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紅白復帰も? 小林幸子が芸能界のドンににらまれながら復活できた理由…もうテレビに干されても怖くない!
幸子プロモーション公式ウェブサイトより
先日、小林幸子が4年ぶりに紅白歌合戦に戻ってくるとの報道がなされ話題となっている。所属事務所は、まだ正式なオファーはないと、この報道を否定しているが、もしも小林幸子の紅白歌合戦出場が現実のものとなれば芸能界にとって画期的な事件となる。
なぜ、小林幸子の紅白復帰がそんな画期的な事件なのか? それは、彼女が一時期芸能界を干されるきっかけとなった騒動にある。小林幸子が個人事務所「幸子プロモーション」の社長・専務とトラブルになり、2人が会社を去っていった騒動は2012年当時、毎日のようにワイドショーを賑わせていたので覚えている方も多いだろう。
この時、マスコミが一気に小林叩きに走ったのは、「芸能界のドン」こと、バーニングプロダクションの周防郁雄社長が、社長・専務の味方についたからだと言われている。事実、この時期彼女は所属レコード会社である日本コロムビアとの契約解除といった事態にまで追い込まれている。
これまでの通例では、このような状況に陥った場合、そのまま干されて芸能界から消えるか、バーニング側に屈服して復帰するかの二パターンだった。しかし、小林幸子はどちらの道も歩まなかった。彼女は「ネット」「オタク」の世界に活路を見いだし、バーニングなどの芸能プロが幅を利かせる旧態依然とした芸能界とは違う、新たな場所にファンを掴みに行く。その後、小林幸子が「ニコ動」「コミケ」といったカルチャーに受け入れられ大復活を遂げたのはご存知の通り。
その人気は15年現在でも衰えることを知らず、本年8月のコミケではミニアルバム『さちへんげ』が2時間40分で2500枚すべてを完売。さらに、先日は中川翔子と「しょこたん❤さっちゃん」名義でコラボシングル「無限∞ブランノワール」を発売。オリコンチャート最高12位を記録している。
テレビ離れはもはやどうあがいても止めることのできない状況のなか、YouTuberをはじめ、新たな世代のタレントはネットやSNSから登場しブレイクするのがもはや珍しいことではなくなっている。
事務所のゴリ推しで芸能界がコントロールされる時代はもう終わり。小林幸子の紅白復帰は、そんな時代を象徴する出来事になるのかもしれない。
当サイトでは、小林幸子がいかにして、これまでどんなタレントもたどってこなかった奇跡の復活劇を遂げたのかまとめたことがある。以下に再録するので、是非とも読んでみて欲しい。
(編集部)
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11月26日に発表された、今年の『NHK紅白歌合戦』の出演者。しかし、過去33回も同番組に出演した小林幸子は、今年も呼ばれなかった。この仕打ちに、明石家さんまが「小林幸子さんと美川憲一さんが出てない紅白は、俺はちょっと許せない」「あんだけ紅白支えてきた2人を外すって…」と苦言を呈して話題になったが、当の小林幸子はまったく意に介してないようだ。
12月3日放送の『ノンストップ!』(フジテレビ系)でも、小林は「紅白については33回もやりきったので未練はありません。今は新しいことにチャレンジするのが楽しい。進化するラスボスの姿を見せます」と、余裕のコメントを出した。
たしかに、今年の小林は、少し前とはまったくちがう状況にある。2013年の前半までは、芸能界を干され、完全に追いつめられていたが、今は、テレビにほとんど出ていないのはかわっていないが、オタク界隈でカリスマ的な人気を誇っているのだ。
たとえば、今夏には、世界最大の同人誌即売会である「コミックマーケット」に、「5884組」(こばやしぐみ)のという名で一般参加。人気ボーカロイド曲をカバーしたアルバム『さちさちにしてあげる♪』を自ら手売り販売したのだが、ファンが1kmほど並ぶ人気で、事前に用意していた1500枚は即完売になったという。
普通のコンサートにも、それまでいなかった若い観客が詰めかけ、11月17日には、武道館コンサート「50周年記念 小林幸子in日本武道館」を開き、ニコ生で中継された。さらに、来年は海外をめざすと宣言している。
いったい小林幸子に何が起きたのか。この間の経緯を振り返ってみよう。小林が紅白はもちろん、芸能界からも追放されそうになったのは2012年のこと。小林の個人事務所である「幸子プロモーション」の女性社長と専務が社を去り、それが表沙汰になった途端、小林の転落が始まったのだ。当初は、前年に結婚した小林の夫が、芸能界のしきたりを理解せずに幸子プロモーションの経営に口を出したことで、小林と元社長・元専務の溝が深まったと報じられた。
しかし、「週刊文春」2012年4月19日号(文芸春秋)では、元社長・元専務の2人に任せきりにされていた社の経理が不明瞭で、小林は自身のグッズの収支すら一切把握できていなかったことが明らかになり、双方の主張が対立する泥沼のお家騒動へと発展していったのだ。
同じく「週刊文春」12年10月18日号は、「芸能界のドン」と呼ばれ、マスコミにも大きな影響力を持つ大手芸能事務所バーニングの社長が元社長・元専務の後ろ盾となったために、スポーツ紙やテレビは小林に対するネガティブキャンペーンを開始し、小林が知人に送ったメールがそのままマスコミに流れたこともあった、と報道。さらには、事態を重く見たレコード会社が新曲発売の延期を決め、レコード会社との契約解消する事態に追い込まれた。
作詞家・作曲家といった音楽関係者もバーニングを敵に回した小林との仕事を敬遠し、スタジオさえ借りられなかったために、別の歌手の名前を使ってレコーディングに及んだという。周囲に圧力をかけて小林を孤立させる……まさにバーニングの常套手段といったところだろう。
普通なら、ここで完全に消え去ってしまうか、バーニングに屈服して元の鞘におさまるところだが、小林はどちらも選ばなかった。小林が活路を見出したのは、それまでまったく縁がなかったオタク界隈だった。
もともと、小林は紅白でおなじみの「火の鳥」や「メガ幸子」といった巨大衣装がRPG系のゲームに出てくる「ラスボス」のような威圧感だとオタク界隈でひそかな人気があった。小林はそのことに気づいて、騒動直後の2012年にニコニコ生放送に出演を皮切りに、ニコ動に積極的にかかわりはじめる。その年の年末には、ニコ動の年越しイベントに動画コメントの形で参加し、13年9月には、ニコニコ動画に“歌ってみた”動画を初投稿した。すると、わずか2日あまりで100万回再生を突破。これで、小林は完全に覚醒し、オタク路線を本格化させた。
昨年の大みそかにニコニコ生放送で配信された『ラスボス小林幸子による年越しライブ&カウントダウン』では、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、プロジェクションマッピングなどの最新技術を使ったド派手な演出で観客を魅了し、番組の総来場者数は85万4946人、総コメント数は26万7167コメントを記録するなど、演歌歌手としては異例の人気を博した。そして、先に紹介したコミケへの参加……。小林は音楽系ニュースサイトで、オタク路線に踏み込んだ心境を以下のように語っている。
「私も面白がるほうですから(笑)。躊躇しなくてわりとスッと入っていく性格なもんですから、大スベリするかもしれなかったんですけど、やっていったことが受け入れていただけたのかなって思います。とりあえずやってみる、というのが、今回の新しいことに全部つながっていった感じですね。」
しかし、小林はたんにやってみただけでなく、オタク文化をかなり理解しているようだ。先述したコミケでは、猛暑にもかかわらず、買えなかったファンに握手して回る“神対応”を見せたり、一般人と同じ入り口を使用し、他のブースに行ってあいさつする「ご近所回り」をしたりとコミケのルールも守った。こうしたことがさらに好感度をアップし、現在の破竹の勢いを生み出したのだろう。
この人気に、最近は小林を干していたオールドメディアもほっておけなくなり、冒頭で紹介した『ノンストップ!』など、数少ないながらも小林のことを取り上げるテレビ番組が出てきた。まさに一発逆転──。
ネットは、バーニング、ジャニーズなどの圧力が全く効かない世界だ。しかも、ここにはテレビなどの“オワコン”に見向きもしない多くの新しい観客がいる。大手事務所に干された芸能人がこれから小林をまねて、どんどんネットやオタク界隈に進出するようになるかもしれない。そしてもしかしたら、そのことが、芸能界におけるバーニング、ジャニーズ支配を崩すきっかけになる可能性もある。
ただ、そのためには、小林のように新しいことにチャレンジする精神とその文化を理解する感度が必要だ。小林は先のインタビューで今後の夢をこう語っている。
「ひとつはボカロPのような新しいクリエイターとの出会いで、奇跡的な化学反応を起こしたい。もうひとつは、リアルなバンドと、アレンジからスタジオに入って作品を作りたい。そして夢を言うと、世界に出たい。着々と計画しています。日本のシンガーとして〈SXSW〉とか出ようと真面目に思っています。」
ドンの一声によって右往左往するテレビ番組やスポーツ新聞といった“オワコン”オールドメディアは、どんな気持ちで小林を見ているのだろうか?
(江崎理生)
最終更新:2015.11.25 11:29
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