菅義偉“総理”誕生で政府は権力のために不正を働く「忖度官僚」だらけに! 圧力をかけられた元官僚たちが語る恐怖支配の手口

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自民党HPより


「密室政治による茶番劇・出来レース」の末、本日14日、菅義偉氏が自民党総裁に選ばれた。16日に臨時国会でおこなわれる首班指名選挙を経ることになるが、事実上、菅総理が誕生したということになる。

 だが、この新たな菅政権が安倍首相時代をはるかに上回る恐怖政権となることは火を見るよりも明らか。総裁選の最中から「まずは自分でなんとかする」という「まずは自助」を掲げたことも象徴的だったが、露骨だったのは、昨日13日出演した『日曜報道 THE PRIME』(フジテレビ)での発言だ。

 同番組では、菅氏とも昵懇の関係にある橋下徹氏が「政治的に決定したあとに官僚が反対してきた場合、異動させるのか、異動させないならどうするのか。安倍政権に対する批判で内閣人事局の問題ありますが、断固異動させるのか、異動しないならどういうかたちで」などと総裁選候補者に質問。すると、菅氏はこう答えた。

「私ども、選挙で選ばれてますから、何をやるかという方向が決定したのに反対するのであれば異動してもらいます」

 政権の意向に歯向かう官僚は異動させる──。ようするに、菅氏は「現場の声に耳を傾ける気などさらさらないし異論を唱える者は排除する。弾かれたくなければ忖度しろ、言うことを黙ってきけ」と恫喝したのだ。

 森友問題では安倍首相の「私や妻が関係していたら首相をやめる」という発言を端緒にして公文書の改ざんが命じられ、それに猛反発したのに聞き入れられず従わされた近畿財務局の職員・赤木俊夫さんは自殺にまで追い詰められた。このような事件を起こしておきながら、公然と「恐怖政治」を敷くことを断言するとは……。

 首相になる前から横暴さを隠そうともせずおこなわれた、この「独裁」宣言。しかも、『日曜報道 THE PRIME』では、安倍政権下で官僚の忖度を引き出す役割を担ってきた内閣人事局について見直す点はないかと問われると、菅氏は「ないと思います」と平然と答え、「懸案はまず大臣に入ってくる。大臣は自分の省庁のことをしっかりみている。大臣が了解しなければ動かすことはしない」と述べた。

 菅氏は8日放送の『news23』(TBS)でも、「大臣を蹴飛ばして官邸で人事をやることはないんです。それは大臣がそれぞれの省庁に責任持っているわけですから」などと強弁し、官邸主導の人事を否定したが、それはまったくの嘘だ。

 実際、12日放送の『報道特集』(TBS)では、前川喜平・元文科事務次官が「以前も『官邸の了解を取る』という手続きはあったんですけども、大概は官邸はOKをしてたんですけども、菅官房長官からはダメ出しを食らうと。拒否権を発動されるということがよくありました」と言い、その具体例についてこう明かしていた。

「文化庁長官の人事で、文科省からの内部登用というかたちで当時の大臣の了解をもらって官邸に持っていって、官邸で(官房)副長官の杉田(和博)さんの感触はよかったですけども、官房長官にあがったら、これを差し替えさせられたと、こういうようなケースはありました」

 しかも、菅氏はすでに安倍政権下で「自分の意向に背く奴は左遷する」という官僚人事を実行してきた。その最たる例が、2014年に「ふるさと納税」をめぐって菅官房長官に異を唱えた総務省官僚だった平嶋彰英氏の人事だ。

 ふるさと納税は総務相時代の菅氏の肝いり政策だが、2014年に官房長官だった菅氏は自治体に寄付する上限額の倍増などを指示。これに対し、当時、総務相の自治税務局長だった平嶋氏は「消費増税をお願いするなか、高所得者の節税対策になっているのはおかしい」と、菅官房長官に直接、問題点を説明したという。しかし、菅官房長官の態度は冷淡なものだった。

「『俺はふるさとに純粋に寄付している人をいっぱい知っている』と言われ、資料も渡したが、すぐ返されました。俺に文句言うな、という感じでした」(前出『報道特集』より平嶋氏の証言)

 だが、菅官房長官はただたんに訴えを無視しただけではなかった。平嶋氏が説明に行ったあとには、「総務省の上層部からも電話がかかってきて、これ以上は何も言わないように忠告されました」(「週刊朝日」オンライン版10日付、平嶋氏インタビューより)といい、さらに翌年の2015年の人事で、事務次官候補とも呼ばれた平嶋氏が、そのコースから外れる自治大学校長に異動となったのだ。

 この人事の背景に何があったのか。じつは毎日新聞2017年6月3日付記事には、こうある。

〈2015年夏の総務省人事で、高市早苗総務相がある幹部の昇格を提案したが、菅義偉官房長官が「それだけは許さない」と拒否。高市氏は麻生太郎副総理から「内閣人事局はそういう所だ。閣僚に人事権はなくなったんだ」と諭され、断念に追い込まれた。この幹部は菅氏が主導したふるさと納税創設を巡る規制緩和に反対していた。〉

 この「幹部」とは明らかに平嶋氏のことだが、つまり、菅官房長官は「楯突く者はこうなる」と見せしめに左遷したのである。

 平嶋氏自身も「自分のことをきっかけに『官邸に何を言ってもダメだ』という雰囲気ができた」(前出『報道特集』)と語っているが、自分の肝いり政策の問題を指摘されただけで権力にものを言わせて人事で干しあげたこの一件は、他の官僚たちを萎縮させたことは間違いない。

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