つるの剛士がネトウヨ活動を本格化?『虎ノ門ニュース』に「いつも見てる」と生出演し「愛国心がある人の足引っ張るな」

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『真相深入り!虎ノ門ニュース』に出演したつるの剛士(DHCテレビより)

 いよいよ本格的に“ネトウヨ文化人”へ舵を切った、ということなのだろうか。タレント・俳優のつるの剛士が、6月21日放送のネット番組『真相深入り!虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)に生出演した。

 つるのといえば、テレビは“良きパパ”のキャラクターで知られるかたわら、Twitterでは数々の発言で物議を醸してきた。

 たとえば、2015年には安保法制について〈「反対反対」ばかりで「賛成」の意見や声も聞きたいなぁって報道やニュース観ていていつも思う〉。2016年にはユーキャン新語・流行語大賞の「保育園落ちた日本死ね」をめぐり〈こんな汚い言葉に国会議員が満面の笑みで登壇、授与って。なんだか日本人としても親としても僕はとても悲しい気持ちになりました〉と批判。昨年も、熊本の女性市議が7カ月の子どもを連れて議会に出席しようとしたところ締め出された問題に関して〈女性や育児、待機児童問題。。などを正義の盾にして正論の剣を振りかざす社会にボクは発展はないと思う〉などとツイートし波紋を呼んだ。

 そんなことからつるのは、ネット右翼からも一目置かれる存在になっており、いつのまにか「愛国タレント」(笑)を自認するまでなっているわけだが、それが今回、あの『虎ノ門ニュース』に生出演したというのだから穏やかではない。

 周知の通り同番組は、青山繁晴や百田尚樹、竹田恒泰、ケント・ギルバートなどなど、錚々たる右派文化人がレギュラーを張る、いわばネトウヨの吹き溜まり。つるのもとうとう振り切ったのか、と思わずにはいられないではないか。

 というわけで視聴してみた。まず、スタジオに登場したつるのは「いつも拝見させてもらっている番組なので、まさかここに僕が座ることになるとは」と破顔一笑。木曜レギュラーの有本香から連絡があり出演にいたったという。そして、わきあいあいと6月に出した著書『バカだけど日本のこと考えてみました』(KKベストセラーズ)を宣伝。前述した数々のツイートが批判されたことに「ちょっと腑に落ちないというか、違和感があった」ので本に著したらしい。

 その後、有本から例のRADWIMPSの中身スカスカな愛国風ソング「HINOMARU」の話題を振られると、つるのは「僕は全然、まったく何が変な歌なのかもわかりませんでしたけど」「ライブ会場の前でデモやるとか? それって法律にひっかからないんですか?」などと言う。これに有本も「威力業務妨害だと思いますね。他人の表現の自由を完全に侵害しようとしている」などと相槌を打つ。いやはや、ごく一部の反応のみをフレームアップして犯罪だとか批判者が表現の自由を殺しているなどと騒ぐとは完全にネトウヨトークだが、さらにつるのはこう続けるのだ。

「なんなんですかね。日本、ふるさとですからね。別に自然だと思うんですよ。僕は日本好きだし。ふるさとなんで。で、まあ、百歩譲ってですよ。日本嫌いな人がいてもいいと思うんですよ。そしたら、別に好きな人を貶めなくてもいいじゃないですか。そこが問題で。別に本人の問題だと思うんですけど、別に愛国心がある人を、足引っ張る必要ないんじゃないかと。ほっといてほしいし」

ネトウヨ心性をごまかし「HINOMARU」と靖国神社を語ったつるの剛士

 いったい、この人は何を言っているのだろう。だいたい、人々がRADWIMPSの「HINOMARU」に拒否感を示したのは、軍国主義や特攻賛美を思わせるフレーズが無批判に散りばめられていたからであって、日本が好きとか嫌いとかそういうレベルの話ではない。それを「愛国者の足をひっぱるな」とは、ちょっと呆れて言葉が出ないではないか。

 しかし、逆に言えば、こういう論法こそ、ある意味つるのの真骨頂だ。つまり「普通に日本が好きなだけの兄ちゃん」を気取って政治色を薄め、「ふと疑問に思ったことがあって、みんなの意見をききたかった」と振る舞うことで中立のふりをしながら、主張の根幹は安倍応援団やネトウヨ界隈のトレンドを無批判になぞっている、というやつである。

 実際、つるのが『虎ノ門ニュース』で宣伝していた著書もこれを踏襲している。そもそも、「バカだけど日本のこと考えてみました」というタイトルからして「バカ」を予防線に無害を演出する意図が丸見えだが、読んでみると、その主張の根幹は完璧に極右界隈のトレースだった。たとえば靖国神社について、つるのはこんな風に記す。

〈僕は毎年、終戦記念日に靖国神社を参拝します。
「それ見ろ、やっぱりつるのは保守だ! 右翼だ! ネトウヨ(?)だ!」
 と言われそうですが、別に何らかの政治思想に基づく参拝ではありません。靖国神社には、親族が祀られています。なので、僕は祖先のお墓に手を合わせるのと同じ気持ちで毎年靖国を参拝しています。たとえ親族が祀られていなかったとしても、国のために亡くなった戦没者たちに手を合わせることで「右」のレッテルを貼られるのはおかしなことだと思っています。〉

 まさに「戦争で亡くなった人に手を合わせて何が悪い」という靖国擁護論の典型だが、一方で、靖国神社の前身が戊辰戦争での「官軍」だけを祀った東京招魂社であることはおろか、驚くことに、いわゆるA級戦犯合祀(分祀)問題にすら一切触れないのである。

 にもかかわらず、つるのは〈亡くなった人たちに手を合わせるのは、人として当然のことなのに、なぜそんなところまで他国から干渉されなければならないのか……〉と書き、さらには従軍慰安婦に関する河野談話や村山談話もそうだとして〈すぐに謝る、とりあえず謝っておくという曖昧な外交姿勢が結局は今の靖国参拝問題につながっているような気がします〉〈他人から「お墓参りに行くな」と言われているから、相手の顔を立てて自分の家の墓参りに行かない。普通に考えれば、そんなところで他人に気を遣う必要なないはずです〉などというのだ。

 つまり、この自称「日本が好きなだけ」おじさんは、靖国に祀られている英霊とは戦前の大日本帝国のご都合主義から選ばれたものでしかなく、たとえば数十万人にも及ぶ空襲や原爆の死者などの戦災者は一切祀られていないという事実を完全にネグって、「よそから言われて先祖の墓参りもできないのか」と嘯いているわけである。むちゃくちゃにもほどがあるだろう。

 ようするに、これがつるのの話法のキモだ。議論の前提をことごとく無視しながら、表層的すぎる暴論を平易な言葉で表現し、同時に「一国民の一意見ですが」などと加えることで政治的無垢を装い一般化しようとする。タネを明かしてしまえばなんてことない、カマトトぶった詐欺の話術である。

つるのの著書『バカだけど日本のこと考えてみました』の唖然とする中身

 ただ、詐術だからといってその危険性はいささかも減じない。逆だ。そもそも、つるのは頻繁にテレビに出演し、ツイッターでは約59万人のフォロワーをもつ売れっ子タレントだ。そのつるのが極右界隈とほとんど同じ主張を、極端なトーンでなく、“天然系のよき父親”というキャラクターで拡散させている。それはある意味、ネトウヨにしか言葉が届かない百田尚樹や竹田恒泰よりもはるかに影響力が高いだろう。

 しかも、繰り返すがソフトなのはイメージだけで、その中身は醜悪なネトウヨ思想と大差ない。実際、つるのは「ただ日本が好きなだけ」と言うが、『虎ノ門ニュース』でも語っていたように、その言葉のあとには「愛国者の足を引っ張るな」と続くのである。だいたい、靖国の特質性すら知らない(あるいは知らないふりをしている)人間が「愛国者」のツラをしているだけでもおこがましいが、ことさら「愛国」を笠に着て異論に圧をかけるやり口はファシズムだ。

 見方を変えれば、だからこそ極右界隈はいま、つるのに熱烈なラブコールを送っているのだろう。たとえば、極右雑誌「正論」(産経新聞社)2016年3月号に掲載された自称・保守女子たちの座談記事では、彼女たちが注目している芸能人として、ネトウヨ芸人・小籔千豊とともにつるの剛士の名前をあげられた。また、本サイトでも以前お伝えしたが、つるのは、あの「親学」関連のイベントに複数回参加、告知ポスターにも顔写真入りで前面に押し出されていた。

 念のため言っておくが、親学とは日本会議の中心メンバーである高橋史朗が提唱する教育理論で、「児童の2次障害は幼児期の愛着の形成に起因する」などというデタラメを主張するもの。教育の責任を親とりわけ母親だけに押し付け、“子どもを産んだら母親が傍にいて育てないと発達障害になる。だから仕事をせずに家にいろ”という科学的にはなんの根拠もないトンデモ理論だ。

 つるのは、Twitterでイベントへの関与とその危険性を指摘されると〈親学ってなんでしょうか?全く知りません。詳しく教えてください〉と無知を装ったが、結局、読者に親学について解説されてもスルーし親学の内容を否定しない。

 前掲の著書『バカだけど〜』でもまた、親学の中身や自身の評価ついてはネグったまま、〈僕は自分の子育ての実体験を話すためにイベントに出させていただいただけなのに、それだけで「広告塔」だとか、「“親学”に関与している」なんて言われてしまったのです〉〈1回でもそういうところに出たという事実だけを切り取って、「この人は○○という団体の人間なんだ」みたいにレッテルを貼る〉と被害者ズラをしている。言っておくが、つるのが親学関連イベント参加したのは1回だけではなく、ポスターを見てもつるのが「広告塔」として扱われているのは明らかであるし、不本意にも利用されたのならば主催側に怒るべきであって、親学の思想の危険性を指摘する声を攻撃するのはお門違いにもほどがある。

“良きパパ”キャラで政治的無垢な中立を装いながら極右界隈の主張を広めるつるのは、脂ぎったオッサンばかりの安倍応援団や右派論壇からみれば、喉から手が出るほどほしい人材だ。そしておそらく、つるのもまた、そうした極右界隈のニーズとビジネスチャンスを十分に意識している。でなければ、ネトウヨ思想そのものの浅薄な本を出版したりはしないし、ネトウヨ御用達の『虎ノ門ニュース』に嬉々として出演したりもしないだろう。

 いずれにしても、ある人が「ただ日本が好きなだけ」「普通の愛国心を持っている一市民」を自称するとき、その「だけ」「普通の」という言葉に隠された圧力と自己正当化を見抜かねばならない。それが、つるののような影響力のあるタレントならばなおさらだ。「愛国者の足を引っ張るな」なる主張がまかりとおる社会は危うい。面妖な「愛国タレント」にゆめゆめ騙されてはならない。

最終更新:2018.06.23 07:53

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