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安倍内閣はタマネギだらけ! マルチ広告塔、ハレンチ疑惑、パワハラ、カジノ脱法献金…チョ・グクに騒ぐマスコミはなぜ追及しない
首相官邸HPより
「新しい時代の国づくりを力強く進めていくための布陣を整えた」──昨日、第4次安倍第2次改造内閣が発足し、記者会見で安倍首相は新内閣について「自民党は『老荘青』、人材の宝庫です」などと語った。
「人材の宝庫」って……(苦笑)。この新内閣の実態は、どう見ても「お友だちの不良品一掃内閣」「極右不正政治家集結内閣」だろう。
とにかくひどい顔ぶれだが、これを見てまず思い出したのが、最近のワイドショーの報道だ。ワイドショーは、連日、文在寅大統領側近のチョ・グク氏のスキャンダルを取り上げ、法相就任を「日本ではありえない」「異常」などと攻撃してきた。実際、9日放送の『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)では、司会の宮根誠司がこんなことを言い放っていた。
「これ普通、日本だと“疑い”ですよ。家族でもなんでも、なにか“疑い”。怪しいことがあったら、まあ高岡さん(読売テレビ解説副委員長)、日本だったら総理大臣が任命しませんよね、法務大臣に」
「安倍総理だったら疑惑がある人を大臣なんかに任命しない」って、まったくよく言ったものだ。『ミヤネ屋』をはじめとするワイドショーは、チョ・グク氏が玉ねぎのように皮を剥いても剥いても疑惑が噴出することから名付けられた「タマネギ男」という呼称を嬉々として連発してきたが、はっきり言って、安倍首相によるこの新内閣のほうがずっと「疑惑のある人」だらけの「タマネギ内閣」だろう。
まず、国民を舐めきっているとしか思えないのが、再入閣組だ。高市早苗氏は総務相に再任したが、高市氏は総務相だった2016年に“国は放送局に対して電波停止できる”と国会答弁し、大問題に。また、厚労相に返り咲いた加藤勝信氏も、昨年、働き方改革一括法案の国会審議でデータ捏造が発覚した上、インチキ答弁を繰り返したばかりだ。
この高市総務相の暴言と加藤厚労相のデータ捏造とインチキ答弁は、その段階で大臣を辞任すべき問題だった。だが、安倍首相は側近である両大臣の問題をスルーして続投させ、内閣改造で首を挿げ替えただけ。その結果、こうして問題大臣が同じポストに再び収まったのだ。信じられない人事と言うほかない。
しかも、この2人には重大な疑惑とスキャンダルもある。高市氏はやはり総務相だった2016年に計925万円の「闇ガネ」疑惑が浮上するなど、カネにまつわる疑惑が数々持ち上がってきた(詳しくは過去記事参照)。さらに、加藤氏は、マルチ商法としてたびたび社会問題化し、昨年経営破綻したジャパンライフの“広告塔”を務めてきた人物。ジャパンライフは史上最大の消費者被害を出した安愚楽牧場に次ぐ被害規模として現在、捜査が進められているが、そんななかで“広告塔”としての責任を問うことなく大臣に再任するなど、まったくもってありえない。
だが、これはまだ序の口。安倍内閣過去最多の13名となった初入閣組も、かなりの「タマネギ」揃いだ。
そのひとりが、経産大臣に抜擢された菅原一秀氏。一昨日、本サイトでは、2016年に「週刊文春」(文藝春秋)で元愛人からモラハラ被害を告発され、菅原氏が当時27歳だったこの元愛人に「女は25歳以下がいい。25歳以上は女じゃない」と言い放った挙げ句、「子供を産んだら女じゃない」とまで言っていたという問題について取り上げたが、菅原氏をめぐってはカネの疑惑も取り沙汰されてきた。
西村康稔・経済再生相、赤坂自民亭、カジノ企業から脱法献金、ベトナムでハレンチ行為も
たとえば、2009年には、菅原氏が代表を務める政治団体が発注した高級メロンを、菅原氏の選挙区の有権者90人に贈っていたという公選法違反疑惑を朝日新聞が報道。また、昨年12月にも、菅原氏の後援会が支援者などから会費を集めたバス旅行の収支を政治資金収支報告書に記載していなかったことが発覚。後援会は収支報告書を訂正したというが、小渕優子経産相(当時)は後援会主催の観劇会の収支を不記載にしていたことなどが判明し辞任に追い込まれている。しかも、菅原氏の後援会が収支を不記載にしていたのは2013〜15年、2017年と複数年にわたっており、悪質と言わざるを得ない。
さらに、菅原氏に輪をかけてひどいのが、内閣官房副長官から経済再生担当相に抜擢された“安倍首相の腰巾着”である西村康稔氏だ。
西村氏といえば、昨年の「平成最悪」となった豪雨時に例の「赤坂自民亭」に安倍首相と一緒に参加し宴会の模様を嬉々として投稿、〈笑笑 いいなあ自民党〉などと発信、その後は〈自衛隊員約21,000名が人命救助など活動中〉と拡散したが、これはデマで、2万1000人の自衛隊員は待機中にすぎなかったことが判明した件などが記憶に新しいが、忘れてはならないのが、2013年に「週刊文春」で報じられたベトナムで女性を買った疑惑だ。
記事によると、西村氏は2012年7月に出張先のベトナムでカラオケ・クラブから7人のホステスを宿泊するホテルのスイートルームに呼び入れ、その後、残った3人と行為におよび、対価としてあわせて600ドル弱を支払ったと、3人のうち2人の女性が証言。このほかにもホテルでの目撃談をはじめ、複数の関係者がこの疑惑を裏付ける証言をおこなっている。
しかも、この疑惑を追っていた記者に対し、西村氏の私設秘書を名乗り、過去に恐喝未遂容疑で逮捕されたことのある人物が「記事を書けば恥をかくのはお前たちだ」と何度も〈恫喝めいた電話〉をかけてきたとも報じられた。恫喝によって記事を潰そうとしたのが事実ならば、2重の意味で大臣としての資質などあるはずがない。
また、昨年7月には、米大手カジノ企業「シーザーズ・エンターテインメント」の日本進出におけるアドバイザーである人物が、西村氏をはじめとするカジノ議連所属の国会議員にパーティ券購入というかたちで資金提供していたと報道され、西村氏自身も国会で事実だと答弁。つまり“脱法献金”を受けていたことを認めたのである。
河井克行法相、元秘書やタクシー運転手へのパワハラ暴行・暴言との証言
凄まじい「タマネギ」っぷりの西村氏だが、安倍首相の側近といえば、総裁外交特別補佐を務め、今回、法務大臣に登用された河井克行氏も、元秘書の男性が2016年に傷害事件とパワハラ疑惑を「週刊文春」に証言している。
この男性は、1999年4〜7月に運転手を兼任するかたちで秘書を務めたが、「運転の仕方や言葉づかいが気にいらんと言っては、(河井氏が)『このやろう』と罵声を浴びせかけ、ハンドルを握る私の左腕めがけて後部座席から革靴のまま蹴ってきよるのです」と言い、そうした結果、全治14日間の大ケガを負ったと告発。「週刊文春」には、当時、病院で撮影されたという写真も掲載、そこには左腕にアザがしっかりと写っている。また、河井氏に “対立候補のポスター剥がし”もやらされたとこの元秘書は証言しているのである。
しかも、河井氏の疑惑はこれだけにとどまらず、後追いした日刊ゲンダイの記事では、違う元秘書も「私も『国会議員の車の運転席の後ろが汚れてるのはなんでか知ってる? 蹴るためさ』と言われ、途端に恐ろしくなりました」とコメント。河井氏の地元・広島の「第一タクシー」の会長までもが「うちは河井事務所から配車の要請があっても、一切お断りしています。河井先生が乗務員の運転席を蹴るわ、人を人とも思わないような暴言を吐くからです。『もっと速く走れ!』と法定速度以上を出すよう要求され、危うくスピード違反に加担させられそうになった乗務員もいました。もうコリゴリですわ」と証言している。
元秘書への暴力や「ポスター剥がし」を命じた件などが事実であれば、河井氏が法務大臣を務めることに恐ろしささえ感じずにはいられないが、それは首相補佐官から農水大臣に抜擢された江藤拓氏も同じだ。
というのも、江藤氏は2016年、当時の森山裕農水相(現・自民党国会対策委員長)や西川公也・元農水相らとともに、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉中だった2015年に一般社団法人「日本養鶏協会」(養鶏協)の会長から現金20万円を受け取っていたことが発覚。養鶏協は国内向けのTPP対策予算を狙い、協会幹部からは「鶏卵業界に予算をもらうなら、政治家ともっと密接になったほうがいい」という声が出ていたというが(「週刊朝日」2016年7月15日号/朝日新聞出版)、こんなふうに農水族議員という立場で違法の可能性が高い献金・寄付を受けていた人物に、果たして農水大臣が務まるのか。
まだある。国家公安委員会委員長となった武田良太氏は、付き合いのあったプラント製造会社の会長に対し「インドネシアは、日本のODA(政府の途上国援助)枠がまだ9千何百億円か残っている。それを使って、プラントを売ることができますよ」などと語り、「(現地視察に)何人か議員を連れていくから、面倒を見なくちゃいけない。いくらか用意してくれないか」と持ちかけていたことを「週刊朝日」2009年8月14日号が報道。この会長の証言によれば、視察直前に現金300万円、さらに赤坂の寿司店でも現金100万円を渡したが、「視察もその後、どうなったのかウヤムヤのまま」。さらには〈武田氏の政治団体の政治資金収支報告書に、これらの記載は見当たらない〉というから、この会長の証言が事実であれば政治資金規正法違反にあたる行為だ。
また、東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当相に抜擢された橋本聖子氏も、今年、白血病であることを公表した水泳の池江璃花子選手について、講演会で「池江選手が素晴らしい発信をしてくれたことによって、スポーツ界全体がそんなことで悩んでいるべきではない、ガバナンス、コンプライアンスで悩んでいる場合じゃない、もっと前向きにしっかりやりなさい、ということの発信を、池江選手を使って、私たちに叱咤激励をしてくれているとさえ思いました」(朝日新聞デジタル2月16日付)と発言。ようするに、池江選手を利用して「ガバナンスやコンプライアンスなんてどうでもいい」と言ってのけたのである。
橋本聖子・五輪担当相、フィギュア高橋大輔選手に無理やりキスセクハラ
さらに橋本氏は、ソチオリンピックの閉会式が終わった後に選手村でおこなわれた打ち上げパーティーでフィギュアスケートの高橋大輔選に抱きつき何度も強引にキスをしたと写真付きで「週刊文春」に報じられている。都合よく選手を政治利用し、権力を利用した悪質なパワハラ・セクハラまでおこなった人物を東京五輪・パラ担当相にしてしまうとは驚愕だ。
マルチ商法の広告塔にセクハラ、パワハラ、脱法献金、闇ガネにタカリ疑惑……。そもそも、これら初入閣の大臣たちだけではなく、経産大臣から外務大臣に横滑りした茂木敏充氏は、昨年、公選法違反の“手帖配布”問題が持ち上がっており(詳しくは過去記事参照)、もはやこの安倍新内閣は “スキャンダル・疑惑のデパート”というべき状態なのだ。
だが、驚くべきは、このほかにも“危ない”大臣がいるということだ。
じつは、昨日、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)に出演した田崎史郎氏が、「『この人いれちゃうの?』という人が3人くらい入っている」と言い、初入閣である田中和徳復興相と竹本直一科学技術担当相、北村誠吾地方創生担当相の名前を挙げたのだ。
田崎氏は「長く入れなかった人には、それなりの理由があるんです」と思わせぶりに語ったが、御用ジャーナリストの田崎氏でさえツッコまざるを得なかったということは、今後、この3人の疑惑・スキャンダルが出てくる可能性も多いに考えられるだろう。
しかし、問題はメディアの姿勢だ。ちょっと調べれば上記にあげてきたような疑惑・スキャンダルはすぐにわかるし、だいたい高市氏や加藤氏の再任や、加計学園問題のキーマンである萩生田光一氏をよりにもよって文科大臣に引き上げるという常軌を逸した人事は誰の目にもあきらか。だというのに、昨日のワイドショーはそうした問題にツッコミもせず、小泉進次郎の初入閣でお祭り騒ぎ状態に。
さらに、新閣僚の記者会見でも、これまでの疑惑やスキャンダルについて追及をおこなう質問はほとんど飛ぶことがなかった。安倍政権以前ならば、内閣改造後の新閣僚会見では記者が過去の疑惑やスキャンダルを洗い、それについて質問を浴びせることは普通におこなわれていた。だが、そんな当たり前さえ、この国のメディアからは失われているのだ。
大臣の不正や疑惑が持ち上がっても追及もせず、「安倍総理は疑惑がある人を大臣なんかに任命しない」とまで言ってのける。こうした異常な状況があるからこそ、安倍首相は好き勝手に、問題議員たちを堂々と大臣に登用できるのだ。
メディアがこの体たらくでは、この「タマネギ内閣」の疑惑やスキャンダルが報じられることもないのだろう。
(編集部)
最終更新:2019.09.12 02:00
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