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『ワイドナショー』が改ざん問題で露骨すぎる安倍擁護! 松本人志は「安倍さんの足を引っ張るため」と陰謀論展開
『ワイドナショー』(フジテレビ公式HPより)
先日、安倍首相と仲良く焼肉を食べた社会学者の古市憲寿氏が、15日放送の『とくダネ!』(フジテレビ)で何かに取り憑かれたように安倍首相と昭恵夫人擁護をしたことをお伝えしたが、昨日18日、その“焼肉会食”の大元になった『ワイドナショー』(フジテレビ)も森友文書改ざん問題を取り上げ、とんでもない放送をおこなった。
これまでの経緯からして、安倍政権擁護になることは予想していたが、今回の番組内容は予想以上のひどさで、松本人志も驚くほど露骨な安倍首相擁護発言を口にした。
松本に弱いネットニュースなどでは肝心の部分はネグられているので、その内容を改めてお伝えしよう。
番組ではまず、事件の概要を紹介するVTRが流されたのち、ゲストとして元通産省官僚で民主党政権時に内閣官房副長官を務めた松井孝治氏が解説をしたのだが、最初からとにかく佐川宣寿・前理財局長の独断ということにしてしまおうという意図がアリアリの展開だった。
MCの東野幸治が麻生太郎財務相の「佐川氏の国会答弁と、決裁文書に齟齬があり、答弁に合わせて改ざんした」という発言を紹介して、松井氏に「これには無理があるんですか」と質問。松井氏が「ありえなくはない」という趣旨の解説をおこなうと、東野が待ってましたとばかりに「(佐川氏の独断が)ないことはない?」と強調し、誘導するように「誰の改ざんの指示かというと、佐川氏ってことも考えられる?」とだめ押しの質問を繰り出す。
これに対して、松井氏が「財務省らしくはないが」とエクスキューズしつつ、「佐川局長の答弁と実際の残っている記録は矛盾しているわけじゃないですか。これがまた明らかになったらさらに、まずいっていうことで、これはもう文書から削除しようって判断した人がいたのかもしれない」と財務省による改ざんを示唆。すると、それまで沈黙していた松本人志が「これは忖度なんですか?」といかにも懐疑的なトーンで疑問をぶつけるのだが、松井氏はこれに答えて「それを忖度というかどうか。あるいはちょっと、佐川局長のパーソナリティかもしれない」と、露骨に佐川氏個人に責任を押し付けるコメントを口にしたのだった。
改ざん問題でも立川志らくは安倍政権を一切批判せず野党を徹底批判
松井氏は数日前のツイッターでは〈財務省は、キャリアが非常に優秀であることに加え、ベテラン職員の真面目さとモラルの高さにおいて他省を圧倒している。それが省庁の中の省庁と称される理由。それだけに、今回の問題はどうも腑に落ちないし、また今回の事件は、余りに痛ましい。〉〈そんな組織で、万一、忖度が生真面目さを駆逐しているとすれば深刻な問題です。〉などと、財務省だけではありえない要因や忖度があることを示唆していたのに、いったいどうしたのか。それこそ松本人志に忖度でもしたのか。
しかし、もっとひどかったのはその後だ。スタジオでは全員が一致団結したかのように、安倍政権擁護一色となってしまったのだ。この日は『ひるおび!』(TBS)コメンテーターである落語家の立川志らくもゲストだったのだが、志らくは口を開くと、なぜかこの問題を追及する側の野党を批判しはじめたのだった。
「与党側からみると、どう思うかっていうと、野党がものすごく興奮しているじゃないですか。だけどこれ朝日新聞がもってきたスクープなのに、なに、自分たちの手柄のように言ってるんだ、みたいなふうに見えるんですよ」
これを聞いていた東野は嬉しそうに「野党側のはしゃいでいるのがそういうふうに見える」と同意。すると志らくはさらに野党批判をエスカレートさせていく。
「国民の全部とは言わないが大多数が、これだけ自民党がチョンボを犯しても、政権交代を望んでいないというこの現実を、野党はどう見るかってことですよ」「こんだけやっても(政権が)ひっくり返らない」
自分たちがさんざん安倍政権擁護を垂れ流して、国民に真実を見せないようにしておきながら、何を話をスリカエているのか、と言いたくなるが、案の定、この発言に大きく反応したのが松本人志だった。まるでわが意を得たとばかりに天井を見上げて、大口を開け馬鹿笑い。「じゃあ(安倍政権)代わりますか、と言われたら『うう、ううん……』」と咳払いするなど、国民が政権交代を望んでいないという志らくの発言に、大きく同調して見せたのだ。
さらに、志らくは続けて「(安倍首相や麻生財務相が指示を出したというのは)それが一番わかりやすいんだけど、でもバレたら、こんな大変なことはないから、そんなことするのかなぁって」
あくまで安倍首相や麻生財務相の関与を否定するコメントだが、これに松井氏も「しない、しない」と手を振りながら答えると、今度も松本が食いつくように「安倍さんがそれをやらすわけがない、とおっしゃった」と松井氏に念を押すかのように質問する。
そして松井氏も、「総理がそういう指示したら、全部広がりますよ。総理からこんな話があったと。大臣も同じことですよ。麻生さんがこれまずいから何とかしろとか言ったら、それはもう蓋ができないですよ。人の口に」と指示などありえないと繰り返した。
松井氏は加計学園問題で、何が起きたのか知らないのだろうか。萩生田光一官房副長官や和泉洋人首相補佐官が安倍首相の名代として文部科学省に圧力をかけ、「総理のご意向」文書なるものまでがつくられていたが、文部科学省の内部告発があるまで、それはまったく表には出なかった。
松井氏は訳知り顏で「首相や財相の指示はありえない」と断定しているが、それは、統制がとれずに情報がだだ漏れだった民主党政権時代の話。安倍政権の強固な霞が関支配をまったくわかっていないのである。それとも、わかっていてなんらかの意図でこんなことを言っているのか。
「石破さんが小躍り」と安倍の政敵の悪印象を拡散する松本人志
しかし、この松井氏の解説がよほどお気に召したのか、それまでもっぱら質問とリアクションしかしていなかった松本がここで、とんでもない珍説を披露した。
佐川氏や財務省の独断という解説を受けて東野が「でも誰かやっぱり、政治家が責任を取らなければいけないっていうふうに考えますよね」と、“政治家が責任を取る事態になるのではないか”と予測すると、松本はこうたたみかけたのだ。
「うーん、これを逆に取られる場合もありますよね。安倍さんの足を引っ張るために、っていう裏の読み方も(ある)」
つまり、森友学園問題も、そして今回の文書改ざんも、安倍首相を貶める策略だった。松本はそう言いたいらしい。いくら、安倍首相が大好きだからといって、こんなありえない陰謀論までもち出すとは……。しかし、松本の意見に逆らえないという空気が充満しているスタジオにあっては、このトンデモにも批判を口にする者は誰もいない。政治家の指示について「現実にありえない」を連発していた松井氏も松本の謀略説には「そういうことをやろうと思えばできる事態になっていると思いますね」と、なんと“御意”の姿勢を示してしまったのだった。
その後も勢いづいた松本は、昭恵夫人がFacebookで「野党のくだらない質問」に「いいね!」をした問題でも露骨に擁護を始める。
まず、「僕のことを褒めてるのをたまに『いいね!』しますけどね」と茶化した松本。そのあと、志らくが「野党の辻元(清美)さんとかが引っ張り出してきて、これを国会で、どうして『いいね!』を押したかを聞きたいって、国会ってそんな場所じゃない!」と得意気に野党批判をすると、それに全面的に同意して、親指を上下にしながら「これか、これだけのことですからね」と、ジェスチャーで問題を矮小化してみせたのだ。
さらに、財務省がゴミの虚偽報告書を書かせていたという疑惑に話が及ぶと、松本はそれを遮るように、こんなことまで話し始めた。
「これはいま一番小躍りしているのが石破(茂)さんじゃないですか。石破さんが小躍りしているのを想像したらちょっと気持ち悪い」
スタジオはこの発言に大笑いをしていたが、これ、笑っていい話ではないだろう。松本はこの改ざん問題の発火源であり、責任者である安倍首相を一切批判もギャグにすることもしないくせに、安倍首相の政敵についてはギャグというかたちで悪印象を強調、安倍首相への追及をそらせようとしたのだ。これは明らかに政治目的をもった世論誘導以外の何物でもない。
ゲストもスタッフも松本人志を忖度する『ワイドナショー』の危険な構造
この森友文書改ざん問題は、ありとあらゆるニュース番組、ワイドショー、情報番組が取り上げているが、さすがのテレビも、民主主義の根幹を揺るがすような国家犯罪、そして、佐川氏に責任を押し付ける安倍首相や麻生財務相の態度に批判の声を上げざるをえない状態になっている。そんななか、この日の『ワイドナショー』は以上のような内容を堂々と放送したのだ。
知りうるかぎり、地上波でここまで一方的な政権擁護を垂れ流した番組はない。その内容は、『報道特注』などのネトウヨ番組と変わらないレベルの露骨さだった。
しかも、これはたまたまそうなったわけではない。ゲストの人選といい、司会進行といい、明らかに安倍政権を擁護したいという意図がミエミエだった。そして、ゲストやMCの東野も他の番組では口にしたことのないような露骨な安倍政権擁護を競うように語っていた。たとえば、松井氏は前述したように、ツイッターや朝日新聞のインタビューではほとんど逆のようなことを述べていたし、立川志らくも『ひるおび!』でも政権擁護はするがいちおう「どっちもどっち」的で、ここまで一方的ではない。
それがこんなに露骨に安倍擁護一色に染まってしまったのは、それこそ、安倍首相が大好きな松本人志への忖度だろう。
実際、この『ワイドナショー』という番組は、今回に限らず、松本への忖度で成り立っていると言ってもいい。松本の都合と好みだけで題材や進行が決められ、ゲストやMCは、松本に無意識に同調し、松本が喜びそうな意見だけを口にする。逆に、ちょっとでも松本の意に沿わないような発言をするコメンテーターは次からは呼ばれない。そして、松本自身は危険を冒さず、ゲストや東野に自分の意見を代弁させ、自分はギャグでそこにかぶせておいしいところだけもっていく。
まったく狡猾きわまりないが、問題は政治や経済の実態をまったく知らない無教養な芸人のごく個人的な感情にもとづく主張が、こうした忖度番組づくりによって、あたかも正論であるかのように拡散していくことだ。そして今回は、とうとう民主主義の根幹を揺るがす「公文書改ざん」という問題までを矮小化し、野党や政敵叩きに転化してしまった。
そういう意味では、安倍首相と財務省の間で何が起きたかは、この日の『ワイドナショー』をみればよくわかると言ってもいいだろう。グロテスクな忖度を生み出して民主主義を危機にさらしている首相だけでなく、グロテスクな忖度を使って芸能界を支配している芸人にも、一刻も早く退陣してもらわなければならない。
(編集部)
最終更新:2018.03.19 07:20
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