作品を模倣して性犯罪が起きたと警察が漫画家に“描くな”の圧力! 作家たちが一斉に反発、共謀罪施行後を危惧

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ちばてつやが戦前と比較して語る、国家権力による規制の始まり

 これは歴史が証明している。漫画家のちばてつや氏は、戦前に起こったことを例に出し、エロ・グロ・ナンセンスの規制こそが、国家権力による過度な規制の始まりであると警鐘を鳴らしたことがある。

〈戦前もまず、「エロ・グロ・ナンセンス」がやり玉にあがりました。エロ小説とかエロ写真とか…。「日本がこんな大変な時に、こんなものが出回っている」「こんな下品なものはこの世から消してしまえ」という雰囲気があった。そういうものは取り締まりやすいし、そのための法律も作りやすかったんですね。
 そのうち、同じ法律で新聞記事や本、放送の規制にまで広げていきました。国民の目をふさぎ、耳をふさぎ、口をふさぐというように、国民の考えそのものを取り締まっていくことになっていった。権力を持つ人たちは自分たちが持って行きたい方向へ、国民ごと国を持って行く。反対する人、自分たちにとって都合の悪い余計なことを言う人はどんどん牢屋に入れられた。それが戦前の日本だったんです。
 ぼくも5人の子どもがいました。世間には子どもに見せたくないものはたくさんあります。でも、たとえば何が「児童ポルノ」かは、権力を握った人たちが判断して取り締まることになる。しかも、ただ持っているだけでも処罰される。処罰の対象が漫画やアニメ表現にまで広げられると、さらに拡大解釈されかねない。どういう表現をするのか、報道をするのか、どういう集会が許されるのかということに発展しかねません〉(14年9月7日付しんぶん赤旗日曜版)

 政府は共謀罪について一般人は対象ではないなどと詭弁を弄し続けたが、彼らが対象としている人間はテロ組織などではなく、権力に楯突く人間すべてであることは火を見るより明らかである。共謀罪などまだ施行されていない状況ですらこんなことが起こるのだ。共謀罪が施行された後になにが起こるかなど推して知るべしである。

 そう遠くない未来、この国はもの言えぬディストピアとなる。この一件は、その先駆なのかもしれない。そうはならないことを願う。

最終更新:2017.06.18 08:39

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