総裁選で自民党がまた新聞社に圧力文書! 菅の圧倒的優勢でも「公平・公正な報道」を求めたのは政権誕生後の圧力を正当化するため

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自由民主党公式サイトより


 ワイドショーをはじめとしてメディアでは自民党総裁選を連日取り上げ、密室政治によって勝利が決まった状態にある菅義偉官房長官を中心に特集を組み、すでに話題は「菅内閣」の組閣や二番手争いに移っているが、そんななか、またも自民党がメディアに対し「公平・公正な報道」を求める文書を出していた。

 自民党の野田毅・総裁選挙管理委員長は7日付で新聞・通信各社に対して文書を出し、総裁選に出馬している3候補について〈インタビューや取材記事、写真の掲載に関し「内容、掲載面積などについて、必ず各候補者を平等・公平に扱って下さるようお願いいたします」と求めた〉(東京新聞9日付)というのだ。

 言っておくが、総裁選は一党の代表を決める選挙であり、公職選挙法は適用されない。むしろ総裁選報道で懸念されるのは、自民党だけをクローズアップすることが国政選挙の“事前運動”になりかねないことで、過去には総裁選のテレビ報道について「野党の動向も報道すべき」「各政党を公平に」という声があがってきた。実際、現在の民放のテレビ報道は自民党総裁選一色で、菅官房長官が解散総選挙を仕掛けるかどうかを焦点に伝えながら、一方で同時におこなわれた野党党首選は申し訳程度に報じるだけ。

 そうした国政選挙の事前運動が堂々と繰り広げられているなかで、公選法はもちろん、放送法など適用されない新聞にまでなんの根拠もない要請を出すとは、自民党は一体何様なのか。

 自民党は安倍首相と石破茂氏が一騎打ちとなった前回2018年の総選挙でも同様の文書を新聞・通信各社に出しているが、このときの目的は安倍首相の対抗馬である石破氏の単独のメディア露出を潰すためだった。というのも、このとき安倍首相は石破氏との論戦から逃げるため告示後に外交日程を入れ、公開討論や演説会の回数を減らしていた。そうしたなかで石破氏単独で主張する場を潰そうとメディアに圧力をかけたのだ。

 だが、今回は前回とは状況はまるで異なる。たしかに、「政治的空白を生まない」を理由に党員・党友投票を見送ったり、新型コロナを理由に街頭演説会をおこなわないなど、安倍自民党は露骨に菅官房長官を利するための選挙に仕立て上げたが、メディアはそうした「出来レース」を批判もせず、菅官房長官にばかりスポットをあてて報道しているからだ。

 その効果はてきめんで、実際に8月29・30日におこなわれた共同通信の世論調査では、次期首相に「誰がふさわしいか」という問いで石破氏が34.3%でトップ、菅官房長官は14.3%でしかなかったが、9月8・9日実施の同社世論調査では菅官房長官が50.2%と圧倒的に支持を伸ばしてトップに立ち、石破氏は30.9%に落ち込んだ。

 つまり、メディアは安倍首相の傀儡である菅官房長官のPRに勤しんでおり、何もわざわざ文書を出して水を差すようなことをする必要などどこにもないのである。

 今回、自民党がこんな要請文書を出した目的はむしろ、メディアへの恫喝それ自体にあるのではないか。公選法と関係のない総裁選で「すべての候補者を必ず平等に扱え」と迫ることでそれを既成事実とし、政治報道全般に適用しようとしているのでないか。たとえば、森友問題のような政権不正を野党が追及することを報道したら、「一方的だ」「政権や与党の主張も等しく同様に扱え」などと圧力をかける──。

 実際、安倍政権でこうしたメディア圧力を担ってきた張本人が、菅官房長官だ。菅官房長官はニュース番組やワイドショーなどの放送をいちいちチェックし、気にくわない報道やコメントがあればすぐさま上層部に圧力をかけてきた。

 2015年に『報道ステーション』(テレビ朝日)で古賀茂明氏が「I am not ABE」発言をおこなった際、番組放送中に抗議の電話とメールを送ったのは、当時、菅官房長官の秘書官だった中村格・現警察庁次長だと古賀氏が著書で明かしている。しかも、そのとき菅官房長官は中村秘書官と一緒に官邸で番組を視聴していたといわれている。

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