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「昭恵夫人の日当、交通費」の質問に安倍政権が「お答え困難」とごまかした理由! 私的な活動にも“公費支出”の疑惑が
首相官邸HPより
昭恵氏の日当や交通費にいくらかかっているのかは「お答えすることが困難」──。本日、政府が閣議決定したこの答弁書の内容が、大きな話題を呼んでいる。
昭恵氏といえば、「桜を見る会」でも「昭恵枠」が設けられ、名誉会長を務めたスキーイベントや校長を務める「UZUの学校」の関係者といった“お友だち”が十数人単位で招待されていたことが判明。当然、「私人じゃなかったのか」「私人なのに公的イベントで招待枠ってどういうこと?」などという意見がネット上で巻き起こったが、一方で政府は11月29日に、昭恵氏は“「公人ではなく私人である」という認識に変わりはない”としながら、〈「桜を見る会」への出席については、安倍内閣総理大臣の公務の遂行を補助する一環として行われてきたもの〉とする答弁書を閣議決定した。
「公務の遂行を補助」する者はどう考えても公人だと思うが、この答弁書に対し、立憲民主党・有田芳生議員は質問主意書で3つの質問をおこなっていた。
〈一 (前略)「公務の遂行」の「補助」の一環として「安倍総理の夫人」が出席する行事には、「桜を見る会」のほかにどんな行事があるのですか。典型的な催しをお示し下さい。
二 「公務の遂行」の「補助」には、日当や実費などとして公費は支出されていますか。されているなら、どこからいくら支出されたのか、第二次安倍政権以降について、年度別にお示し下さい。また、飲食費、交通費などに公費が支出されているなら、その細目と金額を第二次安倍政権以降について、年度別にお示し下さい。
三 「公務の遂行」の「補助」において公用車は使われていますか。使用されているなら第二次安倍政権以降、どの催しで何回使用されたのか、年度別にお示し下さい。〉
だが、この質問主意書に対し、政府はこう答えたのだ。
〈一について
お尋ねの「典型的な催し」の意味するところが必ずしも明らかではないが、安倍内閣総理大臣の公務遂行を補助するものとして安倍内閣総理大臣の夫人が出席する「行事」としては、宮中晩餐会、園遊会等が挙げられる。
二について
お尋ねの「日当や実費など」及び「飲食費、交通費など」の範囲が明らかではないため、お答えすることは困難である。
三について
お尋ねの「「公務の遂行」の「補助」において公用車は使われていますか」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。〉
「おいおい」とツッコまざるを得ないほど、矛盾した答弁ではないか。というのも、昭恵氏が「公務の遂行を補助」する者として出席する行事について「宮中晩餐会、園遊会等」と政府自ら具体的に挙げているのだから、そこでの日当などの公費支出はいくらなのか、公用車は使用されているのかという質問に対しては「日当は出ている/出ていない」でも「公用車に安倍首相と乗車」でも答えられるはずだ。それを「範囲が明らかではない」「意味するところが明らかではない」として「お答えは困難」などと回答しないのは、まったくおかしな話ではないか。
しかも、じつは「公務の補助」に対する昭恵氏に支払われる「日当」「交通費」について、政府は過去、答弁をおこなっているのだ。
それは森友問題の追及が国会でおこなわれていた2017年3月2日の参院予算員会でのこと。自由党(当時)の山本太郎議員が「総理夫人が総理とともに海外に公務で出張した際、夫人に対する手当って出ますか。また、その手当の名前と金額はいくらなのか、国内の場合だとどれぐらいですか」と質問したのだが、当時の内閣審議官で現・厚労省官房長の土生栄二氏は、こう答弁をおこなった。
「総理夫人が内閣総理大臣の公務を補助する活動をおこなうためには、総理の出張に同行する場合には旅費法の対象となり得るということでございます。その場合、総理夫人に対しましては、交通手段及び路程に応じ、その際に掛かった経費が交通費として支払われるということでございます。なお、第二次安倍内閣発足以降、日当は辞退の申し出がなされており、支払われていないということでございます」
「第一次安倍政権下におきましてはご辞退の申し出はございませんでしたので、支払われていたというふうに承知しております」
「第一次安倍内閣及び第二次安倍内閣以降におきまして総理夫人に対して支出した交通費等の総額は、約145万円ということでございます」
つまり、約2年半前には、昭恵氏が公務の海外出張に同行した際の日当は、第一次安倍政権では支払われていたが、第二次政権以降は「辞退」している、と明らかにしていたのだ。しかも、このとき安倍首相も直々に「日当については第二次政権以降はお断りをしているが、日当は私の妻にだけ出ているわけではなく歴代の総理夫人にも出ているということは申し上げておきたい」と付言している。
なのに、今回はなぜ「範囲が明らかではない」などと答弁をごまかしているのか。海外出張同行と同じようにすべての公的イベント出席時も「日当」を受け取っていないのであれば、そう答えればいいし、仮に歴代の総理夫人と同様に「日当」を受けとっているのなら、その日当や経費をきちんと公開すればいいだけの話だろう。
自分の私的行事や趣味の場にまで公務員である夫人付き職員を同行させ、協力させていた昭恵
それができないのは、昭恵夫人が歴代の首相夫人以上に膨大な日当をもらっている、もしくは、日当は辞退していたとしても、昭恵氏にあてがわれる実費や飲食費、公用車の使用などが「内閣総理大臣の公務を補助する活動」の「範囲」をはるかに超えているからではないか。
「桜を見る会」で「昭恵枠」まで設けられていたという事実が象徴するように、昭恵氏の公私混同は度を越したものとなっている。しかも、その私的な行動に公的資源が投入されるという状況も起きている。その象徴といえるのが、総理夫人付き秘書の存在だ。
総理夫人を支援する職員の配置がはじめておこなわれたのは第一次安倍政権時で、その後の福田内閣は不在、つづく麻生~野田内閣までは1名が配置されたが、野田内閣までは非常駐で〈首相が外国を訪問する際に夫人が同行したり、外国要人を接遇したりする活動を助けることが主な目的だった〉(東京新聞2017年4月12日付)という。しかし、第二次安倍政権が発足すると、職員は3名に増員、2013年度からはさらに2名増やして計5名となり、挙げ句、うち2名を常勤としたのだ。
そして、第二次安倍政権発足とともに総理夫人付き秘書を増員した目的は、昭恵氏の言動を監視するためだったという。「プレジデント」(プレジデント社)2013年8月12日号によると、“アッキー対策室”として官邸内に1部屋用意したとし「税金の無駄遣いという批判を受ける可能性がある」(官邸関係者)ことから、昭恵氏秘書の存在はオープンにせず非公式になったという。
つまり、昭恵氏のために異例の処遇をおこなうことに安倍官邸も税金の無駄遣いをしている自覚はあったわけだが、しかし、当の昭恵氏にはそんなことはどこ吹く風。「国民全体の奉仕者」たる官僚を、自分の私的行事や趣味の場にまで同行させた。
たとえば、「安倍昭恵と行く 80年代のスキー復活!」なるキャッチコピーが躍るスキーイベント「私をスキーに連れてかなくても行くわよ」には、2015年から3年連続で夫人付秘書が同行。また、昭恵氏は安倍首相の地元・山口県下関市に「昭恵農場」を開き、無農薬の酒米を栽培しているが、ここでの田植えには森友問題で財務省に「口利きFAX」を送っていたことで注目を集めた昭恵氏付きの秘書だった谷査恵子氏を動員。谷氏もTwitterで「腰が痛いのに本当に明日田植えに行くのかなあ私」(2016年6月11日)とつぶやいていた。さらに、昭恵氏が2014年に開いた私塾「UZUの学校」でも、Facebookでの同校の講義参加者募集の告知には「公開・主催者:谷査恵子さん」と出てくるほどだった(2015年12月6日開催の第5回講義まで)。また、森友学園の幼稚園でおこなわれた講演会にも2014年12月と2015年9月の2回に秘書を同行させている。
バブル世代丸出しのスキーイベントや趣味の田植えに秘書を同行させるだけではなく、自分が校長の私塾の参加者募集告知といった事務局業務までやらせる──。これは「税金の無駄遣い」どころか完全な私物化であり、昭恵氏の行動をみると「公私」を分けるという概念がそもそもないとしか思えない。
だとしたら、こうした私的行事に出かけるために交通費や公用車使用、お友だちとの会食や交際費、贈答品などまで公費で賄っていても、昭恵氏の場合、何ら不思議はないだろう。
森友問題発覚からずっとくすぶってきた、昭恵氏による「国家」の私物化。政府は潔白だというのなら、昭恵氏の「日当」ほか公費支出の実態を調査し、はっきりと国民に開示すべきだ。そして、「桜を見る会」における「昭恵枠」は一体どういった招待基準で招待者を選んでいたのか、あきらかにする義務がある。昭恵氏が好き放題するために、わたしたちは税金を払っているわけではないと、あらためて突きつけておきたい。
(編集部)
最終更新:2019.12.17 10:49
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