マスコミの原発批判激減の裏に電力会社の広告漬け復活が! 関西電力、九州電力は広告費3倍増に

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原発広告を読売、産経に集中させ、批判的なメディアに見せしめ

 もうおわかりだと思うが、これ、電事連が「協力」との形でつくりだしているパブ記事、エネルギーミックス=原発温存に誘導する原発広告である。3.11以降、原発広告は「原発は安全・安心」「原発は安い」「放射能物質の危険性は大したことない」という趣旨のモロ出しのものから、学者やタレントが討論している風に擬態し、イデオロギー色を薄めながら、結果として原発を再稼働の方向へと向かわせるような内容に変貌を遂げた。だが、もちろんこれは原子力ムラが出演者(や所属する会社)にギャラを払って言わせていること。騙されてはいけない。

 また、3.11以降の原発広告の特徴としては、出稿主がメディアを選別しながら、社員である編集委員や記者を抑え込んでいることだ。福島事故以降、原子力ムラが主に出稿するのは、読売、産経、日経そして「週刊新潮」(新潮社)などのメディアであり、それ以前は掲載されていた朝日や毎日系からは姿を消す傾向にある。これは原発推進派の“身内”の関係性をより強固なものにしながら、巨額の広告出稿料を一部メディアにだけ集中させることで、電力会社や原発政策に批判的な報道をするマスコミに対して、ある種の“見せしめ”効果を狙ったものだ。

 こうした電力業界の戦略について、本サイトは3年前の記事ですでに指摘していた。だが、いま、あらためてマスコミを見渡せば、現在でも放射性物質や健康被害の問題を扱っているのは『報道ステーション』(テレビ朝日)などごく一部で、ほとんどは姿を消してしまった。その意味では、連中にとってこの作戦は成功しているのだろう。

 安倍政権と一心同体である原子力ムラのメディア戦略は、今後もどんどん巧妙化し、マスコミも再び一体化していくだろう。だが、ゆめゆめ忘れてはならない。3.11まで散々吹聴されてきた「原発は安全」というのは、まったくの嘘だった。そしてこのあまりに大きな代償を払った嘘は、電力業界だけではなく、カネに目がくらんだマスコミと文化人たちが共犯して作り上げたものだったのだ。

 本サイトでは今後も“原発とメディア”の問題を定期的にレポートしていくつもりだ。

最終更新:2019.03.12 11:17

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