ヤバいのは小池百合子だけじゃない! 自公が推す都知事候補・増田寛也と原発ムラ=東電とのただならぬ関係

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増田寛也オフィシャルサイトより


 今月31日に投開票が行われる東京都知事選。本日昼に配信した記事では、優勢を伝えられる小池百合子・元防衛相の本質が極右ヘイトそのものであり、いかに東京都知事にふさわしくないか、を指摘したが、もうひとり警戒を怠ってはいけない候補者がいる。自公推薦の増田寛也・元総務相だ。

 今回、自民党は大本命だった嵐・櫻井翔の父親である桜井俊・元総務事務次官に逃げられ、岩手県知事を3期12年務めた経歴をもつ増田寛也氏を擁立。猪瀬直樹、舛添要一と立てつづけにカネの問題で失脚してきただけに、自民党は増田氏が“クリーンな政治家”“実務家”だとアピールするが、それは大ウソだ。

 たとえば、増田氏は岩手県知事時代、1年間で国内外に171回も出張を行い、さらにファーストクラスを利用していたことが発覚。なかでも2013年8月の出張では〈南北アメリカ訪問で、16日間の渡航と宿泊費が383万円だった〉(岩手日報16年5月17日付)という。

 また、「週刊文春」(文藝春秋)7月21日号では、増田氏が総務相当時に赤坂の高層マンションを2億円ほどで購入した事実を報じ、これは国務大臣らが在任期間中に不動産取引を行うことの自粛を求める大臣規範(国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範)に反しているのではないかと指摘した。

 増田氏は例の舛添問題の際は舛添批判を展開していたが、何を言わんや、すでに増田氏には“舛添の二の舞”感が漂っているのだ。

 しかも、「実務家」という看板の方にも偽りがある。実際、増田氏の知事としての働きを検証した岩手日報は、こうした評価を下している。

〈「がんばらない宣言」「環境首都」などのキャッチフレーズで全国に名を売ったが、県債残高は知事就任時の七千億円から一兆四千億円に倍増。内陸部と県北・沿岸部の地域間格差や医師不足という課題も深刻化した〉(07年1月27日付)

 公共工事や大型開発事業といったいかにも自民党的な土建政策によって結局1.4兆円もの借金をこしらえた。それが増田氏の偽らざる知事時代の業績というわけだ。よくこれで「地方創生」「実務家」などと謳えるものだ。

 だが、こうした厚顔さを裏付けるエピソードはさらにある。増田氏をめぐっては、都知事選公示日前日の13日に、ある企業がひっそりとこんなプレスリリースを流していた。

〈当社取締役の増田寛也は、本年7月8日をもって取締役を辞任いたしました〉

 これを発表した企業というのは、東京電力ホールディングス。増田氏は14年6月から東電の社外取締役に就任しており、公示日を前にこっそり退任したのだ。

 しかも、増田氏は東電株を1902株も取得している。13日に開かれた記者会見でも「安全性が確認された原発を動かす政策は認めていくべきだ」と明言するなど、原発の再稼働を後押しする姿勢を見せていたが、もし現在も東電株を保有しているとなると、増田氏は立派な東電の利害関係者である。当然、増田氏には有権者に対して説明する責任があるかと思うが、まだそうした言葉は本人から聞けていない。

 じつは、増田氏は以前、原発事故の損害賠償にかかる費用などを国費から支出する“東電援助”のために設立された原子力損害賠償支援機構(現在は「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」に改組)の委員長を務めていたが、東電社外取締役にスライドする直前に同機構の委員長を退任している。ちなみに、社外取締役の報酬は計6人に対して年間6200万円が支払われており、増田氏の場合は他の委員会の委員長を務めていたことから〈他の5人の社外取締役より多額の報酬を受け取っていた可能性も高い〉(日刊ゲンダイ16年7月16日付)らしい。

 他方で増田氏は、野村総合研究所顧問という肩書きで経済産業省の「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」「原子力小委員会」「長期需給見通し小委員会」などに参加、エネルギー基本計画にもかかわってきた。つまり、増田氏はずっと東電と密接な関係にありながら、経産省の審議会で原発推進を訴えてきたのだ。

 そんな増田氏がもっとも力を発揮したのは、マスコミが復活させた原発広告における“広告塔”の役割だろう。

 たとえば、読売新聞の今年2月28日付朝刊に掲載された「資源なき経済大国 どうする? どうなる? 日本のエネルギー」なるタイトルの全面記事広告では、ママタレとして活躍する優木まおみ氏や経済評論家の勝間和代氏らとともに増田氏が登場。「国の家計を示す貿易収支は、震災以降赤字が続いています。最大の要因が、原発停止に伴う化石燃料の輸入の増加なのです」などと原発再稼働をリードする説明を行っている。この広告を出稿したのは、電気事業連合会だ。

 増田氏はこのほかにも、読売新聞4月16日付および「中央公論」(中央公論新社)16年6月号、「日経ビジネスオンライン」などの記事広告にも登場。さらに、今年5月9日に東京で開かれた高レベル放射性廃棄物の地層処分にかんするシンポジウムにおいてもパネラーとして参加している。こちらはすべて原子力発電環境整備機構(NUMO)が出稿・主催したものだ。

 このように、完全に“原子力ムラ”の中心人物として活動してきた増田氏だが、当然ながらこうした姿勢は政策提言にもフィードバックされている。現に、原発事故後の11年5月に設立された政策提言の民間会議「日本創成会議」の座長に就任したが、同年11月の第1回提言から“原発容認”を繰り出していた。

〈エネルギー政策に関する議論は、「脱原子力」と「原子力維持」という二項対立の中で立ち止まっている〉
〈日本は、国内外のエネルギー需要を踏まえ、当面、原子力発電を継続し、福島の経験を人類共通の「知」として公開し、世界の安全利用に貢献していくべきである〉
〈(原発は)最新技術のものにリプレース(置換)していくことを検討すべきである〉

 さらに、同会議が14年9月に開いた消滅可能性都市にかんする講演では、増田氏はもっと露骨な発言を行っている。

「消滅可能性都市を免れている自治体は、いずれも若い人の雇用の場がきちんと確保しているという特徴があります。たとえば、米軍も利用している三沢飛行場がある青森県三沢市、原発施設がある青森県六ヶ所村です。それぞれ自治体ごとに理由はありますが、共通するのは所得の高い、若い人たちの雇用の場があるということです」(ハフィントンポスト記事より)

 原発施設があれば、消滅可能性がある地域でも高い所得が得られ、雇用の捻出もできる──。つまるところ、増田氏が繰り返してきた「地方創生」というスローガンは、東電社外取締役という自身の立場から発せられていたのだ。

 自分の利害で政策を提言するような人物が“クリーン”“実務家”とは、片腹が痛いというもの。冒頭にも書いたように、現在は石原伸晃・自民党都連会長による「増田氏以外を家族含め応援すると除名処分」という“オウンゴール”も手伝って増田氏は劣勢に立たされているが、結局、自民党の言う“クリーン”“実務家”はこの程度なのだということを、よく覚えていてほしい。
(編集部)

最終更新:2016.07.21 07:04

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