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北海道の感染爆発は菅首相を忖度した鈴木知事が五輪テストを優先、要請を遅らせたせいだ! 福岡にも菅官邸は「地元でできることをやれ」
左・北海道庁HPより/右・首相官邸HPより
昨日12日、全国の新規感染者数が7000人を超え、さらには重症者数も過去最多の1214人となるなど、感染が全国に拡大している。とくに衝撃を与えたのが、本日の新規感染者数が712人となった北海道だ。
この数字を受け、北海道の鈴木直道知事は本日、政府に札幌市限定で緊急事態宣言と同等の措置を求める考えを示したが、あまりにも遅すぎる判断と言わざるを得ない。いや、鈴木知事の判断がここまで後手に回り続けた背景には、菅義偉首相の意向があったことは明白だ。
実際、4都府県の宣言延長と愛知・福岡の宣言追加を決定した7日におこなわれた政府の分科会では、専門家から北海道を宣言対象に追加することを求める声があがっていたが、これを政府は却下。その理由は、感染者の7割以上が札幌市に集中していることを踏まえて鈴木知事が「宣言だと全道になる。それはできない」と突き返したからだというが(北海道新聞8日付)、これは宣言対象地域を増やしたくない菅首相の意向を鈴木知事が汲んだものだ。
本サイトでは繰り返し指摘してきたが、2019年の北海道知事選で鈴木氏を擁立したのは当時官房長官だった菅首相で、自民党の北海道連が推した国交省北海道局長を蹴って強引に鈴木氏を押し込んだのは有名な話だ。そもそも、わずか17日間と期限を区切った4都府県への最初の宣言発出の際も菅首相は「もっと短くしろ」と主張していたほどで、その後も恐ろしいことに〈4都府県への宣言を11日の期限通りに解除することに固執〉(同前)していた。つまり、菅首相は宣言対象地域を減らすことしか頭になく、鈴木知事はそのアシストに回ったのだ。
鈴木知事の「菅ファースト」はこれだけではない。そもそも北海道は4月中旬から感染者数が右肩上がりとなっており、5月2日には326人と過去最多を更新。「このままでは医療崩壊が起こる」という声があがっていた。ところが、鈴木知事はすぐさま動こうとせず、5日午後になってようやく「まん延防止等重点措置」の適用を政府に要請した。だが、この鈴木知事が政府に要請をおこなった5日というのは、午前中に札幌市で東京五輪のマラソンのテスト大会が実施されたその日。ようするに、鈴木知事がテスト大会の開催を待って要請をおこなったのはミエミエで、道民の安全を守ることよりも東京五輪を強行開催したい菅首相を優先させたというわけだ。
福岡の感染拡大も放置した菅官邸 「大阪を想起させるような急激な増加だ」との専門家警告も無視
このように、菅首相の直系である知事によって対応が後手後手になり、新規感染者数700人超えにまで至ってしまった北海道。しかし、これは北海道だけの問題ではない。ここまで全国で感染拡大を招いているのは、「五輪優先」「経済優先」の菅首相の信じがたい対応のせいだからだ。
それを象徴するのが、昨日、過去最多となる635人の新規感染者が確認された福岡の例だ。福岡は昨日12日から緊急事態宣言が適用されることとなったが、感染拡大は4月中旬から起こっており、現に4月16日の政府分科会では、日本感染症学会理事長の舘田一博・東邦大学教授が「大阪を想起させるような急激な増加だ」と指摘、尾身会長も「福岡については明らかに今、重点措置を打つ要件がそろっている」と言及していたことが公開された議事録からも判明している。
しかし、西日本新聞の検証記事によると、〈首相側近や政府高官は、福岡県が飲食店などに対する営業時間短縮(時短)要請を行っていなかったことを非難し、異口同音に「福岡はやるべきことをやっていない」「まずは地元でできることをすべきだ」と繰り返していた〉。さらに、4月22日以降に福岡市や久留米市で時短要請がおこなわれても、官邸サイドは「まずは時短の効果を見てからだ」と述べていたというのである(西日本新聞11日付)。
専門家から踏み込んだ指摘がおこなわれていたというのに、専門家の警告をまったく無視して放置しつづけた菅官邸。その結果、九州の中心都市である福岡から他県にも感染は広がり、福岡だけではなく長崎や大分、鹿児島でも病床使用率はもっとも深刻な「ステージ4」の基準を超えた。福岡赤十字病院の石丸敏之副院長が「このままでは『命の選別』をせざるを得なくなる」(西日本新聞13日付)と語っているように、“第2の大阪”となりかねない状況にまで追い込まれているのである。
いや、これは福岡だけではない。感染が拡大中の茨城、徳島、石川の知事から重点措置の適用を要請されながらも、政府はこれを拒否。本日になって菅首相は関係閣僚と協議をおこない、岡山・群馬・熊本・石川・広島の5県に適用する方針を固めたというが、政府に要請をおこなっていた香川や長崎などは含まれておらず、なんと北海道への緊急事態宣言の追加適用も見送る方針だと伝えられている。この期に及んでも、いまだに出し渋っているのである。
そして、菅政権がここまで頑なに重点措置の対象地域拡大を渋っているのも、やはり東京五輪開催のためだ。前述した西日本新聞の検証記事には、こうある。
〈関係者によると、政府は適用対象地域を追加すれば、時短に対する協力金など財政支援の国庫負担が増えることに加え、東京五輪・パラリンピックを控えてこれ以上、国内感染が悪化しているイメージを持たれたくないとの思惑があったとされる。〉
感染拡大で措置を求める地方に国庫負担をケチり「まずは地元でできることをすべき」と「自助」を要求する菅首相
さらに、官邸周辺の取材をおこなってきた西日本新聞の湯之前八州記者は、〈「福岡はやるべきことをやっていない」「まずは地元でできることをすべきだ」。繰り返しになるが、政府の動きを追う過程で何度となく耳にしてきた。首相が掲げる「自助」の理念にもつながるせりふと言える〉と指摘。ようするに、国庫負担が増えるのを嫌がりケチって自治体に「自助」を要求し、それによって東京五輪開催の足かせとなる重点措置・宣言の適用を控えようとしているのである。
強い対策を打たなくては全国で大阪のような医療崩壊が起こり、救えるはずの命を救えないという事態に陥る危険が高まっているというのに、いまだに最優先されるのは東京五輪──。菅首相が内閣官房参与に登用した高橋洋一氏の〈日本はこの程度の「さざ波」。これで五輪中止とかいうと笑笑〉というツイートが物議を醸しているが、5月4日にもこの高橋参与と公邸で会談をおこなっていたように、菅首相の「危機意識」というのは、いまだにこの程度なのだ。
だが、この国がいま置かれた状況は「さざ波」などではない。現に、韓国では昨日の新規感染者数が700人を超えて警戒が高まっているが、韓国の人口は日本の約半分。一方、この国は全国の新規感染者数が7000人を超えているのだ。さらに、全国知事会からはすでに全国での緊急事態宣言発令の可能性を考慮するよう求める緊急提言も出ている。全国レベルで待ったなしの状況なのだ。
国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長について、米ワシントン・ポストは開催国を食い物にする「ぼったくり男爵」と名付けたが、東京五輪開催を第一命題にして国内の感染拡大状況を無視し、国庫負担を嫌がって対策を打ち出さない菅首相は「ドケチ疫病神」と呼ぶべきだ。そして、この疫病神によって、東京五輪の引き換えに国民が切り捨てられようとしているのである。
(編集部)
最終更新:2021.05.13 08:36
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