


 やはり、不当逮捕だったのである。2月13日に警視庁組織犯罪対策第5課(組対5課)に逮捕され、明日3月4日に勾留期限を迎える槇原敬之。逮捕直後は警視庁のリークや元パートナーの告白による“槇原のヤク中ぶりを物語る新事実”が垂れ流され糾弾報道が盛り上がっていたが、その後ぱったり報道が途絶えている。

 新型コロナ騒動の影響も多少はあるだろうが、それよりも決定的な理由は、警察べったりのマスコミが報道したくなるような、槙原のクスリの使用・所持を裏付ける新情報がまったく出てきていないからだ。

 いや、それどころか、逆に槇原が薬物をやっていなかったことを示す事実、情報が次々明らかになっている。

 まず、2月27日には、尿検査の本鑑定でもシロだったことがわかった。もともと逮捕直後の尿の簡易検査で陰性となっていたが、今回は覚せい剤を含むあらゆる違法薬物に使用反応が出なかったという。

 さらに、槇原敬之の父親が「女性自身」(光文社)3月30日号の取材に対し、逮捕数日後に槇原本人に接見したことを明かしているのだが、そのときの様子を父親はこう語っている。

「息子は憔悴しているどころか、とても元気そうでした。そして私に『僕はやってない。だから、心配しないで……』とはっきり言ったんです。本人から直接、その言葉を聞けてホッとしてね。息子の言うことを信じてあげようと思うのは、どこの親も同じ。それで『わかった。それやったら(警察の方に)しっかりと調べてもらい!』と言って帰ってきました」

 槇原は父親に対して、「僕はやってない。だから、心配しないで……」と容疑を否定したというのだ。

 逮捕当時、一部報道では「大筋で容疑を認めた」などと伝えられていたが、本サイトは「槇原が認めているのは、違法化以前の所持や2018年に逮捕された元パートナーのA氏と当時薬物の見つかったマンションで暮らしていたというくらいのもの。警視庁が報道を煽るために、それを“大筋”と言っているだけ」と指摘した。今回の父親の証言をみると、やはり槙原は薬物使用を見て認めていない可能性が高い。

 自供がないだけではない。物証も現在の自宅から、数年前まで合法だった危険ドラッグRUSHが出てきただけで、覚せい剤などそのほかの薬物など新しい物証はその後もまったく見つかっていない。見つかったRUSHにしても、現在の同居人のものか槇原のものか特定できておらず、また違法化以前に購入していたものが残っていた可能性もあるという。

 ようするに、覚せい剤使用での立件はもちろん、所持での立件も怪しくなってきているのだ。

 しかし、それも当然だろう。そもそも今回の槇原逮捕は、最初からありえないものだった。

2年前の容疑での槙原逮捕は別件逮捕、見込み捜査で明らかに違法

 最大の問題は、槇原の逮捕容疑が、2018年3月に覚せい剤と危険ドラッグを所持していたという、2年も前の話だということだ。2018年3月に槇原の個人事務所元代表で公私にわたるパートナーだったA氏が逮捕されたときに、押収していたというのだが、A氏はとっくに単独所持(と使用)で有罪判決が確定している。

 こんな終わっている事件でいまさら逮捕するなんて、聞いたことがない。A氏が2018年当時、「マッキーのもの」「(薬物が見つかった部屋について)マッキーの部屋」と証言をしたという話もあるが、A氏は逮捕直前に、槇原から事務所代表を解任されるなど関係を解消されたことでトラブルになっていた。物的証拠もないままそんな関係性の人物の証言だけで逮捕に踏み切れるなら、恨んだ相手をいくらでも陥れることが可能になってしまう。

 そもそも警視庁はA氏を逮捕した2年前に、槇原を一緒に逮捕しようとしたものの、「証拠不十分」で断念しているのだ。なのに、いまになってなぜ同じ容疑で逮捕・立件できるのか。実際、この逮捕容疑には普段、ワイドショーに出演して警察の捜査をPRしている元捜査官らも当初「それだけで逮捕というのは考えにくい」と首をひねっていたほどだ。

「組対5課にいまも槙原が覚せい剤をやっているという情報があったようです。ただ、確たる証拠がつかめなかったため、A氏が2018年に逮捕された際に、槇原の使用を示唆していたことを利用して逮捕に踏み切った。とにかく逮捕すれば、尿検査、ガサ入れで覚せい剤をいまもやっている証拠をつかみ、自白に追い込めると踏んでいたようです」(警視庁担当記者)

 そう、今回の逮捕は完全に別件逮捕、しかも沢尻エリカのときと同じで明らかな見込み捜査だったのである。言っておくが、これらの捜査手法は完全に違法だ。しかも、警視庁の目論見は、これまた沢尻のときと同じく、完全に外れていた。

 尿検査の結果もシロ。現在の自宅からは、覚せい剤の所持を裏付ける証拠はまったく出てこなかった。覚せい剤の入っていたパッケージに槇原の指紋があったとか、パイプに唾液があったなどの情報もリークされているが、これ、すべて2018年のA氏逮捕のときの話。以前、槇原がA氏と暮らしていたマンションで見つかったというだけで、なんの証拠能力もない。実際、前述したように、警視庁は2018年の段階でこれらの事実もつかんでいたが、それだけでは立件は無理と、槇原逮捕を断念していた。

「ようするに、何にも出てこなかったので、慌てて警視庁が昔の話を蒸し返してリークしているだけです」(前出・警視庁担当記者)

 2月16日になって、マスコミは現在の自宅からも薬物が出てきたと報じているが、これも覚せい剤ではなく前述したRUSHという危険ドラッグ。これは、2007年に販売が規制され、2014年から所持・使用も禁止となっただけで、少し前まで合法だったもの。国によっては、アルコールなどと同じく販売規制はあっても、使用は合法な国もある。また、この自宅にはA氏とは違う新しい同居人もおり、警視庁はこの危険ドラッグが槇原の所持ということも断定できていない。

マスコミのせいで「警視庁組対5課は完全に調子に乗っている」

 いずれにしても、覚せい剤の使用と所持であげようと思って、徹底的にガサ入れしても、出てきたのは沢尻と同じように、たいして悪質性のない以前は合法だった危険ドラッグだけだったのだ。しかも、父親の証言によれば、槙原は沢尻と違って、自供していない可能性が高い。

 実際、法律の専門家の間では、もし槙原が自供していないなら、不起訴、あるいは裁判で無罪という可能性も十分あると指摘されている。

 いや、仮に槙原が起訴されたとしても、警察が違法捜査をしていたことには変わりはない。繰り返すが、別件捜査は完全な違法捜査であるうえ、逮捕容疑は2年前にパートナーA氏の単独所持として片付けられている事件なのだ。それを持ち出すなんて、とても法治国家のやることではない。

 こんなことが通用したら、警察は自分たちがターゲットにするだけで誰でも犯罪者に仕立て上げられることになる。たとえば、もし警察があなたを逮捕したいと思ったら、警察はあなたを恨んでいる人間にまったく身に覚えのない覚せい剤所持を証言させ、それだけを理由にガサ入れすればいい。ガサ入れで覚せい剤は出てこなくても、合法時代に買った危険ドラッグが残っていたり、PCのなかに以前、違法ダウンロードしていた画像などが残っているかもしれない。それで、あなたは立派な犯罪者の仲間入りだ。

 そういう意味では、いま、警察がやっている違法捜査は、たかだか一芸能人の薬物使用よりもずっとやばい話なのだ。

 ところが、マスコミはこの間、この異常な逮捕に対してまともな批判は一切をせずに、槙原がいまも薬物中毒であると決めつけ、糾弾してきた。

 そして、冒頭で指摘したような、尿検査が本鑑定でもシロだった事実や、槙原自身が薬物使用を否定していることがわかっても、マスコミはほとんど報じていない。

 まったくその警察べったりぶりとご都合主義には呆れるが、こうしたマスコミの姿勢こそがいまの警察の強引な薬物捜査をつくりだしたともいえる。薬物捜査に詳しい全国紙社会部記者が「組対5課は完全に調子に乗っている」として、その理由をこう解説する。

「組対5課が薬物捜査の手法をどんどんエスカレートさせたのは3〜4年前からで、ASKAのときや沢尻エリカのときは逮捕後に警察のやりすぎとしか思えない問題が噴出した。ところが、マスコミ、とくにワイドショーはその部分を一切批判せずに、むしろ逮捕された芸能人のほうを叩き続け、世論もそっちに流れた。あれで、組対5課が味をしめてしまったんですよ」

ASKA、沢尻エリカ逮捕で失態を犯しても批判されなかった組対5課

 たしかに、2016年11月のASKAの2度目の逮捕劇はありえないものだった。このとき、NHKと共同通信が「歌手のASKA元被告逮捕へ。覚せい剤使用容疑」と速報を打つと、テレビ各局が逮捕状も出ていない段階で一斉に「ASKA元被告 逮捕へ」と大々的に報道。当のASKAは自分のブログで逮捕も覚せい剤の陽性反応も完全否定したが、その後も断定的な逮捕報道は続き、逮捕当日には午前からASKAの自宅前にマスコミが集結。身柄確保の瞬間があらゆるメディアで実況中継されるという人権無視の異常事態に発展した。

 しかし、ASKAは約3週間後に嫌疑不十分で不起訴処分となり釈放されている。警視庁は秘密の薬物部屋があるなどとマスコミに盛んにリークしていたが、結局そんなものはなにもなかった。ようするに、警視庁組対5課は証拠が不十分なまま不当逮捕を強行していたのだ。

 沢尻のときも同様だった。「週刊文春」(文藝春秋)とTBSに逮捕を事前リークまでしておきながら、自宅近くの路上で捜査員が声をかけたとき、沢尻は違法薬物を所持していなかった。その後の家宅捜索で沢尻自身が自己申告しMDMAが1錠発見されるが、その直前にクラブで取り引きされるという組対5課の情報・見立ては完全に間違っていた。

 しかも裁判では、MDMAもコカインも年に数回クラブで使うくらいで依存状態になかったこと、大麻についても軽度の依存が認められるものの治療の必要はないことを医師が証言している。また沢尻の元恋人の男性も、共同所持で無理やり逮捕したものの、結局立件できず釈放された。沢尻自身も、わざわざ自白しなければ不起訴や無罪になっていてもまったくおかしくない状況だったのだ。ちなみに当時『バイキング』(フジテレビ)では「否認して無罪になるより、素直に認めて謝ったほうが印象はいい。否認しないでもらいたい」などという信じがたい議論がなされていた。

 この2つは明らかに警察サイドの大失態だが、しかしマスコミは警察の杜撰極まりない人権無視の捜査を批判することなく、その暴挙に丸乗りし、大衆の劣情を煽りながら、ASKAや沢尻叩きに血道をあげた。

 実際、ASKAは不起訴だったにもかかわらず、きちんと謝罪したメディアはひとつもなかった(井上公造と『情報ライブ ミヤネ屋』が逮捕騒動に乗じてASKAの未発表曲を勝手に公開したことを謝罪しただけだ)。『バイキング』にいたっては「不起訴は無罪じゃない」という無茶苦茶な理屈を叫んでいた。

 あとで不起訴になっても無罪になっても、警察はその失態や不手際をマスコミからも世間からも批判されることはまったくない。常軌を逸しているとしか思えないが、このメディアの姿勢こそが、近年のやりたい放題な薬物捜査を助長させていることは間違いないだろう。

 しかも、今回の槇原逮捕で、その警察のやり口はさらにエスカレートしたにも関わらず、マスコミの姿勢はまったく変わっていない。

 以前の記事でも指摘したが、芸能人の薬物汚染と、警察国家化・道徳ファシズムのグロテスクな合体による不当逮捕の横行と、どちらが危険なことなのか。国民はもう一度考え直してみるべきではないか。

最終更新:2020.03.03 04:49

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