「アベ政治を許さない」と揮毫した俳人・金子兜太 生前語った戦争への危機感とデモへの期待「今こそ大事な時」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
kaneko_180223_top.jpg
『金子兜太 いとうせいこうが選んだ「平和の俳句」』(小学館)

 今月20日、俳人の金子兜太氏が亡くなった。98歳だった。

 金子氏といえば、近年では、安保法制に対する抗議デモなどで盛んに用いられた「アベ政治を許さない」の文字を揮毫した人物としてもよく知られており、一貫して平和を訴え続けてきた人物であった。

 2015年からは東京新聞でいとうせいこう氏とともに、読者から募った平和に関する俳句を選評する「平和の俳句」欄を担当し、その仕事は『金子兜太 いとうせいこうが選んだ「平和の俳句」』(小学館)にまとまっている。

 2018年2月22日付東京新聞ではこの訃報を受けて、いとうせいこう氏が〈現代俳句における偉大な業績はもちろんのこと、社会に関わる筋の通った活動にも目覚ましいものがあった。文学者として、また戦争体験者としての世界、そして人間への深い洞察はいつまでも私たちを導くだろう〉と追悼の言葉を寄せているが、金子氏は、俳句はもちろんのこと、メディアへの出演なども通じて盛んに平和の尊さを伝えようとしてきた。

 その背景には自らの壮絶な戦争体験がある。1919年に埼玉県で生まれた金子氏は、東京帝国大学卒業後に日本銀行へ就職するものの、すぐに海軍経理学校に行き、1944年3月には海軍主計中尉としてトラック島(現在のチューク諸島)に送られている。

 トラック島は連合艦隊の拠点基地でもある重要な場所だったが、金子氏が着任したときにはもうすでにアメリカの機動部隊による激しい空襲を受け、軍艦や貨物船や航空機は壊滅的被害を受けていた。補給用の零戦もほぼ全滅という状態のなか、サイパン島が陥落するとトラック島は完全に孤立。武器や弾薬はもちろん、食料の補給も絶たれた。こうしてトラック島では多くの兵士が餓死していくことになる。

「食料調達もうまくいきませんでした。
 島でサツマイモの栽培を始めたのですが、害虫が出て、ほぼ全滅してしまったのです。虫でもコウモリでも、何でも食べました。空腹に耐えかねて、拾い食いをしたり、南洋ホウレンソウと呼んでいた草を海水で煮て食べたり。当然、腹を下します。弱っているところに下痢でさらに体力を消耗して、次々と仲間が死んでいった。屈強でごつかった荒くれ者たちが、最後はやせ細り、仏さんのようなきれいな顔で冷たくなっていく。たまらなかったですね」(「FRIDAY」15年8月28日号/講談社)

 トラック島で金子氏が襲われた命の危機は食糧難だけではない。もっと直接的な九死に一生を得るような体験もしている。「本の窓」(小学館)2012年10月号に掲載された菅原文太氏との対談ではこのような恐ろしい記憶を語っている。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

「アベ政治を許さない」と揮毫した俳人・金子兜太 生前語った戦争への危機感とデモへの期待「今こそ大事な時」のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。編集部金子兜太の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 八代の降板なし『ひるおび!』のダブスタ 室井佑月と上地雄輔で対応の差
2 倉持仁院長の総裁選をめぐる正論に橋下徹やネトウヨがいちゃもん
3 山口敬之の逮捕をツブした中村格の警察庁長官就任に広がる抗議!
4 「詩織さん全面勝訴」で証明された警察と検察のおかしさ! 
5 河野太郎に実は「コロナわかってない」説! 今頃、パルスオキシメーター解説
6 高市早苗が右翼隠しに躍起! 反ワクチン極右活動家が高市支持デモ計画も
7 黒人差別問題でK-POPファンが差別主義者を撃退!
8 葵つかさが「松潤とは終わった」と
9 八代の共産党攻撃の根拠「公安調査庁」がまるで共産党PRの“失笑”報告書
10 安倍晋三が「統一教会」イベントでトランプと演説!同性婚や夫婦別姓を攻撃
11 総裁選に騙されるな、政府のコロナ対策の酷さは全く変わってない! 
12 森友再調査問われ河野、岸田が呆れた忖度発言! 高市は桜で大嘘
13 八代英輝弁護士が「共産党は党綱領に暴力的革命」とデマ、維新の政治家も丸乗り!
14 共謀罪で小林多喜二の悲劇が再び現実に
15 安倍が支援、高市早苗が「さもしい顔して貰えるもの貰う国民ばかり」
16 東京五輪チケットに「首相枠」、聖火ランナーも「桜を見る会」状態
17 山口敬之氏が詩織さんに卑劣すぎる反論
18 室井佑月の『ひるおび!』降板で麻木久仁子が滝川クリステルに疑問
19 安倍晋三の総裁選支配に今井尚哉、北村滋の二大側近がまたぞろ暗躍か!
20 高市早苗が政治資金不正で刑事告発!
1安倍晋三が「統一教会」イベントでトランプと演説!同性婚や夫婦別姓を攻撃
2八代英輝弁護士が「共産党は党綱領に暴力的革命」とデマ、維新の政治家も丸乗り!
3山口敬之の逮捕をツブした中村格の警察庁長官就任に広がる抗議!
4八代の共産党攻撃の根拠「公安調査庁」がまるで共産党PRの“失笑”報告書
5高市早苗にネトウヨが総結集、「天照大神の再来」とバカ騒ぎ、膳場貴子を攻撃
6総裁選に騙されるな、政府のコロナ対策の酷さは全く変わってない! 
7八代の降板なし『ひるおび!』のダブスタ 室井佑月と上地雄輔で対応の差
8河野太郎に実は「コロナわかってない」説! 今頃、パルスオキシメーター解説
9高市早苗が右翼隠しに躍起! 反ワクチン極右活動家が高市支持デモ計画も
10 森友再調査問われ河野、岸田が呆れた忖度発言! 高市は桜で大嘘
11河野太郎が会見で露骨な安倍忖度!森友再調査の質問に答えずワクチンで大嘘
12自民党政権が「一般病床削減」を継続、看護師5万人削減の計画も
13安倍晋三の総裁選支配に今井尚哉、北村滋の二大側近がまたぞろ暗躍か!
14DHCテレビが敗訴判決!辛淑玉が語る「犬笛によるヘイト」と判決 
15倉持仁院長の総裁選をめぐる正論に橋下徹やネトウヨがいちゃもん

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄