自民党が『報ステ』古賀発言をBPOに…マスコミは菅官房長官の圧力の証拠を隠すな!

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古舘の“決意”を視聴者はどう捉えるか…?(テレビ朝日『報道ステーション』HPより)


 とうとうここまでやり始めたか。自民党の情報通信戦略調査会が17日、予定通りテレビ朝日とNHKの幹部を呼び、両放送局の報道番組の内容について事情聴取した。

 テレ朝からは福田俊男専務取締役が、NHKからは堂元光副会長らが呼び出され、冒頭、川崎二郎元厚労相が「真実が曲げられた放送がされた疑いがある。そのことについて自律性を持って、(テレビ局が)どう対応しているか、話を聞きたい」と述べたという。

 その後、調査会は非公開になったため詳細は明らかになっていないが(この非公開というのも大問題だが)、自民党がターゲットにしているのはやはり、テレ朝の『報道ステーション』だった。自民党幹部は『報ステ』で、コメンテーターの古賀茂明氏が「菅官房長官をはじめ、官邸のみなさんにはものすごいバッシングを受けてきた」などと発言したことが事実に反するとして、同日、BPOへの申し立てを検討していることを明らかにしたという。

 政権与党が特定の番組についてこんなあからさまな圧力をかけてくるというのも前代未聞だが、もっと驚いたのは、「菅官房長官からバッシングを受けた」という古賀発言が「事実に反する」として、BPOへの申し立てまで検討していることだ。

 盗人猛々しいとはまさにこのことだろう。本サイトで再三指摘したように、菅官房長官と官邸はこの間、明らかに古賀氏をバッシングし、番組に圧力をかけていた。
 
 菅氏が古賀氏への攻撃を始めたのは、イスラム国による後藤健二さん拘束が発覚した直後、古賀氏が『報ステ』で「I am not ABE」と発言してからだった。発言の少し後の2月某日、まず、公式会見で「つい先日、(政権批判の)運動をやっているかたが、テレビに出て発言をしていましたけれども、ISILへの対応について、政府を批判してましたけれども、あたかも政府が人命に本当に危険迫るようなことをしたと、あたかも見てきたような、全く事実と異なることを、テレビ局で延々と発言していました」と批判。

 さらに、複数の社の記者がいるオフレコの懇談の場でも、事実と異なる発言をしたのは古賀氏か、という記者の問いを否定せずに、こう批判した。

「ひどかったよね、本人はあたかもその地に行ったかのようなことを言って、事実と全然違うことを延々としゃべってる。放送法から見て大丈夫なのかと思った。放送法がある以上、事実に反する放送をしちゃいけない。本当に頭にきた。俺なら放送法に違反してるって言ってやるところだけど。」

 これが放送法をタテにした圧力、バッシングでなくてなんだというのか。しかも、官邸の古賀氏への恫喝はそれだけではない。「週刊現代」(講談社)4月18日号ではもうひとつの証拠が明かされている。

 同記事によると、1月23日の放送中、菅官房長官の秘書官から『報ステ』の編集長に抗議の電話がかかってきたのだという。彼がたまたま電話を取り損ねたら、ショートメールが入った。見るとそこには「古賀は万死に価する」といった激烈な内容が書いてあったというのだ。

 また、「週刊現代」の記事には官邸スタッフによる裏話も掲載されている。それによれば、例の放送があった夜、菅官房長官はある秘書官と一緒に官邸で『報ステ』を見ていたという。そして、古賀氏の発言をテレビ越しに聞いた菅官房長官は激怒。横にいた秘書官がすぐに抗議のために関係者に片っ端から連絡するも繋がらなかった。そこで「(秘書官は)とにかく放送中に菅さんの目の前で連絡しようとして、最後に(『報ステ』の)編集長にショートメールを送ったのでしょう」というのが、「現代」にでてくる官邸スタッフの解説だった。

 菅官房長官の側近による「古賀は万死に価する」というメールは、政治的圧力どころか、もはや恫喝、脅迫といってよいだろう。想像してみてほしい。仮にあなたが絶大な権力者から「万死に価する」などと言われたら、どうか。今の仕事を辞めさせられるどころか、関係各所からも相手にしてもらえない、キャリアも社会的地位も抹殺されてしまう──そう思うのが自然だ。

 この二つの事実は、『報ステ』に明らかな“圧力”がかかっており、古賀氏に恫喝が行われていたことを意味する。にもかかわらず、自民党はテレビ朝日を呼びつけて、古賀氏の発言は「事実に反する」などといっているのだ。その厚顔ぶり、卑劣さには反吐が出る。

 そして、情けないのは、その卑劣な自民党にさからえないマスコミだ。菅の「オフレコ懇談」にはほとんどの報道機関が参加しており、各社はその圧力発言メモをもっている。ところが、各テレビ局、新聞社は民主党やメディア研究者の批判を紹介するのみで、そのオフレコ懇談のことに触れようとしないのだ。

 とくに、テレビ朝日と『報道ステーション』の対応は不可解としかいいようがない。オフレコ懇談には当然、テレビ朝日の記者も参加していた。また、「現代」が報じた「“万死に値する”メール」も、実際に『報ステ』関係者の手元に残っているはずだ。

 しかし、テレビ朝日はそれを使って反論しようとせず、政権からの呼び出しに唯々諾々と応じてしまった。もしかしたら、テレビ朝日はこのまま、菅官房長官に謝罪し、完全に安倍政権にひれ伏すつもりなのではないか。

 実際、『報道ステーション』は古賀氏の爆弾発言以降、この問題になかなか触れようとしなかった。自民党がNHKとテレ朝へ事情徴収を行うという報道がなされた14日も、同番組は一切そのニュースを扱わなかった。

 事情聴取のあった17日にようやく触れたが、批判は民主党の細野豪志政調会長の「憲法違反」というコメントを紹介しただけ。スタジオでは古舘が「今の私が言えることは一つなんです。それはテレビを見ている方に出来うる限りまっすぐ向いて、伝えるべきだというニュースを伝えていく。その決意のみでございます」と、まるでストレートニュースへの転向宣言ともとれるような発言をしただけだった。

 約20年前、筑紫哲也はオウム報道問題で「TBSは死んだ」と口にしたが、今まさしく「テレビ朝日と『報道ステーション』は死んだ!」と宣言するべき状況ではないだろうか。
(伊勢崎馨)

最終更新:2017.12.23 07:05

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