宇多田ヒカル「東京はなんて子育てしにくそう」発言は正しい! 英国と日本で育児への社会的ケアはこんなに違う

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 当然、ベビーカーがバッシング対象になることもない。同書では、宇多田が語っていたように、〈公園はもちろん、スーパーでも、飲食店やその他のお店でも、病院でも、公共交通機関でも、たいていの場所であれば、親たちはベビーカーでガンガン出かけて行く〉といい、〈電車やバスの車内でも、ベビーカーは邪魔者扱いされるわけではない。(中略)公共交通機関があらゆる人に利用されるのは、彼らにとって自明のことだからである〉と書かれている。

 しかも、親の自己責任や他人事として見て見ぬふりをされることもない。〈ベビーカーを押して駅の階段を上り下りする女性には、周囲から救いの手が差しのべられる。ベビーカーが立ち往生していれば、10秒と待たずして、見ず知らずの人の腕が伸びてくるのである〉というからだ。これも日本の光景とは大きく違う点だろう。

〈私にとって、東京で赤ちゃんを育てることは、なかなかオオゴトであった。産後は、赤ちゃんと一緒に室内で過ごすという風習に従い、孤立しがちであった。飲食店を利用するには、「子連れOK」という条件のお店を検索し、電車やバスでの移動中は、周りに迷惑をかけないように気を遣ってばかりいた。ところが、ロンドンでは、赤ちゃん連れはごくありふれた存在として、たいていの場所で、普通に受け入れられる。それが当たり前だという社会の認識や対応がある〉

 そして、赤ちゃんだけではなく母親の権利も同じように大事にされているのがイギリスだ。母親が犠牲を払って子育てに取り組むことが日本では美徳のように語られるが、イギリスでは何よりも“母親の意思”が尊重される。しかも、これは国をあげての提唱だ。イギリスの保健省が発行する冊子「妊娠の手引き」には、このように書かれていると著者はいう。

〈とにかく寝ること、寝るために家事はやめること、夜起きるのを分担すること、パートナーとリラックスすること、完璧な親はいないと認めること、助けを受け入れること。また、母親が外の世界とつながることの重要性も書かれている。人と会って自分の状況を話すこと、仕事に復帰すること〉

 この保健省の冊子では「あなた自身の生活」「あなた自身の人生」といった章が設けられているという。日本では子をもつと「母親」であることを第一に要求されるが、それとは違って「自分の生活、人生」を大事にしようと冊子は謳う。安倍政権が「女は30代前半までに産め」などと啓蒙するために発行しようとしていた「女性手帳」とは雲泥の差だ。

 さらに、イギリスの取り組みにおいて忘れてはいけないのが、「シュアスタート」という政策だ。労働党政権がはじめたこの政策は、「すべての子どもたちが人生の最善のスタートを切れる環境を提供する」ためにスタートした取り組みで、貧困の連鎖を食い止める狙いで貧困地域の子どもと親を対象に初期教育や健康管理、援助などを実施した。イギリスはこのプロジェクトに約870億円も投入したが、それは格差を是正することが経済力の強化になるからだ。

 かたや日本では子どもの6人に1人が貧困状態にあり、日本財団のレポートでもこのまま子どもの貧困を放置すると社会的損失は42兆9000億円にものぼると公表されているが、安倍首相が子どもの貧困対策として昨年行ったのは「募金をつのる」という、完全に他人任せのものだった。

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