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幻冬舎が安倍首相と結託してまた政権PR本を出版! 著書は“安倍の太鼓持ち”で有名だった元TBSの官邸担当記者
『総理』(幻冬舎)
今週9日に、とある本が幻冬舎から出版される。書名は『総理』。著者は、安倍首相が官房長官だった時代からずっと番記者として張り付いていた、TBSの元政治部記者・山口敬之氏だ。触れ込みによると、その山口氏が過去の取材内容をもとに、安倍首相の官邸での内情、そして安倍首相を取り巻く麻生太郎や菅義偉といった周辺人物らの動きを〈迫真のリアリティで描く、政権中枢の人間ドラマ〉らしい。
いったいどんな内幕が暴露されているのか、と思いきや、いち早く内容を知り得た出版関係者によると、「中身は完全な“安倍ヨイショ本”」だという。
「一応、ドキュメンタリータッチで描かれているんですが、最初から最後まで、批判的な視点は一切なし。安倍首相がいかに素晴らしいか、国家のことを考えているか、ということしか書いていない。右派思想への賞賛や歯の浮くような美辞麗句が散りばめられていて、ただのPR本ですよ」
しかし、それも当然だろう。著者である山口氏は、TBSの官邸担当記者時代、NHKの岩田明子、産経の阿比留瑠比と並んで、“安倍の太鼓もち番記者三羽烏”と呼ばれていた典型的な癒着ジャーナリストなのだ。
「山口氏はリベラルなTBSの中では珍しいゴリゴリの右派。それもあって官房長官時代から安倍さんとはウマが合い、まるで秘書官のようにべったり寄り添っていた。安倍さんが“山ちゃん”と呼ぶくらいの間柄です。しかも、それだけ密着しながら、重要な政界情報は社には上げず、安倍さんのヨイショや政敵を貶めるような謀略情報ばかり流そうとして、報道局といつも揉めていた。TBSも頭を抱えていたようです」(全国紙政治部記者)
それを象徴するような、とんでもない行動も発覚している。なんと、山口氏はTBS時代、安倍首相の靖国神社の極秘参拝に同行しながら、それを記事にしなかったというのだ。
「安倍さんが総理になる直前、官房長官だった2006年4月に極秘で靖国神社を参拝していたことが発覚するんですが、じつはこのとき、山口記者も同行して一緒に参拝していたというんです。ところが、山口記者はそれを一切報道せず、外部に知られないようなアリバイ工作にも協力していた」(政治評論家)
大きな国際問題に発展する可能性もある重要な現場に立ち会いながら、記事にしないで、極秘行動をサポートするとは、もはや記者というより、秘書官としか思えないが、そのあと、安倍氏が首相になって第一次政権を樹立した後も、そして第二次政権でも、山口記者はこうした安倍氏の情報操作や安倍氏を利するようなPRを流し続け、安倍首相に不利な情報は一切流さなかった。
また、山口氏はその後、ワシントン支局長に栄転するのだが、その際、韓国軍がベトナム戦争の時に慰安所を設けていたという記事を、会社に無断で「週刊文春」(文藝春秋)に発表。それをきっかけに営業職に配転されることになる。
「これも大元の情報源は安倍政権内部だったと言われているんですが、それはともかく、他媒体に無断で記事を発表したことで、さすがにTBSも問題視せざるを得なくなったらしい。それで山口氏を営業職に異動させたところ、山口氏はこれを不服として退職をしてしまった。しばらく噂を聞かず、いったい何をするのか、と思っていたら、安倍首相のヨイショ本を出すというので、なるほど、と思いました」(前出・全国紙政治部記者)
こんな人物が書くドキュメンタリー本なのだから、「安倍PR」になるのは当然だろう。
いや、それだけではない。実はこの『総理』はそもそも、幻冬舎の見城徹社長と安倍首相サイドが相談をして出版を決めた本らしいのだ。
「今回の出版は、安倍首相から直接、幻冬舎の見城社長に持ち込まれた、と聞いています。いずれにしても、参院選のためのPR作戦の一環であることは確実でしょう。実際、見城さんはこの本に異常なくらい入れ込んでいて、営業にも絶対にべストセラーにするぞ、とハッパをかけています」(出版関係者)
安倍首相と見城社長の“蜜月”については、これまで何度も本サイトが報じてきたが、そのきっかけとなったのは、下野していた安倍氏が2012年の自民党総裁復帰の直前、自分の信奉者だった自称文芸評論家で、現在、極右団体「放送法遵守を求める視聴者の会」事務局長の小川榮太郎氏に『約束の日 安倍晋三試論』という礼賛本を書かせ、それを幻冬舎から出版したことだった。
この本を安倍事務所が大量に買い占めをして、大手書店で売れ行き1位をとらせ、幻冬舎がそのことを謳う大きな新聞広告を打つ。そうやって、安倍晋三という政治家の復活を後押ししたのだ。
ちなみに、安倍首相の政治資金団体「晋和会」の政治資金収支報告書にも記載されているように、安倍首相は少なくとも『約束の日』を2380冊、計374万8500円分を購入していることがわかっている。
おそらく、今回も、安倍事務所がこの『総理』を大量に買い占め、幻冬舎が新聞に「◯◯書店で売れ行き1位」などといった広告を打つ、というえげつない商法が繰り返されるのだろう。
さらに、この山口氏が安倍ヨイショだけでなく、安倍政権の意を受けて、古巣のTBS批判を繰り広げ、報道圧力の口実づくりをする可能性も考えられる。
「山口氏は自分を左遷したTBS上層部には相当な恨みをもっていますからね。それこそ、保守メディアなどであることないこと書き立て、小川榮太郎らの『視聴者の会』と組んで、圧力を加える可能性は十分ある。いま、安倍政権はとにかく、改憲を前に右派人脈を総動員してリベラルメディアの封じ込めを画策していますから、間違いなく山口氏をそのために使うでしょう」(前出・全国紙政治部記者)
メディアを飼いならし、ジャーナリスト、評論家を使って、彼らに「偏向」を叫ばせて、批判意見を封じ込める──安倍首相のこの卑劣な“圧力軍団”の隊列にまた一匹、犬が加わったということらしい。
(田部祥太)
最終更新:2017.12.05 10:09
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