福島原発事故“風評被害対策”で「電通」に240億円! ママインフルエンサーのステマ、開沼博や早野龍伍、TOKIO起用も

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電通の戦略で「キーメッセンジャー」に選ばれたTOKIO出演のCM「ふくしまは、元気です。」


 避難指示の解除、自主避難者への住宅無償提供や家賃補助の打ち切り……。安倍政権による東日本大震災、福島第一原発事故の被災者切り捨てが進んでいるが、ここにきて、政府や自治体が「復興」に名の下に、とんでもない金の使い方をしていることが判明した。

 国や自治体が福島県の「風評被害」対策や「復興」をPRするという名目で、なんと広告代理店最大手・「電通」に240億円の大金を投じていたことがわかったのだ。

これは、長野県のミニコミ雑誌「たぁくらたぁ」の情報公開請求によって判明したもので、分析に協力したオルタナティブメディア「OurPlanet-TV」が5月24日に報じた(http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2394)。

「たぁくらたぁ」の編集人・野池元基氏によれば、昨年10月から、福島第一原発事故にかかわる放射線対策・復興関連事業についての情報公開を本格的に開始。内容は、各官公庁や福島県および請求が可能だった自治体に対して、2011〜2018年度の間に株式会社電通と、電通東日本(電通の100%子会社)などの電通関連会社に委託された事業について公開を求めたものだ。こうして数カ月かけて開示した膨大な文書や資料から、野池氏らが契約された金額をひとつずつチェックして出てきたのが「約240億円」という金額だった。

「自治体によっては情報公開が可能なのが住民に限られているところもありました。また、資料には黒塗りのものもあり、廃棄等によって開示されなかった文書等もあると考えられます。約240億円という金額は、私たちの調査で判明した限りの数字です」(野池氏)

 つまり、約240億円はあくまで現段階で判明している数字であって、実際には、これよりもさらに大きなカネが「福島復興」の名目で電通に流れている可能性がある。

 たしかに、福島の農産物などの風評被害対策は必要だが、一方で、原発事故についてはいまも影響を懸念する国民の声があり、甲状腺癌など、住民に健康被害が進んでいることを指摘する専門家・医師もいる。そうした不安を払拭するためには、マイナスな情報や意見もきちんと紹介し、どこまでが安心で、どこからが原発事故の影響が残っている可能性があるのかを検証したうえ、客観的な情報を省庁や自治体が自らの手で発信すべきだろう。

 それを、放射線の専門家でもなんでもない広告代理店に240億円という巨額な金を投じて、一方的なPRに勤しんでいるとは……。電通のこれまでのやり方を考えると、少なく見積もっても同社が50億円くらいは“中抜き”していると考えられる。そんな金があれば、もっと直接的に復興や被害対策へ税金を投入すべきではないのか。

ママインフルエンサーを使った“ステマ”まがいの戦略まで

 さらに、問題なのは、電通が国や自治体からのカネを元手に行ったPRが、まさに“代理店的”な手法に満ちていることだ。野池氏の請求によって公開されたものの一つに、「平成30年度 放射線等に関する情報発信事業」という資料がある。これは、電通が復興庁に送った実施PR事業の報告資料だ。

 見ると、電通がありとあらゆるメディアやチャンネルを使って「風評被害」を打ち消すための戦略を実行していることがわかる。テレビCM(地上波36局、BS4局。2019年2月)はもとより新聞広告、Tver、映画館や電車内、産婦人科病院待合室のモニターでのCM、さらに日本医師会会員や全国自治体に配布するリーフレット、ウェブ動画やポータルサイトの開設から、果てはLINEスタンプまでもが戦略に含まれていた。

 しかも、これらのPRは明確に広告代理店的手法をとっている。たとえば、映画館でのCMは映画「ドラえもん のび太の月面探査記」を上映した劇場(49劇場、CM上映4069回)でのもの。資料内でこのドラえもん映画を〈春休みに親子で楽しめる話題作〉と強調しているように、明らかに「母親層」「父親層」にターゲッティングされているのである。

 とりわけ同報告資料のなかで目を引くのは、〈有識者・専門家・ママインフルエンサーによる座談会〉なる項目だ。これは、2019年2月2日に三菱総合研究所で開催された座談会で、「ママインフルエンサー」なる女性らが参加、社会学者の開沼博氏が講師を務めた。「ママインフルエンサー」5名は「合計フォロワー数45975人」と記されている。内容は〈(福島の現状を)知る事が復興支援になるという理解促進〉などとされており、その模様は編集されて日経新聞に復興庁名義で掲載された。

ママインフルエンサーでステマまがいPR、早野龍五氏や開沼博氏らも協力

 しかし、狙いは座談会そのものよりSNSでの拡散(クチコミ)にあったようだ。電通の報告書を読むと、実は、この「ママインフルエンサー」らはInstagramやブログで座談会の模様等をポストしており、それが拡散されるところまでがセットだったことがわかる。

 同資料には、ご丁寧にも複数のブログ投稿のスクリーンショットが掲載されている。そこには〈福島の放射能について話すことがタブーな雰囲気があるからこそ!!情報がアップデートされないのかな?〉〈要するに理解できていないから避けておこうって事なんですよね…〉などの文言があり、最終的に復興庁のポータルサイトに誘導する仕組みになっていた。なお、このポータルサイトも前述したように電通が担った事業だ。

 広告だと悟られないよう行うPRは「ステマ」(ステルス・マーケティング)と呼ばれる。本サイトでも定期的に調査・報道してきたように、電力業界では、電事連(電気事業連合会)などがタレントや文化人を起用したお手盛りの座談会を行い、それをレポート風の記事にみせかけて新聞・雑誌に掲載するという“原発広告”が後を断たない。少なくとも、ネットの拡散力に長けた「ママインフルエンサー」の起用は、そうした“ステマまがい”の新たな形なのだろう。

 また、この資料で気になるのは「風評払拭・リスコミ強化のためのメディアミックスによる情報発信に関する検討会」なる存在だ。第一回は2018年6月12日、第二回は同年9月6日に行われた。

「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」の有識者の一覧には、先日、福島県伊達市の住民の被曝線量を分析した論文について被曝線量を3分の1に少なく見積もっていたことを認めた早野龍五・東京大学名誉教授や、前述の“ママインフルエンサー座談会”などにも登場した開沼博氏のほか、「福島県クリエイティブディレクター」も務める有名クリエイターで東京芸術大学教授の箭内道彦氏ら、計10人の名前が並んでいる。

 電通資料では〈各施策の実施にあたっては、有識者からなる検討会等を実施。検討会等に必要な作業、有識者への依頼、旅費・謝金の支払い等も行った〉と記されている。つまり、彼ら「有識者」にはギャラが発生していたようだ。本来、独立性を保持するべき学者までもが、ギャラの発生するプロモーションビジネスに組み込まれているというわけである。

健康被害を懸念する声を「否定派」と呼んで、言論の動向監視を提案

 さらに、「ふくしま農林水産物安全・安心メディア発信研究会」に関する資料の記述も極めて興味深い。この「研究会」は、2012年から福島県農林水産部が福島民報や福島民友新聞、福島テレビなどの地元マスコミの担当者を集めて行っている会合だが、その内部関連資料と目される文書が、「たぁくらたぁ」の野池氏による請求で公開されたのである。

 第1回会合に関する資料「マスメディアを活用した水産物PR事業の基本的考え方」(2012年5月22日)には、福島県農林水産部農産物流通課の名義とともに、電通東日本と電通の名前がはっきりと記されていた。資料ではTwitterを中心としたSNSの分析もなされており、そのなかにはこんな文言が並べられていた。

〈メディアを活用する情報発信の際には、平行し、ネット上にてソーシャルリスニングを実施。新たに形成される「否定派」の声、影響力のある「否定派」の声を把握しておくことが重要〉
〈一方、ネット上には報道に刺激され「否定派」が形成される。報道熱が下がった後も、この「否定派」のみがネットには残留。フォロワーを味方につけ、思わぬ影響力を持ち始めるケースも。そのため、随時、ソーシャルリスニングを実施することは重要。〉

 つまり放射性物質による健康被害を懸念する声を「否定派」と呼び、そのネット上での言論の動向を監視する必要があると文書は言っている。

 さらに、〈県外(首都圏)の生活者に共感をもたれ、その応援の姿に自分も乗りたくなるキーメッセンジャーの起用〉なる項目からは、電通が「ふくしまの安全・安心」をキャンペーンするため、極めて計画的・計算的に人選を行っていることが伺える。

〈福島県出身の著名人をキーメッセンジャーにすると、福島県内消費者の共感は呼びやすいが、県外に対しては「福島県出身なんだから当たり前」と予定調和的にみられ、大きな説得力はもちにくい。
 一方、特に福島県に縁を持たない著名人をキーメッセンジャーにすると、県外の人にとっては意外性を持つが、福島県内消費者には「あなたに言われたくない」というネガティブな受け取りをされるおそれもある。(除染など、他に優先すべきことがあるだろうという批判の対象になるおそれもある。)
 県外に対して意外な説得力があり、福島県内消費者にとっても応援している人が福島県内と県外を結ぶキーメッセンジャーになる。〉

電通の戦略でTOKIOを「キーメッセンジャー」に

 こうした計算の上で仕組まれた「キーメッセンジャー」がTOKIOだったというわけだ。「安心メディア発信研究会」の第2回議事録(2012年7月13日)では、地元マスコミの営業・広報担当者たちが「TOKIO起用はよかった」「ダッシュ村の影響もあり、農業系アイドルなのでよい」「ビールも似合うTOKIOが桃もおいしく食べている姿が良い」「TOKIOはジャニーズでも年齢層が高く、大人の安心感が感じられる信頼感が伝わる」などと口々に絶賛している。

 いずれにせよ、今回、明るみにでたのは、国や自治体が、原発事故後の「風評被害」対策や「食の安全・安心」PRを電通に丸投げし、少なくとも240億円という莫大なカネをつぎ込んできたというグロテスクな事実だけではない。

 福島第一原発の事故以前、電力会社などの“原子力ムラ”は、露骨な“安全神話”を振りまく大量の広告出稿によってマスメディアの口を塞いできた。だが、そうした電力業界のやり方や、広告に起用されてきた“原発文化人”にも大きな批判が集まり、“原発広告”はどんどん巧妙化していった。原発広告への電通の大きな関与は以前から指摘されていたが、この広告代理店的手法が、PRに隠された“新たな安全神話づくり”を見えづらくさせている。それが、あらためてはっきりとしたのである。

 問題なのは、今回の「たぁくらたぁ」による情報公開請求と、それを分析して報じた「OurPlanet-TV」の報道を、テレビや新聞などのマスコミがまったく後追いしようとしないことだ。それは当然、自分たちも原発広告に加担する“共犯者”であると同時に、マスコミにとって電通は最大のタブーだからだろう。しかし、そうして見てみぬフリをしてきたことが、あの未曾有の原発事故を招いたのではなかったか。原発事故後の巨額PRと電通の関係を、徹底して検証せねばならない。

最終更新:2019.05.31 08:18

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