ゴーン前会長出廷で改めて露呈した特捜部の無理スジ捜査! 国策捜査の背後に安倍政権幹部と経産省の影

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カルロス・ゴーン著 『ルネッサンス ― 再生への挑戦』(ダイヤモンド社)


 本日、日産・ゴーン前会長の勾留理由開示法廷が開かれた。これだけ注目を集めるというのは異例のことだったが、ゴーン前会長の陳述で、ますます濃厚になったのが、検察の捜査、逮捕の強引さだ。

 改めて説明しておくと、ゴーン前会長が現在勾留されているのは2つの行為が特別背任にあたると東京地検特捜部に3回目の逮捕をされたためだ。

 そのうちのひとつめの容疑は、2008年の10月末にゴーン前会長が自分がやっていた為替スワップ契約の契約主体を日産に移し、ゴーン前会長が負っていた損失を日産に付け替えたというものだったが、これに対して、ゴーン前会長は「金融危機で、金融機関から必要となる金額の担保を直ちに差し入れるように要求され、一時的に担保を提供されたもの」であり、「しばらくして、上記の二つの為替スワップ契約の主体を再び私に戻しましたが、この間、日産に一切損害を与えておりません」と言い切った。

 開示法廷後のゴーン氏の弁護士の会見では、さらに、この「為替スワップ契約」で、契約主体を日産に変更したあと、差額の損の支払いはゴーンか元会長が引き続き負担すること、銀行、ゴーン前会長、日産の間での3者で合意があったことも明かされた。

 これが事実なら、相手側に損失を与えたことが立証しなければ成立しない特別背任で逮捕できるとは到底考えられない。

 もうひとつの容疑も同様だ。は、2009年から2012年にかけ4回にわたって、サウジアラビアの実業家に1470万アメリカドルを必要がないのに日産から送金させたという容疑も、捜査に大きな問題があったことが明らかになった。

 ゴーン会長はこのサウジの実業家ハリド・ジュファリ氏が長年にわたって日産の支援者であり、パートナーで、「日産の資金調達や、地元の販売代理店との間で紛争になったときの解決、サウジアラビアでの自動車工場建設に支援してくれた」とし、「同氏の会社からの請求に基づき、関係部署の承認に基づいて、相応の金額の対価を支払った」と真っ向から反論した。

 しかし、それ以上に衝撃的だったのは、このサウジの実業家に特捜部がまだ、事情聴取していないことが明らかになったことだ。一方の当事者の聴取もなしに、逮捕っていくら何でも無茶苦茶だろう。

 特別背任での3回目の逮捕が、金融証券取引法違反の再逮捕による勾留延長を却下されたために、容疑が固まっていないのに強行突破したという見方がささやかれていたが、まさにそれが証明されたということだろう。

 しかも、本サイトが最初の逮捕直後から一貫して指摘してきたように、退職後の報酬を金融証券取引法違反とした捜査もかなり無理があった。

 いったいなぜ、検察はこんな無理スジ捜査をしたのか。

 また、特別背任に問われた16億円の支払いについても、業務実態はあったとし「同氏の会社からの請求に基づき、関係部署の承認に基づいて、相応の金額の対価を支払いました」と明確に否定した。 しかも、サウジ実業家ハリド・ジュファリ氏もきょう8日公式コメントを発表したが、「日産自から4年間で受け取った1470万ドルはサウジにおける日産自の事業戦略の支援・促進に向けた正当な事業目的のためのもので、事業経費の立て替え払いも含まれていた」とし、検察の聴取も受けてないことも明らかになった。

 こんな状態で裁判に突入すれば、ゴーンサイドに反撃を受け、公判を維持できなくなるばかりか、日産ともども、激しい批判を浴びるのは必至だろう。

「とくに今回は、フランスとの関係もあるからね。特捜部長はもちろん、東京地検検事正のクビが飛ぶ事態にもなりかねない」(前出・検察OB)

 本サイトでは、ゴーン前会長が再逮捕された際、この特捜部による無理筋逮捕の裏に、安倍政権幹部や政府の影がちらついていることを指摘した。その記事を再編集してお届けするので、ぜひ読んでほしい。
(編集部)

クーデターの中心人物だった日産執行役員と菅官房長官の蜜月

 検察の捜査の実態を目の当たりにすればするほど、大きくなるのが、東京地検特捜部がなぜ、こんな無理筋の事件に着手したか、という疑問だろう。日産の反ゴーンチームが1年ほど前から極秘にゴーン氏の不正を調査し、特捜部に情報提供していたのは周知の事実だが、どうして特捜部は公判維持さえ危ぶまれる虚偽記載だけで逮捕に踏み切ったのか。

 その答えとして、ここにきて再び強まっているのが、安倍政権の関与説だ。

 そもそも、今回のゴーン逮捕をめぐっては当初から「国策捜査説」が流れていた。逮捕の裏には、日産、三菱自動車のルノーとの統合、海外移転を阻止する日本政府の意思があったのではないか、という説だ。

 たしかに、ルノーの筆頭株主であるフランス政府は三社を全面的に統合し、日産や三菱もフランスに移転させる計画をぶちあげていた。ゴーン氏は当初、この経営統合計画に異を唱えていたが、今年2月、ルノーCEO続投と引き換えに、態度を豹変。「すべての選択肢が考えられる」と経営統合を排除しないことを表明した。これに官邸や経済産業省が危機感をもち、検察と日産幹部らの背中を押したのではないかというものだ。

 この国策捜査説には当初、具体的な根拠は全くなかったのだが、ここにきて、安倍政権と日産クーデーター、そしてゴーン逮捕をつなぐ接点が次々と浮かび上がっているのだ。

 そのひとつが、ゴーン不正追及の動きが逐一、菅義偉官房長官に伝えられていたとの見方だ。いま、さまざまなメディアで、日産内部にゴーンの不正を調査していた極秘調査チームがあったことが報道されているが、中心人物と名指しされてるのが、専務執行役員で弁護士資格も持つマレー系イギリス人のハリ・ナダ氏と同じく専務執行役員で、広報担当を務めていた川口均氏。このコンビが最初に動いて情報を集め、弁護士、検察との間で計画を詰めていったといわれている。

 ところが、そのひとりである川口氏が、菅官房長官と非常に親しい関係にあるのだ。

「日産の本社は横浜ですから、地元選出の大物政治家である菅官房長官とは会社ぐるみで関係があるんですが、川口さんは特別です。なんでも、川口さんが横浜商工会議所の副会頭になった頃から付き合いらしいですが、この数年は、頻繁に連絡をとりあって、会食や会合を重ねていた。社内では“川口さんの後ろ盾は菅さん”というのは共通認識になっていましたから。ゴーンの件も、菅さんに事前に相談していなかったとは考えにくい」(日産関係者)

日産クーデター組が相談していたのは自民党御用達の弁護士だった

 川口氏は、東京地検特捜部がゴーンを逮捕した直後、菅官房長官を訪ねて、逮捕の報告と謝罪を行った人物。その際、川口氏が報道陣に「菅さんは驚いた様子だった」とコメントしたことから、「わざわざ菅官房長官が知らなかったと強調したのが、逆に不自然」との声が出ていたが、逐一、菅官房長官に報告をあげ、相談していたと見るほうが自然だ。

 実際、ゴーン逮捕前から日産内部に食い込んでいたことで知られる「週刊文春」(文藝春秋)も12月6日号の記事で川口執行役員がハリ・ナダ氏と連携をとっておいたことや、菅官房長官と親しい間柄であることを強調していた。

「菅官房長官のあの冷静な対応をみても、最初から全て織り込み済みだった可能性は非常に高いと思います」(前出・全国紙司法担当記者)

 国策捜査をうかがわせる接点はまだある。日産の極秘調査チームが自民党に近い弁護士に相談をしながら、検察への告発を進めていたというのもそのひとつだ。

 この弁護士とは熊田彰英氏。特捜部出身のヤメ検だが、今年3月、森友問題の公文書改ざんで証人喚問を受けた佐川宣寿・元理財局長の補佐人として佐川氏にアドバイスをした弁護士。他にも、政治資金規正法違反に問われた小渕優子議員などを担当。“政権の守護神”“自民党御用達”といわれている弁護士だ。

「この熊田氏ともうひとり司法取引に強い弁護士が、検察との間に立って、日産幹部たちの責任が問われずに、ゴーンだけを逮捕するというスキームをつくっていったといわれています。この構図を考えると、官邸に情報が上がっていないわけがない」(全国紙政治部記者)

経産省から送り込まれた日産取締役と、今井尚哉首相秘書官が仕掛人?

 さらにもうひとり、安倍政権と「日産のクーデター」を結びつけるキーマンがいる。それは、今年6月から日産の社外取締役をつとめる経産省OBの豊田正和氏だ。豊田氏は、同省の事務次官に次ぐNo.2である経済産業審議官、内閣官房参与なども歴任した大物OBである。

 実は、ゴーン逮捕以降、豊田氏は社外取締役という立場であるにもかかわらず、新聞記者が取材に押しかけており、元朝日新聞編集員の山田厚史氏によれば〈今や「夜の広報担当」といった存在〉(ダイヤモンド・オンライン12月11日)になっているという。

 いったいなぜか。前述したように、豊田氏が日産の非常勤取締役に就任したのは今年6月。まさに、ルノーとの統合や海外移転を阻止するために、経産省が送り込んだ人物なのだ。

「日産はかつては経産省と非常に近く、有力天下り先だったんですが、ゴーン体制になって以降、経産省OBの受け入れていなかった。ところが、6月に豊田氏が突如、非常勤取締役に就任。その半年後に、ゴーン会長が逮捕された。これは、クーデターを前提にした人事としか考えられません。実際、ルノーとの交渉など、日産の今後の方向性は豊田氏が主導するといわれていますから」(前出・全国紙政治部記者)

 しかも、豊田氏は、安倍首相の側近中の側近で、やはり経産省出身の今井尚哉首相秘書官とも近い関係にあるという。

「経産省時代は大きな接点はありませんが、今井氏が資源エネルギー庁次長をつとめていたとき、豊田氏はシンクタンクの日本エネルギー経済研究所理事長として、今井氏の原発再稼働路線を全面バックアップしていた。今回のゴーン逮捕も、この今井=豊田ラインの連携プレーが大きな役割を果たしたということじゃないでしょうか。直接、検察を動かしたというのはないと思いますが、日産の海外移転を防ぎ、自分たちの影響力を復活させたい経産省が、日産のクーデター組を焚きつけた可能性はおおいにある。そして、こうした経産省や官邸の動きを察知した検察が、強引に捜査に及んだということじゃないでしょうか」(前出・全国紙政治部記者)

 いずれにしても、ゴーン逮捕は企業を私物化している経営者を“正義の見方”検察が成敗したというような単純な事件ではない。背後には、企業内の権力闘争だけでなく、政治権力の思惑も渦巻いていた。

 しかし、その結果がこんな法の公正な運用を危うくし、国際社会も巻き込んだ大混乱を招きつつある。いったいこの責任は誰が取るのだろうか。

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