高畑裕太事件で梅沢富美男が橋本マナミに「オマエがやらせないのが悪い」女性を性処理係扱い、橋下徹と同じ女性蔑視

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梅沢富美男オフィシャルブログより


 強姦致傷容疑で逮捕された高畑裕太容疑者の事件をめぐって、昨日、耳を疑うような発言がテレビで飛び出した。

 それは、TOKYO MXで放送中の夜のワイドショー『バラいろダンディ』でのこと。番組には、21日放送の『行列のできる法律相談所』(日本テレビ)で高畑容疑者からアプローチを受け、拒否したばかりだったグラビアアイドルの橋本マナミが出演しており、番組は“被害者女性は橋本マナミ似”と報じた東京スポーツを紹介し、番組レギュラーの梅沢富美男が彼女に事件の感想を求めた。

 この東スポの報道じたいひどいもので、話題を振られた橋本も、「ちょうどこの事件が起こる前日に『行列のできる法律相談所』で(アプローチを)断っていた、その矢先のことだったから……。あまりにも私もびっくりしちゃって」と困惑。すると、ここで梅沢が橋本に対し、こんなことを言い出したのだ。

「でも俺、これが出たときに、おまえがいちばん悪いのかなと思ったよ」

 咄嗟に橋本は「え? わたしが悪いんですか?」と驚いたが、梅沢は怯むことなく「蛭子(能収)にやらせるくらいだったら、高畑にやらせてもよかったんじゃないの?」とつづけて発言したのだ。

「おまえがいちばん悪い」「高畑にやらせてもよかったんじゃないの?」──どうしてそんな話になるのかさっぱりわからないが、梅沢の発言が「橋本がやらせておけば事件は起きなかった」という意味だったことは明々白々だ。

 しかし、このあまりにグロテスクな橋本に対する暴言に場は凍り付くかと思いきや、橋本が「蛭子さんにヤラせてないです!」と梅沢に返すと、スタジオはスタッフと共演者たちの笑いに包まれたのだった。……思わず戦慄が走る光景だが、これは昨晩、現実にテレビで起こったことだ。

 セクハラを女性が訴えたときに男性がよく口にするように、梅沢にしてみればジョークのつもりだったと抗弁するのだろうが、これはジョークなんかじゃない。しかも、テーマになっているのは強姦致傷という重大な犯罪についてだ。それを「おまえが処理してやっていれば、こうはなってない」などと軽口を叩くことは、橋本だけではなく被害者を、そしてすべての女性をも蹂躙するものだ。

 だが、梅沢と同じような考えをもっている者は、きっと少なくない。たとえば、今年5月に起こった沖縄の米軍属による女性暴行殺人事件でも、橋下徹はTwitterでこんな暴言を投稿している。

〈米兵等の猛者に対して、バーベキューやビーチバレーでストレス発散などできるのか。建前ばかりの綺麗ごと。そこで風俗の活用でも検討したらどうだ、と言ってやった。まあこれは言い過ぎたとして発言撤回したけど、やっぱり撤回しない方がよかったかも。きれいごとばかり言わず本気で解決策を考えろ!〉

 橋下は以前にも普天間基地を視察した際に「もっと日本の風俗業を活用してほしい」と米軍指令官に提案し、指令官を凍り付かせた“前科”があるが、この橋下の考え方は、今回の梅沢の発想とまったく同じものだ。それは、性暴力そのものを「是正できない」と肯定し、性犯罪を抑止するためには別の女性が捌け口になるしかない、という考え方である。ここで彼らが用意しようとするのが、“性を売り物にする”風俗従事者であり、グラビアアイドルなのだ。

 なぜ、性暴力の抑止を女性が担わなくてはいけないのか。しかも、彼らはけっして自分の妻や娘に暴力の抑止係を担わせようとはしない。ここではっきりとわかることは、彼らは「守るべき女」と「暴力が向けられて構わない女」を分けて考えている、ということだ。

 イギリスの社会学者であるアンソニー・ギデンズは、歴史的に女が2つに分けてられてきたことを、このように説明している。

〈従来、女性はほとんどの場合、貞淑な女か尻軽な女かに分けられ、「尻軽女」は世間体を重んじる社会の周縁にのみ存在してきた〉
〈他方、男性の場合、身体の健康のために数多くの女性と性関係をもつ必要があると、昔から──しかも、男性だけでなく女性からも──考えられてきた。男性が結婚前に多彩な性的出会いをもつのは、一般に好ましいとされ、また、結婚後も実際には男性と女性とで異なる、性の二重の道徳規範が働いてきた〉(『親密性の変容』松尾精文、松川昭子訳/而立書房)

 今回の事件で、男性だけではなく女性からも少なからず「高畑は羽目を外しすぎた」などという甘い意見が見られるのは、“そういう生き物”という男の性に“寛容”な視線があるからだろう。同じように、社会学者でありフェミニストの上野千鶴子は、こう解説する。

〈性の二重基準とは、男向けの性道徳と女向けの性道徳とが違うことを言う。男は色好みであることに価値があるとされるが(吉行淳之介や永井荷風のように)、女は性的に無垢で無知であることがよしとされる。だが、近代の一夫一婦制がタテマエは「相互の貞節」をうたいながら、ホンネでは男のルール違反をはじめから組み込んでいたように(守れないルールなら最初から約束なんかしなければよい)、男のルール違反の相手をしてくれる女性がべつに必要となる。
 その結果、性の二重基準は、女性を二種類の集団に分割することになった。「聖女」と「娼婦」、「妻・母」と「売女」、「結婚相手」と「遊び相手」、「地女」と「遊女」……の、あの見慣れた二分法である〉(『女ぎらい─ニッポンのミソジニー』紀伊國屋書店)

 こうして女は男に都合がいいように〈分割〉されてきたが、最近ではようやく「肉食系女子」のように性の主体となる動きが出てきた。それでも、その反動から処女性に重きを置いたり、性に奔放な女性を「ビッチ」と罵る男性が目立つようになり、やはり性暴力事件が起こると、梅沢や橋下のように、男が女を支配しやすいように用いられてきた〈分割〉の考え方が当たり前の顔をして幅を利かせるのだ。

 だが、このような多くの人が内面化してしまっている性道徳の二重規範や女性を分断する分け方は、女性の人権をまったく無視したものであるということを忘れてはいけない。しかも、女だけではなく男もまた「女の経験人数が多いほど男には価値がある」などというばかばかしい規範を押し付けられているのである。

 性暴力は“男の性”などではなく、どこからどう切り取ろうとも犯罪だ。それが、そうした認識もなくテレビによって平然と矮小化され、あろうことか女に責任が転嫁されていく……。昨年の世界の男女平等ランキングで日本は145カ国中101位というひどい結果だったが、それも当然だ、と思わざるを得ない。
(田岡 尼)

最終更新:2016.08.26 03:10

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