ヤフオクで4万円? 大震災を予言した松原照子の“幻の予言書”を読んでみた

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画像は「占い@nifty」内の松原照子監修「幸福未来世見」より


 ここ数年、ある“幻の書”の存在が幾度となく話題になっていることをご存知だろうか。27年前に刊行され、今は絶版となっているその本を入手しようとして、アマゾンや楽天、古本サイトで検索しても、常に品切れ状態。しかも最も話題になっていた時期には定価820円のこの本に対し、オークションで4万円もの値がつけられ、その後も平均して1万円前後という高値がつくという異常事態が続いている。

 その“幻の本”とは一体何か。それは『宇宙からの大予言─迫り来る今世紀最大の恐怖にそなえよ』(1987年1月発行/現代書林)なる予言の書である。著者は現在66歳の松原照子なる霊能師。そう、3・11東日本大震災の予言を的中させ、一躍オカルト界にその名を轟かせることとなったスピリチュアル霊能師なのである。

「太平洋側は動く気配がムンムンしています。『陸前高田』と云う地名が声にならない会話を自分にしています」「岩手・秋田・山形・宮城・福島・茨城」──。3・11の約1カ月前の2月16日。こんな予言が松原のブログに掲載された。さらに、松原は千葉、神奈川、東京、埼玉、群馬の県名を次々と挙げていく。その範囲の広さは、予言した松原自身が困惑し、「私がおかしいのか」とさえ記すほどだった。そして、約1カ月後の3月11日に、松原のほぼ予言どおり、未曾有の大震災が東日本の広い範囲を襲ったのだ。

 この予言的中は瞬く間にネットを通じて広がり、松原のブログ「幸福への近道」は一時サーバーがパンクしてしまうほどの反響を呼んだ。同時に前述の松原が27年前に刊行した前述の予言の書『宇宙からの大予言』が話題となり、ネットオークションや古本サイトでは希少本として高値がつけられていったのだ。以降、現在でも値段は下がってはいるが、品薄・品切れ状態は続いており、入手は相当に困難だといわれる“幻の書”となっている。

 しかし今回、筆者はこの幻の書を見つけ、それを読む事ができた。といっても、普通に国会図書館にいってみたら、あったのだが……。まあ、でもせっかくなので、この『宇宙からの大予言』を紹介しながら、松原の数々の予言を検証してみたい。

 本書によると、多くの霊能者同様、松原は自身のことは予言できないが、一方でそれ以外のあらゆることが“視える”のだという。

「ひとの未来、過去、世界情勢や天災、人災など私の知らなくていい動きが自分の意志とは別なところで見えるのです。世界も日本も地球上のほとんどが病気です。地球が病気になった原因は人間の心の驕りにあり、地球によって人間が生きられているのにわれわれが地球を動かしていると錯覚したときから、人間と地球との分離が始まりました」

 さらに本書によれば、3・11の遥か以前から、数々の世界的事件の数々を予言し、的中させてきたのだという。

 1984年4月のとある日、後ろに人の気配がして見ると、そこにブルーグレーのおばあちゃんが立っていて、ある予言を語ってくれたという。

「(当時の)アメリカ大統領のレーガン。この人の顔が大きく歪む。テレビや雑誌に写るスターの顔ではなく、老人の顔が見える」

 また、身体もだるく、喉の奥、下腹部にも痛みを感じているというのだ。すると、松原の予言とおり、レーガン大統領は85年に悪性ポリープが見つかり除去手術を受け、また87年には前立腺がん、そして晩年はアルツハイマーを患い2004年にこの世を去った。

 1985年の日航ジャンボ機墜落事故も、松原はその数年前に予言していたという。

「今度の事故は一〇〇人や二〇〇人じゃない犠牲者が出る(略)私の目に焼きついた画像は、あまりに悲惨なものでした。山の上で、バラバラになった飛行機の残骸が燃えています」

 日本の航空史上最悪の飛行機墜落事故を見事に予言した松原。だが、予言はそれだけではなかった。松原は事件当夜、飛行機の乗客名簿を見て叫んだという。

「いまだったら、まだ間に合う。多くの人が生きているから、早く助けてあげて!」

 この日航機墜落事故には生存者が4名いたのだが、生存者たちの証言から墜落直後、他にも数多くの生存者がいたことが明らかになっている。

 さらに本書ではその他にも三宅島爆発、メキシコ大地震、スペースシャトル墜落等を予言したとされる。

 だが、これら予言の多くは、事件や出来事が起こった後、松原自身が回顧する形で書かれたものだ。「過ぎた話ならどうとでも言える」という疑問がわいてくる。
 
 では、同書が書かれた時点で起きていない事件や出来事を予言した記述についてはどうだろう。松原は地震予言を得意としており、本書でも近々起こるであろう地震について触れている。そのひとつが伊豆半島の大地震だ。

「日本列島の大変な事態は、一九八五年九月末日から始まっています。伊豆の山やまを中心に、右に東京、左に静岡が見えます。その上を伊豆半島のやや左側から日本海に向けて、三ツの矢が走ります」「マグニチュード六・八以上」「船は陸よりも高く、そのままの高さで、温泉街の白い建物に向かって動き始めます」「津波は、高さ八〇メートル以上、一二〇メートル以内」「伊豆半島から日本海へ向けて亀裂が走り、断層ができます」
 
 これが現実になれば、東日本大震災以上の大津波が伊豆半島を直撃することになる。もちろん伊豆半島に近い東京、神奈川、千葉も壊滅的影響を受けるはずだ。そんな恐怖が日一日と近づいているのだと27年前の松原は予言したのだ。

 だが現在──。幸いなことに松原の予言は当たってはいない。しかし、松原は同書でこんなことを書いている。

「私に見えてしまった未来を人びとに告げ、警告するのも、本来の地球の動きに修正し、地球自体そして人類を救いたいからだ」
 
 予言が当たらなくてもそれは、「私が予言したことで救えた」ということなのだろうか。

 他にも世界情勢や日本の政局等についても言及する本書だが、はっきり言えば受け手の捉え方で当たっているといえば当たっているし、外れているといえば外れているような、曖昧な記述ばかりなのだ。

 また、当時の状況を考えればそういうことは起きてもおかしくないだろうという、当たり前の予言も多い。たとえば、先の伊豆地震にしても、78年以降、伊豆半島沖の群発地震は注目され、海底火山が爆発したこともある。伊豆諸島を含む群発地震は以降30回以上観測されていた“頻度”の高いものだ。しかもこの伊豆大地震の時期は明記されていない。日本は地震列島だ。程度の差こそあれ、いつもどこかが揺れている。

 もしかしたら、松原は確率の高いものを「いつかくる」と言っているだけではないのか。そんな疑問も浮かんでくるのだ。

 それは27年前だけではなく、松原の現在の予言にも共通するものだ。例えば、2011年に松原はこんな予言をしている。

「近年中に又、我国の先生がノーベル賞をとる事でしょう。この発明は手術を大きく変える事でしょう。見えた事が書きにくいのですが『体内で再生』こんなイメージがしました」

 これは翌年12年に京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授がノーベル医学・生理学賞が受賞を予言したと言われるものだが、現在では19人もの日本人がノーベル賞を受賞しており、近年では00、01 、02、08、10、12年と数年に一度は受賞している。「近年」といった曖昧な記述では、的中するのはいわば当然。また「体内の再生」がiPS細胞を予言したというが、この時、すでに山中教授やiPS細胞の存在も知られており、少し調べれば分かることだ。

 また、13年2月12日にはこんな予言があった。

「今日はいきなりなのですが、踏切には十分気を付けて下さい。と申し上げたいのです。何故か『踏切』」が頭から離れません」

 実際この予言とおり、当日に兵庫県高砂市で踏切事故があり、15人が怪我を負ったという。しかし、日本、いや世界を見れば踏切事故、人身事故は連日かなりの頻度で起きている。

 松原といえば、サッカー日本代表の本田圭佑の移籍予言も有名だが、これも首をかしげたくなるものだ。13年6月26日のブログで松原は「サッカーの本田さんの顔が厳しくなったのが見えたりして何かが変わるのかなぁ!」と書き込んだ。
 
 そして本田は、同年の12月にACミランへ移籍したことが「当たった」とされるが、この文章のどこが移籍と関係あるのか。一部の松原信奉者は移籍の際にトラブルがあり、そのため「顔が厳しくなった」との解釈をするらしいが、しかし待ってほしい。当時、本田をめぐってはこのブログの2カ月ほど前から、「レーシック失敗で彼の目つきが変わった」「いやバセドー病だ」などと盛んに報道されていたし、本田の「顔が厳しくなった」のは見れば誰でも分かることだ。

 他にも夏になると花火大会の中止予言が飛び出すが、これも同様だ。この時期ゲリラ豪雨や台風、雷などは季節の風物詩。日本各地で催される花火大会に、雨が降る確率はこれまた高い。

 こうして見ると、東日本大震災はかなり具体的な場所まで予言しており、的中したといえなくはないが、それ以外は、客観的に見てどれも予言的中とはいいがたいのだ。

 はたして松原は本物なのだろうか。現在、松原の予言で注目を集めているのは「富士山噴火」と「東京五輪中止」。富士山の噴火については何十年も前からマスコミなどでも取り上げられているように、いつ起きてもおかしくない状況だから、もし噴火しても当たったとはいいづらい。ただ、五輪中止というのはなかなか大胆な予言だ。

 東京開催が決定する前、松原は「オリンピックは東京に決まりますか?」との質問を受け「ない」と答えている。だが、それははずれたということではないらしく、「2020年のオリンピックが気掛かりなのです」と松原は五輪中止を示唆するのだ。

 2020年になれば、松原が本物かどうか、はっきりするのだろうか。
(林グンマ)

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