“売れないアイドル”小明がグラビアの実態に怨嗟の告発! 騙し討ちの手ブラ撮影、ハードなDVDを断ったら違約金

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『アイドル脱落日記〜ウェディング オブ ザ デッド〜』(講談社)

「グラビアアイドル冬の時代」という言葉が語られるようになって久しい。ご存知の通り、週刊マンガ誌のグラビアページなど、もともとグラビアアイドルたちが主戦場としていた場所は数年前よりAKB48グループのメンバーによって完全にジャックされ、それはAKB人気が低落した今も続いている。というか、グラビアアイドルの露出はさらにどんどん減っている。

 そんな状況下、これまで著書、ブログなどを通じ「売れないアイドル」の悲惨な日常を暴露し続けてきた、アイドル・ライターの小明が新著『アイドル脱落日記〜ウェディング オブ ザ デッド〜』(講談社)を出版した。同書は、アイドルとして10年近くキャリアを積み上げ、青春のすべてを捧げてきた彼女のこんな叫びから始まる。

〈私には色んな夢があったのに、アイドルなんかになったせいで全部おじゃんになったし……クッソ! みんな死ね!!〉

「アイドル」という仕事を続けていくことはそんなにもつらいことなのか……。本書にはこんなエピソードも綴られている。

〈ファンが減っています。正確に言うと次々と檀蜜へ流れていきます。前々から密かに「なんか顔が似てるな……」って思ってたんですよ。でも壇蜜さんは既に30過ぎてたし、そんなに知名度もなかったから全然気にしてなかった。そしたらあっという間にこの有り様ですよ。逆転どころの騒ぎではない。いっきに知名度と人気をあげて、私のファンを自称していた人たちのツイッターで、始めは「壇蜜と小明って雰囲気似てるよね、小明の方が好きだけど(笑)」みたいなツイートしてるなーと思ったら、いつの間にか稲妻のように私とファンを引き裂いていたね、壇蜜は〉

 SNS全盛の時代、今は自分のファンの心変わりまでタレント本人に分かってしまう時代なのだ。確かに、これはプライドも傷つくだろう。しかし、これしきのことで、「私には色んな夢があったのに、アイドルなんかになったせいで全部おじゃんになった」というほどの言葉が飛び出すものだろうか。彼女がこれまでの芸能人生で舐めてきた辛酸はこんな程度のものではなかったのである。

 前著『アイドル堕落日記』(洋泉社)には、こんなエピソードが書かれている。事件は、DVD撮影のため沖縄でロケをしたときに起きた。その旅はのっけから波乱含みで始まっている。

〈本来ならばマネージャーが同行するはずなんですが、先方さまが「マネージャーさんの航空券が確保できなかった」という理由で、マネージャー不在。なんじゃそりゃ。マネージャー無しのキワドイDVD撮影なんて、うちの事務所でははじめてのことです。このあたりから暗雲が広がり始めた気がします〉

 その悪い予感は見事的中。先方が用意した水着は打ち合わせにない露出度の高いものだった。

〈なんで現場で急に手ブラとか髪ブラをやるのかしら。いつでもどこでも笑顔で脱げる女じゃないわよ。前もって言ってくれないと、気持ちの準備ができないでしょ。現場を楽しくやるために、入念な打ち合わせをするんじゃない。そこでなんで言ってくれないの。だまし討ちはよくない。聞いてない。
 お手々でおっぱい隠して、股を広げて笑顔って、私はなにをしてるの? 湯船につかりながらカメラに向かって、Tバックのお尻をぷかぷか上下に浮かせて、振り向きながら笑顔って、私は馬鹿なの?
(中略)
 それに、「堅い水着のアイドル」→「ちょっとすごい水着のアイドル」→「なにも着ないアイドル」→「???」というアイドル堕落のラインをキレイになぞっているので、これから先が怖い。先が見えない、見えないんだ! 練炭だ! 練炭を持ってこい!〉

 だまし討ちで露出の高い水着を用意し強引に脱がす。噂にはよく聞く話だが、まさか本当にそんなことが行われているとは……。しかし、この話などまだまだ序の口。タレントを守ってくれるはずの事務所が彼女を陥れたことすらあったのである。

〈S社のDVDの仕事のあと、精神的に疲れてしまい、髪の毛もごっそりと抜けてしまったので、「しばらくDVDには出たくない」と事務所に頼んだのだけれど、またDVDの仕事を入れられてしまった。
 その内容の打ち合わせの時点から、うすうす、嫌な予感はしていた。
 あの会社が出しているイメージDVDはえげつないのが多いから、心配だった。
 そう不安を口にすると「過激なのも多いけど、ちゃんとかわいいのもあるから大丈夫」と、社長が言った。確かに普通の水着でのDVDもあるけど、私がそっちに配置されていないことに気づけ。明らかに過激なほうに分類されてるから、そこに気づけ。
 L社のEシリーズは、はじめて見たときから「えげつないことやるなぁ」と嫌いだった。やりたくないDVDの最高峰だったから、打ち合わせでも「Eシリーズはちょっと……」と話していた。そんな折、次のDVDの撮影内容がファックスされてきて、「〜小明 Eシリーズ〜」の字が見えたときは、もうガッカリした。
 打ち合わせのときからEシリーズと決まっていたのなら、どうして教えてくれなかったの。ファックスには打ち合わせのときにやりたくないと言ったキーワードが目白押しだし、どういうことなの。NGとOKが逆なのよあんた。私、DVDを売りたいんじゃなくって自分を売りたいんだけど、これ出して私は売れんの。
 自分が好きな制服とか緊縛をやらせてくれるのは嬉しいけど、全編Tバックとか、売れないどころか余計にこういう仕事ばかりになるよね。手ブラとか、ボンテージ姿や縛られたままでツイスターだとか、バナナを舐めたりしごくとか、ローション塗って全身いじくるとか、乳揉みだとか、尻揉みだとか、指さし棒で全身つつきまくりとか、手ブラで牛乳ぶっかけとか、マッサージ器で全身まさぐられて乳・尻マッサージだとか、前貼りだけとか……。好・き・勝・手・言・い・や・が・っ・て!
 もう許してください。どうしてもやりたくありません。
 遠くに逃げたい〉

 結局、彼女はこのDVDの話を断るのだが、小明本人が正式なOKも出していない段階で事務所とメーカーが話を進めていたため、スタイリストが買った衣装代やスタジオ費用などの違約金が発生。その請求が彼女のもとに来たという。なんともひどい話である。

 昨年は、ライブ直後に汗が滲んだパンストをその場で脱いで売らされている地下アイドルの悲惨なエピソードが綴られ話題を呼んだ『潜行 地下アイドルの人に言えない生活』(姫乃たま/サイゾー)。給料はゼロ円で、通勤通学に使う自転車のサドルが盗まれた際にも代わりのサドルを買うお金もなかったため、そのまま乗っていたら痔になったという過去を告白した『アイドルだって人間だもん!』(山口めろん/創芸社)。それに本稿で取り上げた『アイドル脱落日記〜ウェディング オブ ザ デッド〜』。「アイドルの悲惨な貧乏生活」をテーマにした本が多く出版された年だった。

 今年は、アイドルをとりまく状況がもう少しマシになってほしいと、願わずにいられない。
(新田 樹)

最終更新:2018.08.13 10:54

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