安倍首相「黒川検事長の“訓告”は検事総長の判断」はやはり嘘だった! 法務省の“懲戒”判断を官邸が拒否したことを法務省関係者が告発

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

責任を押し付けようとする官邸に法務省が反発し、「訓告」処分の裏が明るみに

 実際、「文藝春秋」5月号に掲載されたノンフィクション作家・森功氏のレポートによると、昨年内に黒川氏の検事総長就任の人事発表を閣議でおこなうつもりだった安倍官邸は12月になっても辞める意思を示さない稲田氏に焦り、年末から年始にかけて、法務省の辻裕教事務次官に〈官邸側の“圧力”を伝える役割〉を担わせたという。だが、それでも稲田検事総長の意思は固かったために、「定年延長」という脱法・違法の手段をとらざるを得なくなったのだ。

 つまり、脱法・違法の「定年延長」の閣議請議をおこなわなければならないところまで追い詰めたのは安倍官邸だというのに、安倍首相はそうした背景はすっ飛ばし最終的な形式の話を主張して、安倍官邸による人事介入という事実を「嘘」「フェイクニュース」のように印象付け、責任をすべて法務省に押し付けたのだ。

 森友公文書改ざん問題でもすべての責任を財務省に押し付けて逃げきった安倍首相だが、まったくどこまで国民をバカにする気なのか……。だが、今回はそううまくいくとは思えない。

 というのも、黒川氏をめぐる問題が世論の関心を呼び、大きくクローズアップされるなかで、法務・検察内では安倍官邸のやり方に反発が噴出しているというのだ。

「松尾邦弘・元検事総長ら検察OBが検察庁法改正に反対する意見書を法務省に提出したあたりから、捜査派の検察幹部だけでなく赤レンガ派の法務官僚からも『官邸の言いなりになっていていいのか』という声が飛び出すようになっています。黒川派だった法務省の辻事務次官は相変わらず官邸の意を受けて動いているが、省内では今回の失態で辻次官の評価が地に堕ちており、抑えがまったく効かなくなっている」(司法担当記者)

 実際、今回の黒川氏の処分問題に官邸の圧力があったことを伝えた共同通信のスクープも、〈複数の法務・検察関係者〉の証言から判明したもの。これは法務・検察の反発の高まりを象徴するもので、安倍首相を守るために罪をすべてかぶった森友公文書改ざんのときの財務省とは異なる様相を呈しているのだ。

 しかし、安倍官邸の姿勢はいまだに変わらない。安倍首相は黒川氏の訓告処分を、あたかも稲田検事総長の一存であるかのように主張したが、処分決定前から安倍官邸は稲田検事総長に監督責任を押し付けていた。これは、黒川氏の賭けマージャン問題を逆に利用して自分たちにとって“目の上のたんこぶ”である稲田検事総長を排除、河井克行・前法相の国会会期中の逮捕を必死に潰そうとしているためだ。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

安倍首相「黒川検事長の“訓告”は検事総長の判断」はやはり嘘だった! 法務省の“懲戒”判断を官邸が拒否したことを法務省関係者が告発のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。共同通信安倍晋三官邸検察庁法改正稲田伸夫編集部黒川弘務の記事ならリテラへ。

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄