大阪医療崩壊でも吉村知事が緊急事態宣言を遅らせた理由! 菅首相に配慮の要請時期、いまだに「感染速度は下がっている」と正当化

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大阪府公式チャンネルより


 1242人と、きょうも過去最大のコロナ感染者を更新した大阪府。昨日20日には、吉村洋文知事がようやく緊急事態宣言の要請を決定したが、これ、あまりに遅すぎないか。

 いまさら言うまでもないが、大阪は多くの医療関係者が「もうすでに医療崩壊している」と明言するほどの状況に陥っている。重症病床使用率は先週から100%を超え、20日時点で122.4%。重症病床に入れず、軽症・中等症病床で治療をしている重症者は60人にのぼり、病床全体が逼迫。調整待ちも2500人を超えている。

 コロナ以外の医療にも大きな影響が出ている。救急の搬送先がなかなか決まらない「救急搬送困難事案」も急増し、大阪市内で、今月5〜11日の1週間で234件にものぼった。

 大阪市内では市立総合医療センターなど複数の医療機関が、3次救急受け入れを制限。吉村知事の「不急の手術は延期してほしい」という要請で、実際に手術を延期されている人も出ている。

 こうした状況を見れば、先週頭の時点で緊急事態宣言が発出されても遅すぎるくらいだが、吉村知事はなんと週明け19日まで、緊急事態宣言を要請せずに引っ張ったのだ。

 これまでも大阪のコロナは維新と吉村知事による人災だと繰り返し指摘したが、この対応の遅れは、さすがにありえない。

 吉村知事は、なぜここまで要請を遅らせたのか。大阪府関係者や永田町でささやかれているのは、菅首相への忖度だ。

 吉村知事も菅首相も以前から経済優先で緊急事態宣言など積極的なコロナ対策を軽視してきたが、今回は、菅首相から緊急事態宣言の要請を遅らせてほしいと要請されていたのではないか、というのだ。

「大阪は状況的に見て、先週の時点で緊急事態宣言を要請するしかない状態だった上、これまでの吉村知事を見ていると、一番最初に方針を変えることで、それまでの失政をごまかすということを繰り返してきた。それが、今回はかたくなに動かなかった。これは、何か他に要因があるとしか考えられない。そんなところから、菅首相から懇願されたという噂が広がったわけです」(在阪メディア記者)

 菅首相の懇願の理由として最初に考えられるのはもちろん、訪米とのバッティングを避けるためだ。菅首相は15日夜から18日の日程でバイデン大統領との会談のため、訪米。結果的に、ワクチン確保やバイデン大統領の五輪出席確保といった目に見える成果を挙げることはまったくできなかったが、官邸は当初、“バイデン大統領初の外国首脳との対面会談”として、政権浮揚に利用する気満々だった。

 それなのに、訪米前に緊急事態宣言を発出すると、訪米が頓挫しかねない。かといって、宣言を要請されたのに、無視して訪米したら大きな批判を浴びる。そのため、菅首相としては帰国後、検討に入るというかたちにしたかったのである。

 御用ジャーナリストの田崎史郎氏は本日21日放送の『ひるおび!』(TBS)で「菅首相は月曜までは緊急事態宣言に消極的だったが、専門家からの報告を受けて決断した」という旨の解説をしていたが、これは真っ赤な嘘だ。最初から19日に要請を受けるというシナリオができていたのである。

飲食店への休業要請も腰くだけで、いつのまにか土日のみの選択肢が

 もうひとつ、吉村知事が要請を遅らせた理由としては、「まん延防止等重点措置」の問題も挙げられている。

 菅政権の打ち出した「まん延防止措置」は、そもそも緊急事態宣言を出したくないがための政策で、当初から効果を疑問視する声が多かった。もし、早々に緊急事態宣言に切り替えれば、「まん延防止措置」はやっぱり意味がなかったということになる。

 そのため、官邸は、「GoTo」を継続し続けたのと同じで、なんとか効果が出るまで待とうと時間稼ぎをしていた。吉村知事はそれに協力したのではないかというのだ。

 実際、吉村知事はまん延防止等重点措置の効果を見極めるために、様子を見たいとしきりに繰り返してきた。

「(まん延防止等重点措置の)効果が不十分であれば緊急事態宣言の要請を考えたい」
「休業をベースにした緊急事態宣言をやっていかないと拡大は抑えられない」
「19日の週に感染者が減少するか。あるいは拡大していてもある程度その山が抑えられているか、それをきっちり見極めたい」
(10日放送『サタデーステーション』テレビ朝日)

 しかし、大阪では、新規感染者数が、4月8日には900人を超え、4月13日には1000人を超えているのだ。重症病床の実質使用率も4月15日の時点で100%を超えている。にもかかわらず、吉村知事は悠長に「様子を見たい」と言い続けたのだが、裏に菅首相の存在があったとすれば、頷ける話だ。

「菅首相は橋下時代から維新の後ろ盾になり、都構想、万博、カジノ法案でも、全面的に維新のバックアップしてきた。パイプがあるのは、吉村知事というより松井市長だからもしかしたら松井市長を通じてのことかもしれないが、いずれにしても、菅首相から要請されていたとしたら、吉村知事も断れないだろう」(全国紙政治部記者)

 しかも、吉村知事は要請を遅らせただけではない。当初、今回の緊急事態宣言では飲食店への休業要請などこれまで以上に強い措置をとると息巻いていたが、蓋を開けたら、飲食店に対する要請について、「1 全てに休業要請」「2 土日・祝日の休業要請(平日は午後8時までの時短)、酒類の提供自粛」「3 酒類の提供自粛を要請(午後8時までの時短)」の3案を提案するというふうに後退しているのだ。

 補償に消極的で全面休業要請を絶対に避けたい菅首相に配慮したとしか思えないが、これは緊急事態宣言の期間についても同様だ。菅政権は5月17日には国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長が来日するため、この日までに宣言を解除したがっているが、一方、吉村知事は昨日の会見で期限について「3週間から1カ月が適切」と発言。3週間の場合、仮に4月25日に宣言発出となれば解除日は5月16日で、バッハ会長の来日の前日には解除できるのだ。

 つまり、緊急事態宣言の中身も期限も、結局、菅政権と吉村、松井の間で話はついているのではないか。

吉村知事が「感染倍化速度が下がった」と楽観論も…検査数頭打ちで実際はもっと感染者が

 しかし、もし吉村知事が菅首相との関係で緊急事態宣言要請を遅らせたのだとしたら、これはもはや犯罪的と言っていい。自らの政治的な思惑のために大阪府民の生命を差し出しているも同然だからだ。

 だが、“自己正当化モンスター”吉村知事はこの期に及んでもまったく反省の姿勢をみせず、自己正当化を続けている。

 吉村知事は20日夕、緊急事態宣言の要請決定を受けて、MBSテレビの報道情報番組『よんチャンTV』に生出演したが、2月末に緊急事態宣言を解除要請したタイミングについて「知事として反省するポイントはあるか」と問われると、感染者数を表したグラフを示し、判断に誤りはないと言い張った。

「解除そのものについては、いろいろな報道もされましたが、専門家の意見も聞いて、タイミングとしてはかなり落とし込んだ上で解除した2月末に政府に対して解除要請をした」

 しかし、吉村知事がどう言い繕おうと、この第3波は、2回目の緊急事態宣言の早すぎる解除が原因になっているのは明らかだ。しかも、大阪府では国内初の変異株の死者を2月25日に確認していたのを、20日近くも隠蔽していた。「タイミングとしてはかなり落とし込んだ」って、どの口がという話だろう。

 そして、吉村知事は今回の緊急事態宣言要請についても、「遅れた」という反省は一切見せず、まるで評論家のようにこううそぶいていた。

「(まん延防止措置は)効果が全くないわけではないが、これだけ広がっていることを見ると、変異株の対応としては、より強い措置が必要ではないか」

 それだけではない。この放送でも口にしていたが、吉村知事はなんとこの期に及んでも「まん延防止等重点措置」の効果で、「感染拡大倍加速度は下がっている」などと言い始めているのだ。

 田村憲久厚労相など政権幹部も、この「感染拡大倍加速度は下がっている」論に乗っかっているが、しかし、毎日1000人レベルで新規感染者が出ている状態で、倍加速度が下がっているも何もないだろう。

 しかも、倍加速度が下がっているというのも、まともには受け取れない。というのも、大阪では、4月16日に17792件だったのをピークに検査数じたいが頭打ちになっているからだ。

 今年1月の緊急事態宣言時、東京都や神奈川県では、感染急拡大により保健所業務がパンク状態となり、感染経路や接触者を追跡する「積極的疫学調査」を一時的に縮小したことがある。大阪でも昨年12月の感染拡大時に保健所が逼迫し、「積極的疫学調査」が追いつかない状態になっていた。いま新規感染者数が頭打ちになっているのも、そもそも保健所がパンク状態で検査数が頭打ちになっているためではないのか。

 いずれにしても、感染者数が過去最大になってもなお、楽観的な見通しにすがっていること自体、行政の責任者としてありえないだろう。

 政治的思惑と自己正当化だけで、府民の命なんてなんとも思っていない。ほんとうにこんな男をこのまま知事にすえていていいのか。

最終更新:2021.04.21 09:36

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