「あたしはもう尖ってない」マツコ・デラックスがテレビに染まって自分が変わってしまったと告白!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
matsuko_160614.jpg
「SWITCH」(スイッチ・パブリケーションズ)Vol.34 No.5号

 ガーリーフォトにミニシアター、クラブカルチャーなど、音楽、映画、写真、アートといったジャンルが融合的に花開いた90年代。その“おしゃれカルチャー”を牽引する役割を担ったのは、「CUT」(ロッキング・オン)「STUDIO VOICE」(INFASパブリケーションズ/休刊)「SWITCH」(スイッチ・パブリケーションズ)といったカルチャー誌だ。

 が、ゼロ年代に入り、ネットやオタク文化が席巻しはじめると、おしゃれカルチャーはすっかり衰退。前述の雑誌も部数が激減し、アニメやアイドルを特集したり、芸能人などのマスカルチャーに擦り寄ったり、と方向転換を余儀なくされていった。

 ところが、最近、その“おしゃれカルチャー”雑誌の代表的存在ともいえる「SWITCH」(スイッチ・パブリケーションズ)Vol.34 No.5号にマツコ・デラックスが登場。辛辣な毒をはいている。

 まず、誌面冒頭、マツコはいきなりこう言い放つ。

「『SWITCH』に出ることはないでしょう」
「だって『SWITCH』はアバンギャルド雑誌だから。それも頭にエセがつく」

 これから自分を特集しようとする雑誌に対しあんまりな発言だが、マツコの毒舌はこんなものでは終わらない。マツコの攻撃は「SWITCH」編集長で、その記事のインタビュアーでもある新井敏記氏に向かう。新井氏は茨城県下館市(現・筑西市)の出身なのだが、そのことを突いてこんな言葉まで浴びせかけるのだ。

「新井さんは田舎者で、オシャレな世界に憧れていたんでしょう」
「田舎者が作っているから誌面にコンプレックスが現れる。それが直に伝わってくるとダサいわよ」

 編集長のコンプレックスまで持ち出しての口撃に、昨今のサブカル誌ではとんと読めなくなったヒリヒリしたものを感じ思わずニヤリとしてしまうが、マツコの「SWITCH」批判はまだつづく。最近の「SWITCH」は最先端の尖ったカルチャーを取り上げておらず、マスに媚びた雑誌に成り下がったとすらこきおろすのだ。

「マスを狙う雑誌はつまらない。「SWITCH」もそうなっているでしょう」
「だけど、「SWITCH」はそうなっちゃいけない雑誌だった気がするのよ。たとえばCoccoさんが「SWITCH」によく出ていたけど、この雑誌じゃないとCoccoさんはいろんなことを話さないんだろうなと思ったの。限られたところにしか心を開かなかったわけよね。でも今「SWITCH」がその受け皿になりうるかというと、そういう時期よりはもっとマスになっている。実際の部数は減ってるかもしれないけれど、イメージ的にも市場的にもマスに行っちゃったんだと思うのよ」

 まさに、カルチャー誌がマスに媚を売り、ダメになっていっている状況を言い当てたマツコだが、実はこのインタビューで、マツコは自分に対しても、同様のダメ出しをしている。「SWITCH」同様、自分もまたマスのフィールドに行ってしまい、かつて持っていたはずの尖った部分を失ってしまったと語っているのだ。

「でも最先端で居続けることって恐怖だと思うのよ。それはあたし自身にとってもそう。ずっとバキバキに尖ってられているかと言われたら、やっぱりいろんな人と関わってきて、いろんな人に迷惑を掛けることも知り、丸くなってきちゃうわけじゃない、どうしても。それはやっぱりメディアも一緒でさ、絶対に関わる人が多ければ多くなるほど、どうしても尖ってはいられなくなってゆくものよ。だからそこを尖り続けられる人が、本当に最先端であり、ムーブメントを作る人になるんだと思うのよ。だからそういう意味では、あたし自身はもうそこから離脱したと思ってる。最初はメディアをぶっ壊してやると思って出てきたから。テレビなんてあたしがぶっ壊してやるって思ってね。そしたら、いつの間にかメディアやテレビと一緒になって走り出した。一緒にテレビ番組を作っている人のことはやっぱり愛しくなってきちゃうじゃない。そうなるとさ、ぶっ壊すんじゃなくて、育てたいなんておこがましいことは思ってないけど、この人たちが幸せになってほしいとか、ぬるい方になっちゃうわけじゃない、どうしても」

 確かに、マツコが言う通り、かつてのマツコ・デラックスというコラムニスト、タレントは、もっと過激で尖った発言を繰り出す人であった。

 その典型が、2008年に行われた「論座」(朝日新聞出版/休刊)でのインタビューだ。いまから8年前の取材でマツコはいきなりこう畳み掛ける。

「アンタ、テレビでものをしゃべってるなんて、人間として最下層よ」
「新聞社とか、出版社に勤めている人間だってそうよ。なくても誰も死なないものを作ってお金儲けにしているんだから。アタシらみたいな人間が一番、世の中に必要ないのよ」

 自分も含め、マスメディアに携わる人間を全否定する言葉をいきなり浴びせかける。さらには、マスコミタブーである広告代理店についても単刀直入にぶった切った。

「お金を儲けようとする電通や博報堂が周りを固めて、そこに利権が発生したりするから、まあ、分かりやすい言い方しちゃうと根腐れするのよね」

 そして、雑誌の出版元の親会社である朝日新聞に対し、産経新聞のコラムの名を出しながら、こうダメ出しするのだ。

「好きか嫌いかで言ったら微妙だけどさ、「産経抄」の方がよっぽどいいわよアンタ」
「(朝日は)あれ(産経)と闘わなきゃいけないのに、右だか左だか上だか下だか分からないようなぬるいことばっかり書いて。(中略)いつからか新聞って、公平中立でないといけないものだと見なされるようになって、朝日新聞がその代表になっているじゃない。誰もが不快な思いをすることなく読める新聞をつくろうなんて、初めから闘う意志がないわよ」

 かつてはこんなに尖っていたマツコ。「SWITCH」でマツコが「どうしても尖ってはいられなくなってゆくものよ」と発言した裏には、世に出始めたときにもっていたエッジを自分が失いつつあることに対する忸怩たる思いがあったのだろう。

 と、思ったのだが、ことはそう単純ではない。前述08年のインタビューでマツコは、数寄屋橋での辻説法が有名な右翼活動家・赤尾敏の生き方をあげながら、過激な活動や言動が出来なくなりつつある自分の置かれている現状に対し、こんなことも語っていたのだ。

「ああやって生きられたらうらやましいよね。残念だけどアタシは、社会順応性や理性が邪魔をして、あそこまで踏み外せないんだよね。女装なんて踏み外したうちに入らないわよ。赤尾敏みたいなことができない人間は、生意気なことを言う資格はないって気持ちが常にあるの。だからすごく嫌なのよ今、自分が。安全地帯から発言しているだけだから」
「魂を売るってこういうことなのねって、日々テレビに出ながら感じてるのよ」

 つまり、マツコ・デラックスは8年前からずっと同じように「自分はテレビに染まってしまい、尖っていた部分を失った」ということを言い続けていたのである。8年前といったら、深夜1時45分から15分間だけ放送されていた初の冠番組『マツコの部屋』(フジテレビ)すらまだ始まっていない段階である。そんなときからマツコはエッジを失いつつあると告白し続けていた。

 こんなふうに自分から「魂を売った」と先回りして言われたら、「最近のマツコは刺が取れて面白くなくなった」とは言えなくなる。この頭の良さがあるから、マツコ・デラックスというタレントはマスでありながら、うるさがたのネットユーザーや辛口コラムニストたちからも一目置かれているのだろう。でも、ちょっとずるいような気もするのだが……。
(新田 樹)

最終更新:2017.12.05 09:56

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

SWITCH Vol.34 No.5 マツコ・デラックス

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

「あたしはもう尖ってない」マツコ・デラックスがテレビに染まって自分が変わってしまったと告白!のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。マスメディアマツコ・デラックス広告代理店新田 樹朝日新聞の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 菅首相が追い詰められ本音ダダ漏れ、ジェンダーバイアス発言も
2 『バイキング』がリコール不正で高須院長を露骨擁護!スポンサーに忖度か
3 田崎史郎が山田真貴子辞職でも「入院は山田氏の判断」「食べたの3万円分」
4 大阪維新「ファクトチェッカー」が一般市民の事実に基づく批判を吊るし上げ
5 山田真貴子内閣広報官が育鵬社の教科書に“男女平等の象徴”として登場!
6 不倫?谷亮子の意外な肉食遍歴
7 五輪選手の親はみんな“毒親”なのか?
8 福島沖地震で東電が福島原発の異変を隠蔽!菅首相も「すべて正常」
9 櫻井よしこ、西岡力、文春…朝日・慰安婦報道叩きのデタラメが次々露呈
10 年金データのマイナンバーはやはり中国に流出か…厚労省部会の報告書が指摘
11 葵つかさが「松潤とは終わった」と
12 丸川珠代は五輪担当相に不適格!「娘として」発言、ヘイトデマ丸乗り
13 愛知リコール不正は維新にも責任 事務局長は維新の衆院選公認候補
14 菅首相が山田内閣広報官を処分しない理由に女性問題を悪用!
15 菅首相の長男による総務省幹部接待は贈収賄だ! 接待音声データで菅長男が…
16 自民党がネトサポに他党叩きを指南
17 菅首相が“コロナ会見中止は山田内閣広報官隠し”と追及され逆ギレ!
18 セカオワSaoriの壮絶いじめ体験
19 大村知事リコールに高須克弥、百田尚樹、有本香らが勢揃い…
20 不具合放置のCOCOAに政府が4億円支出 受注したパーソルに中抜き疑惑も
1 年金データのマイナンバーはやはり中国に流出か…厚労省部会の報告書が指摘
2 福島沖地震で東電が福島原発の異変を隠蔽!菅首相も「すべて正常」
3 愛知リコール不正は維新にも責任 事務局長は維新の衆院選公認候補
4 菅政権のデジタル化のポンコツ暴露も、さらに五輪観客用アプリに73億円
5 丸川珠代は五輪担当相に不適格!「娘として」発言、ヘイトデマ丸乗り
6 菅首相が“コロナ会見中止は山田内閣広報官隠し”と追及され逆ギレ!
7 山田真貴子内閣広報官が育鵬社の教科書に“男女平等の象徴”として登場!
8 菅首相が山田内閣広報官を処分しない理由に女性問題を悪用!
9 大阪維新「ファクトチェッカー」が一般市民の事実に基づく批判を吊るし上げ
10 菅政権がワクチン特殊注射器8000万本を韓国に購入要請でネトウヨが激怒
11 五輪組織委会長の橋本聖子が高橋大輔の他にセクハラ 池江璃花子の白血病でも
12 田崎史郎が山田真貴子辞職でも「入院は山田氏の判断」「食べたの3万円分」
13 菅首相の長男による総務省幹部接待は贈収賄だ! 接待音声データで菅長男が…
14 『バイキング』がリコール不正で高須院長を露骨擁護!スポンサーに忖度か
15 菅首相が追い詰められ本音ダダ漏れ、ジェンダーバイアス発言も

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄