トランプ恐怖は日本の「対米従属」の表れだ! トランプの無茶に「だったら米軍は出て行け」となぜいえない

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 しかも、在日米軍は日本を守るために駐留しているわけではない。アメリカにとって、日本は、中国やロシアの太平洋進出を防ぐための防波堤であり、「自国の利益のため」に基地を置いているにすぎない。

 それどころか、米軍はむしろ、日本に多大なリスクをもたらしてきた。いま、沖縄の人たちが苦しめられている騒音や安全上の問題はもちろん、米軍基地があることで、他国からターゲットにされてきたのだ。実際、北朝鮮が米国に核攻撃を行う際にも、まず沖縄とグアムの米軍基地が標的にされる可能性が高いと言われている。

 ようするに、在日米軍が撤退すれば、こうしたリスクが一気に軽減されたうえ、7000億円という無駄な金も不要になる。何を恐れることがあるのか。

 これに対し、米国べったりの国際政治学者や保守派の評論家などは、在日米軍が撤退したら日本は守れない、自衛隊による自主防衛に切り替えた場合、あらたな装備調達などで「数十兆円」かかるなどと主張しているが、バカも休み休み言って欲しい。これは上述したように、米軍が自国のために使っている装備も含めて日本がそのままやろうとした場合の試算だ。

 たとえば、元防衛官僚で、内閣官房副長官補も務めていた柳澤協二氏は「AERA」(16年5月30日号/朝日新聞出版)で、こうした在日米軍撤退時の防衛費激増説について「全くの誤り」としたうえで、自衛隊の実力は世界でトップ5に入っており、日本の領土、領海を守るだけなら、自衛隊だけで十分可能だと言っている。

 実際、日本の軍事支出は約409億ドルで、これは世界8位(2015年。ストックホルム国際平和研究所調べ)の規模。しかも、約5兆円もある日本の防衛予算のなかには米国からのゴリ押しによる無駄な予算も大量に含まれており、こうした予算を効果的に運用すれば、他国に侵略されない防衛体制を敷いてもお釣りがくるだろう。

 そう考えると、トランプは、戦後歴代政権が70年にわたってなしとげられなかった米軍基地問題を解決するのに、極めてシンプルな選択肢を示しているといってもいいのだ。しかも、そのボールは日本側が持っている。これは戦後日本にとって、過去最大にして唯一のビッグチャンスなのである。

 にもかかわらず、なぜ日本は米軍がいないと国土を守れないなどという幻想にとらわれ、リベラル派までが、「トランプが大統領になったら米軍に撤退されてしまう」と、大統領選を心配顔で見守っているのか。

 こうした空気は、「対米従属」が日本に浸透しきってしまっていることの表れだろう。『永続敗戦論──戦後日本の核心』(太田出版)で脚光を浴びた気鋭の政治学者・白井聡は発売中の「週刊東洋経済」(東洋経済新報社)11月12日号の特集「日米関係の大不安」で、こう書いている。

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