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国連が、安倍政権によるメディア圧力に是正勧告へ! 人権理事会で日本の「報道の自由」が侵害されていると懸念の声続出
高市「電波停止」発言を、池上彰は「欧米の民主主義国なら、政権がひっくり返ってしまいかねない」と批判
この答弁に対し、奥野議員は「放送法4条は昔から法規範性のない努力義務だとずっと言われてきて、だから行政指導も行われてこなかった」「この解釈の変更は非常に報道の萎縮を生むと思う。ぜひ撤回していただきたい」と追及したのだが、その上で高市総務相は「撤回はいたしません」と断言。さらにその4日後には、“政治的に公平かどうかは放送局の番組全体で判断される”という従来解釈を変更する「一つ一つの番組を見て、全体を判断することは当然」との政府統一見解が発表されたのである。
こうした一連の安倍政権の動きは、さすがに国内でもジャーナリストたちが反論した。たとえば池上彰氏は、朝日新聞の連載コラムで〈国が放送局に電波停止を命じることができる。まるで中国政府がやるようなことを平然と言ってのける大臣がいる。驚くべきことです。欧米の民主主義国なら、政権がひっくり返ってしまいかねない発言です〉と痛烈に批判した。
また同年2月29日には、田原総一朗氏ほかテレビで活躍するジャーナリストたち6名が、高市「電波停止」発言を批判する共同声明を発表し、日本外国特派員協会で会見を行った。そこでは複数テレビ局関係者たちの〈気付けば、街録で政権と同じ考えを話してくれる人を、何時間でもかけて探しまくって放送している。気付けば、政権批判の強い評論家を出演させなくなっている〉など、生々しい現場の実態も代読された。しかし、こうした批判もわずか数カ月で霧消していってしまったことは言うまでもない。
こうして振り返ると、放送法4条を悪用した公権力による報道圧力は、時を経るごとにますます具体化されていったことがわかる。そして現在、テレビでは安倍政権の代弁者めいた評論家や御用ジャーナリストばかりが重宝され、批判的報道も必ず政権の言い分を同程度垂れ流すなど、放送メディアは完全に腰砕け。政権が何も言わなくとも勝手に忖度し、自主規制に走るという言論統制体制が完成してしまったのだ。
前述の国連特別報告者・ケイ氏は、報告書のなかで放送法4条について、このように述べている。
〈(放送法4条の編集準則は、)世界標準として倫理的に正しいジャーナリズムの中枢とみなされるべき公正な期待ではある。しかし、政府から独立していない機関は、何が公正で何が公正でないかを決める立場にいるべきではない。(略)一般論として、仮に、いまはまだ報道を妨げていないとしても、このように広い規範を政府が判断するのは、(公権力の)ウォッチ・ドッグ=監視役としての「報道の自由」の抑止を招く。そのように特別報告者として考えている〉
その意味においても今回、国連人権理で各国から日本の「報道の自由」を懸念する声があがり、放送法4条の改正が提起されたことは、この国の民主主義にとって極めて有意義なことだ。わたしたちは、安倍政権による言論統制に対抗するためにも、報道における「公正」の意味を考え直すべきだろう。
(小杉みすず)
最終更新:2017.11.16 09:26
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