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MBSは松井、吉村、橋下を出演させた番組の政治的不公平を認めたが…他局でもひどい維新ヨイショ番組が山ほどある!
1月1日放送『東野&吉田のほっとけない人』より
大阪・毎日放送(MBS)が、大阪府・吉村洋文知事、松井一郎・大阪市長、橋下徹・元大阪市長の3人をそろって出演させた1月1日放送の『東野&吉田のほっとけない人』について、社内調査の概要を公表。「政治的公平性に対する認識が甘く、バランスのとり方が極めて不十分だった」などと、政治的偏向があったことを認めた。
当然だろう。同番組は、東野幸治とブラックマヨネーズの吉田敬がMCを務める不定期特番だが、今年元旦の放送で、日本維新の会代表である松井氏、副代表の吉村氏、そして維新の創業者で露骨な応援団的発言を繰り広げている橋下氏、という維新3人組だけを約40分にわたって出演させ、独演会状態をつくりだしたのだ。
しかも、大阪では、吉村知事のコロナ対策の失敗や維新の医療・保健行政削減によって、異常な死者数を招いたというのに、そのことに対する批判は一切せず、東野も吉田もひたすら維新3人組をヨイショ。橋下、松井が「吉村さんが総理に」などと語るシーンまでそのまま放送された。
案の定、番組終了後、毎日時放送には「政治的公平性を欠く」「維新に偏っている」などといった抗議が多く寄せられ、1月11日の同社の番組審議会でも外部委員から厳しい指摘が出た。これを受けて、毎日放送が調査チームを立ち上げ。11日に報告書が公表されたというわけだ。
もっとも、報告書は「バランスを欠いていた」ことを認めてはいるものの、バラエティ番組を担当する制作スポーツ局のスタッフが「松井氏と吉村氏が出演した回は明らかに高視聴率で、(橋下氏を含めた)3人に出てもらえたら面白いと思った」「面白さを狙って演出した飾り気のないトークが、『視聴者には政治的に偏っていると映るのではないか?』と制作部門や編成部門で、想像し、意見し、議論しなかった」などと、結局は「現場に政治的偏向という認識がなかった」という意識不足の問題にしているだけ。東野や吉田の誘導には一言も言及していない上、局の根本的な問題には踏み込んでいない。
実際はこんな一方的な番組内容を「政治的不公平だと気づかない」なんていうことがあるわけがない。それでも、平気で放送され、編成や番組アドバイザリーなどのチェック部署も放置したのは、毎日放送の幹部、そして局全体に「維新なら一方的に持ち上げても問題ない」、それどころか「維新をどんどん取り上げろ」という意識があったからだ。
しかも、この問題は、毎日放送だけのものではない。むしろ、毎日放送は関西キー局の中では唯一、維新に批判的な報道もしている局であり、局内にはこうした空気に抵抗する良識ある局員もいる。だからこそ、この番組を一応は、問題にできたのだろう。維新と一体化している読売放送を筆頭に、在阪テレビ局の維新偏向はもっとひどい。
本サイトは、今年1月の記事で、この『東野&吉田のほっとけない人』を筆頭に、在阪キー局の年末年始の維新・吉村持ち上げがいかにひどかったかを検証している。この記事を再録するので、読者の皆さんはいま一度、関西のテレビ局の偏向ぶりを認識し、他の局に対しても声を上げていってほしい。
(編集部)
******************
●年末年始も吉村知事を大スター扱いの在阪テレビ!
ついに恐れていた新型コロナ第6波がはじまったが、またも不安の声が高まっているのが大阪の感染状況だ。昨日8日、大阪府の新規感染者数は891人と、約4カ月ぶりに800人台に。東京都も同じく約4カ月ぶりに1200人超えの1224人となったが、人口比でいえば大阪のほうが多い状況だ。
しかも、大阪府の吉村洋文知事は、7日に府の独自基準である「大阪モデル」の黄色信号を8日に点灯して警戒を呼びかけることを決定し、「大阪版GoTo」である「大阪いらっしゃいキャンペーン」の新規予約中断を発表したが、すでに予約済みの人には「キャンセルは求めない」とコメント。まん延防止等重点措置の要請についても、医療提供体制が逼迫していないことなどから「要請する段階ではない」としている。
通天閣や大阪城のライティングを黄色にすることに感染拡大防止の大きな期待ができるわけもないのだが、問題なのは吉村知事の危機感のなさだ。1月1日は70人だった新規感染者がたった1週間で12倍以上に達していることを考えれば、またも病床不足に陥るのは時間の問題だ。また、「オミクロン株はかかっても軽症。重症化リスクは低い」など楽観視するメディアもあるが、感染者数が増えれば中等症・重症者の数も増えるのは当たり前の話だろう。
そもそも、それでなくても大阪は「人口当たりのコロナ死亡者数」が全国ワースト1であることからもはっきりしているように、吉村知事の失策によって多大な犠牲を生んできた。にもかかわらず、この期に及んでもその反省に基づいた危機感がまるで感じられないのだ。
だが、それも当然なのかもしれない。医療を受けられないまま自宅で亡くなるという人を続出させるという惨事を巻き起こしておきながら、昨年の衆院選で大阪では維新が大躍進したように、吉村知事は批判の的になるどころか、むしろ大きな支持を受けている。ようするに、どれだけ犠牲者を出しても支持は盤石だと高をくくっているのだ。
無論、この吉村人気を支えているのが、在阪メディアによる報道だ。そして、オミクロン株の感染爆発が心配されていたこの年末年始にも、関西では「異常」としか言いようがない光景が繰り広げられていたのである。
まず、12月から正月明けの1月4日までのあいだに吉村知事が出演した番組を挙げよう。
12月7日『報道1930』(BS-TBS)
12月10日『かんさい情報ネットten.』(読売テレビ)
12月11日『あさパラS』(読売テレビ)
12月20日『キャスト』(朝日放送)
12月27日『報道ランナー』(関西テレビ)
12月29日『大下容子ワイド!スクランブル』(テレビ朝日)
1月1日『東野&吉田のほっとけない人』(毎日放送)
1月3日『直撃!池上彰×山里亮太〜どーなる?2022ニュースな人〜』(毎日放送)
1月3日『2022年は吉か?凶か?爆願!生ニュース大明神』(朝日放送)
1月4日『復活なるか!? 関西経済〜財界フォーラム2022〜』(朝日放送)
なんと、その数10本。吉村知事は12月に入ってからも人気タレントばりにテレビ出演し、とくに正月には特番内で大特集が組まれるような状況だったのだ。
大阪府は死亡者数ワースト1なのに「被害を最小化」と吉村知事を絶賛
しかも、その正月特番における吉村知事の取り上げられ方は、これまでの吉村知事のコロナ対策について鋭く切り込むわけでも、死亡者数ワースト1という重大問題を指摘するでもなく、ただただ「大スター」であるかのように扱いつづけたのである。
たとえば、テレビ朝日系の朝日放送が1月3日に放送した『2022年は吉か?凶か?爆願!生ニュース大明神』では、司会の赤江珠緒が「積極的なコロナ対策で支持を集めた吉村知事」と紹介し、コーナーVTRを放送。そのVTRのナレーションは、こんなふうにはじまる。
「新型コロナウイルスの影響で未曾有の危機に瀕したニッポン。そんななか、吉村知事は、感染状況を示す独自の基準『大阪モデル』を設けるなど、コロナ対策で手腕を発揮!」
本サイトでは何度も指摘してきたが、「大阪モデル」は感染状況が悪くなるたびに吉村知事が恣意的に基準変更しつづけてきたシロモノでしかないのだが、あ然とさせられたのは、そのナレーションが読み上げられた画面上には、デカデカと「「大阪モデル」などで被害を最小化」と打ち出されていたことだ。
被害を最小化!? 死亡者数ワースト1で? ……もはや言葉を失うほかないが、すごいのはこのあと。VTRでは「コロナ対応で評価する政治家」のランキングで見事1位に輝いただけではなく、「総理大臣になって欲しい人」アンケートでも「国会議員でもないにもかかわらず堂々の4位に」などと紹介。選挙時に街頭演説で聴衆に手を振る吉村知事の映像にナレーションで「コロナ禍の窮地ながら吉村知事の評価は鰻のぼりに!」とかぶせたあとに街の声を流したのだが、それはこのようなものだった。
「頑張ってくれている。大阪の希望」
「維新が独占している状況も吉村さんがつくっている。大阪ではスーパースターですからね」
そして、ナレーションは「一方、吉村知事の評価とは裏腹に大阪はコロナで致命的な状況に」と言い出し、外国人観光客の減少、地下変動率の下落、倒産件数やコロナ関連経営破たん数、完全失業率が全国ワースト2位となっていることを紹介。ここで再び街の声を流したが、それも「吉村さんは言葉はうまいけど、もうちょっと頑張ってほしい」というものだった。
言うまでもなく、大阪の経済が悪化しているのはインバウンドに頼り切ってきただけではなく、感染を抑え込むことこそが最大の経済対策であるというのに吉村知事がそれを軽んじてきた結果だ。だが、番組では「吉村知事の評価とは裏腹に大阪経済が致命的な状況に」などとし、経済悪化を吉村知事の責任から切り離すかのように伝えたのだ。
もちろん、スタジオでのトークでも、吉村知事は「コロナ対策に明け暮れた1年だったなと思います」「社会経済のバランスと感染を抑えるバランス、本当に難しいけど追及していきたい」などと、「お前が言うか」とツッコミを入れずにはいられない発言の連続だったが、何か指摘するような者はスタジオには誰ひとりおらず、それどころか大阪・関西万博の話題に移ると、「空飛ぶクルマ」だの「乗るだけで10歳若返るためのアドバイスがもらえるあアトラクション」の紹介をはじめる始末。
吉村知事に朝日放送は「今モテ期?」、毎日放送は「アイドルみたい」
さらに、「視聴者から届いた質問」も、「1週間休みになったら何がしたいですか?」「スピード感を持って政策を進められる秘訣は何でしょうか?」「座右の銘は?」といったどうでもいいものばかりで、やはり府政に異を唱えるような質問はゼロだった。
この番組を放送した朝日放送は、年末の12月20日に放送した『キャスト』でも吉村知事と松井一郎・大阪市長を一緒に生出演させ、質問コーナーで「万博で大阪はV字回復する?」「維新運営のパートナーは松井代表しかいない?」「密かに総理の座狙っている?」などという愚問を並べ立てた上、吉村知事に「今モテ期だと思う?」と質問。これにはTwitter上でも批判の声が出ていたが、もはや呆れ返るしかないだろう。
だが、この絶句するような放送は、この番組だけではなかった。松井市長にたびたび攻撃対象にされているTBS系の毎日放送も、同じく1月3日に『直撃!池上彰×山里亮太〜どーなる?2022ニュースな人〜』で吉村知事をリモート出演させたのだが、こちらの番組のVTRでは、「なにわのプリンスこと吉村洋文・大阪府知事」と紹介。“大学時代は橋下徹と同じくラガーマンだった”だの、インスタライブで「健康維持の方法は寝る前にお菓子を食べること」と語る吉村知事の映像を流して“SNSでの発信が若者にも刺さると評判を呼んでいます”だのと伝え、スタジオでは「アイドルみたい!」という声もあがるほどだった。
しかも、番組MCの池上彰が投げかけた質問も、「橋下さんは反面教師?」「辻元清美さんのことは嫌い?」「なぜ維新代表戦に出馬しなかった?」「維新のトップになるつもりは?」という体たらくで、厳しめの質問でもせいぜい「大阪版GoTo拡大して大丈夫?」「“うがい薬”会見について」という生ぬるいもの。挙げ句、最後には「万博を成功させるカギは何だと思いますか?」と万博の宣伝に誘導する始末だった。
いや、もっと酷かったのは、やはり毎日放送が1月1日の元旦に放送した『東野&吉田のほっとけない人』だろう。
この番組では、吉村知事だけではなく松井一郎市長と橋下徹・元大阪市長という“維新御三家”が揃い踏み。対する番組MCである東野幸治とブラックマヨネーズの吉田敬も吉本興業のなかでもとくに維新に近い芸人であり、吉田は初っ端から松井・吉村・橋下が3人並んだ絵面を見て「ドラゴンボールで言ったら悟空・悟飯・悟天」などと評していた。
そして、御多分に洩れずこの番組のVTRでも「去年は新型コロナの対応に追われつづけた知事と市長。身体のほうは大丈夫? ちゃんと休めてる〜?」などとナレーション。市民が教えてほしいのは「松井市長は平日の“公務日程なし”の日は仕事もせずに何をやっているのか」「いまも公用車でサウナ通いしているのか」ということのほうだが、番組は「身体は大丈夫? ちゃんと休めてる〜?」と心配するのである。
これだけでもうお腹がいっぱいだが、その後のトークでは、橋下氏が「吉村さんはつねに自分がどう映ってるかってことを計算していますから」と言うと、松井市長も「吉村さんのインスタを見たらよくわかる。完全にアイドルになってますから!」などと吉村イジリを展開し、これに東野が大爆笑。吉村知事が「寝られない日はありました」と口にすると、松井市長が「NETFLIXの見すぎやろ?」とツッコミを入れ、またも東野は「どんだけボケんねん」と大喜びする……という具合だった。
御用芸人・東野幸治&ブラマヨ吉田敬の露骨な都構想ヨイショに吉村知事は…
無論、「文通費問題」に話題がおよんでも、吉村知事が過去に「月はじめの1日に衆院議員を辞任、満額100万円を受け取っていた」問題は完全にスルー。大阪万博の話題では吉田が「万博なんか楽しみでしかない」と語った。
だが、この番組のハイライトは、2度も住民投票で否決された「都構想」の話題になった場面だろう。東野は「不思議なもんで、二重行政が問題だから大阪を良くしようと都構想をがんばった結果、二重行政なくなったけど、『このままでええやん』っていう」などと発言。吉村・松井体制を支持する民意によって都構想は否決されてしまったとばかりに語ったのである。
こうしたヨイショに気を良くしたのか、吉村知事は選挙によって知事と市長は「すぐにねじれる」と言い、こんなことを宣言したのだ。
「そうなったときは、これは都構想です」
「僕が維新の代表じゃなくなる日はおそらく来ますけど、大阪維新の会は都構想をこれからも掲げ続けます。最後まで」
言っておくが、吉村知事は2020年の「都構想」住民投票で否決の結果になった際、会見で「反対派の方の大阪市を残すべきだという熱量が、僕らより強かった。僕たちが掲げてきた『大阪都構想』はやはり間違っていたんだろうと思います」とはっきり語っていたのだ。その「間違っていた」と認めたはずの「都構想」を、知事と市長が「ねじれ」たときには必要だ、今後も大阪維新の会として掲げていく、と述べたのである。
しかも、このツッコミどころしかない発言に対して、吉田は「ねじれたときに我々が気づくことっていうのはたくさん出てくる」などとコメント。──こんな「維新の特番」以外の何ものでもない番組が、元旦の真っ昼間から公共の電波で垂れ流されたのだ。
本サイトでも伝えたように、昨年末に大阪府は読売新聞と「包括連携協定」を結び、読売新聞に対して「権力監視の役割が果たせるのか」「メディアの役割を放棄した自殺行為だ」という批判が巻き起こっている。そして、本サイトでは「読売が吉村知事のPRの場となるのではないか」「今後、連携協定を結ぼうとする他社が出てくることも十分考えられ、そうなれば、まともな報道はなくなって大本営発表に埋め尽くされていくだろう」と指摘した(既報参照)。だが、もはや連携協定など結ばずとも、在阪テレビ局はメディアの役割などとっくに捨てて、進んでこのような「吉村礼賛」番組を放送しているのだ。
メディアが「維新府政の犬」に成り下がり、吉村知事を持ち上げつづけるかぎり、大阪のコロナ対応の問題点が改善されることはないだろう。
(編集部)
最終更新:2022.03.13 02:44
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