『名探偵コナン ゼロの執行人』の公安礼賛がヒドい! 元公安担当記者・青木理が大ブレイクの“安室透”に絶句

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

公安・安室透を英雄視する『ゼロの執行人』に欠けている視点

 ようは公安が「国のため」「国を守る」などと言っているのは大嘘で、その実態は自分たち組織の予算や権益を守っているだけということなのだ。

 そう考えると、今回の『名探偵コナン ゼロの執行人』は、公安にとって「組織維持と拡大」の格好の宣伝映画になったともいえるだろう。安室の女性ファン=「安室の女」は興行収入を上げるために映画を観に行くことを、安室が公務員であることにちなんで「納税する」と言っているらしいが、ある意味、的を射た表現なのかもしれない。

 もうひとつ、安室は、作品中でも証拠の捏造、盗聴、でっち上げ逮捕……等々、違法捜査のオンパレードで“事件解決”にこぎつけるのだが、いささかの逡巡もなく「自ら行った違法作業のカタは自らつける」などと見得を切る。再び青木氏が苦笑して言う。

「ああいう違法捜査の描き方だけは実態に近いかも(笑)。警察官の手を払っただけで逮捕っていう場面が映画にも出てきたでしょう。実際に『転び公妨』って呼ばれる公安のお家芸があって、狙った人物を公安警察官が取り囲み、1人か2人がいきなり転んで『公務執行妨害だ!』といって逮捕してしまう。ただ、これも非常に気になったのは、映画の登場人物が『公安お得意の違法捜査』を半ば自慢げに語り、作品全体を通じても肯定的に描かれていたこと。ああいう違法捜査も『国を守るためならアリ』というニュアンスがプンプンと漂っていた」

 こうした描き方に、青木氏は大きな問題を感じたという。

「公安警察が仮に治安維持の任務に当たっているとしても、行き過ぎれば重大な人権侵害を引き起こす。テロは確かに怖いかもしれないけれど、国家の治安機関の暴走はテロよりはるかに怖い。実際に戦前・戦中の日本はそうだったし、今だって北朝鮮や中国を見れば分かるように、治安機関の力が強大な社会はロクなもんじゃない。いわば諸刃の剣である治安組織が内包する危険性、負の側面に触れないのは、いくら子ども向けのアニメとはいえ、表現作品としてどうなんだろうと思ってしまいますね」

 青木氏が言う通り、公安をここまで礼賛する映画も珍しい。そもそも日本には警察をヒーロー視するドラマや映画があふれかえっているとはいえ、たとえば『相棒』(テレビ朝日)などは公安の暗部をそれなりに描いてきた。『外事警察』(NHK)や『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(フジテレビ系)といった公安を主役にしたドラマでも、「自分たちが守っているのは何か」「本当に国民を守っているのか」といった逡巡が多少なりとも描かれた。

「アニメや特撮ものだってそうでしょう。かつての『ウルトラマン』や『ゴジラ』にしても、最近では宮崎駿監督の一連の作品も、作中には反戦や人権、環境保護といった人類共通のヒューマニズム的な要素が通奏低音のように流れていた。だから世界的にも高く評価されたのでしょう。でも、今回のコナン映画の通奏低音は何ですか。国を守る? 愛国? 少し前に賛否両論を巻き起こした『シン・ゴジラ』だって、左右どちらの解釈もできるような多層性があり、これほど単純じゃなかった」(青木氏)

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

『名探偵コナン ゼロの執行人』の公安礼賛がヒドい! 元公安担当記者・青木理が大ブレイクの“安室透”に絶句のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。セガサミーゼロの執行人公安名探偵コナン安室透編集部青木理の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 五輪の有観客開催強行のため菅首相が会見で空疎な嘘を連発!
2 組織委が五輪取材の海外メディアに「隔離0日」になる“抜け穴”例文を提示!
3 国会延長拒否の菅政権が「土地規制法案」だけ強行採決へ!その危険な中身
4 G7で“借りてきたネコ”状態の菅首相をヨイショするためNHKがフェイク!
5 講演で稼ぐネトウヨ文化人のビジネス
6 葵つかさが「松潤とは終わった」と
7 平井卓也のヤクザ並み恫喝はオリパラアプリのデタラメ発注をごまかすため! 
8 櫻井よしこ、西岡力、文春…朝日・慰安婦報道叩きのデタラメが次々露呈
9 JOC経理部長の飛び込み自殺で囁かれる「五輪招致買収」との関係,
10 「大阪の自宅死が全国最多」でも吉村知事を追及できないマスコミ 朝日も…
11 高須院長が田中事務局長と鈴木宗男に超法規的なリコール期限延長を陳情
12 吉本芸人「ほんこん」のサムすぎるネトウヨぶり!
13 五輪組織委の現役職員が異常な人件費と中抜きの実情を告発!
14 吉村知事の大阪府は「時短協力金」支給も大幅遅れでダントツ最下位! 
15 小倉優香の番組中「辞めさせてください」の本当の理由は番組のセクハラ
16 保釈 河井案里被告と菅首相の特別な関係を物語る”パンケーキ動画”
17 変異株クラスター発生のなか…政府は病床使用率の変更
18 セカオワFukaseのいじめ発言
19 五輪選手の親はみんな“毒親”なのか?
20 竹中平蔵パソナの利益が前年の10倍以上に!五輪とコロナ対策事業のおかげ
1JOC経理部長の飛び込み自殺で囁かれる「五輪招致買収」との関係,
2五輪組織委の現役職員が異常な人件費と中抜きの実情を告発!
3炎上、竹中平蔵がYouTubeで「一部の既得権者が利益」とおまゆう発言
4「大阪の自宅死が全国最多」でも吉村知事を追及できないマスコミ 朝日も…
5変異株クラスター発生のなか…政府は病床使用率の変更
6組織委が五輪取材の海外メディアに「隔離0日」になる“抜け穴”例文を提示!
7G7で“借りてきたネコ”状態の菅首相をヨイショするためNHKがフェイク!
8平井卓也のヤクザ並み恫喝はオリパラアプリのデタラメ発注をごまかすため! 
9国会延長拒否の菅政権が「土地規制法案」だけ強行採決へ!その危険な中身
10吉村知事の大阪府は「時短協力金」支給も大幅遅れでダントツ最下位! 
11高須院長が田中事務局長と鈴木宗男に超法規的なリコール期限延長を陳情
12聖火リレーの醜いスポンサーファースト 子どもにスポンサー品の着用強要
13五輪映画監督の河瀨直美が露骨な五輪礼賛発言、反対の声を八つ当たり扱い!
14五輪の有観客開催強行のため菅首相が会見で空疎な嘘を連発!
マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄