強制わいせつ、窃盗、横領…年間99件もの警察不祥事が隠蔽されていた! 不祥事隠しの裏にマスコミとの癒着が

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 というのも、警察不祥事は、新聞やテレビなどの大マスコミにとって、行政機関では検察に次ぐ“メディアタブー”だからだ。その一番の要因は、言うまでもなく、警察がメディアにとって重要な情報源だということ。とくに新聞やテレビの社会部が扱う事件・事故報道の8割以上は警察発表に依存しており、新人記者は毎朝の“サツ回り”という各警察署への挨拶詣からキャリアを始める。ようは彼らにとって警察は一番のネタ元、お得意様なのだ。それゆえ、警察から睨まれると困る大マスコミは、組織的な警察不祥事を積極的に報じず、警察組織全体を批判する論説もめったに掲載しないのである。

 実際、過去には警察が不祥事を追及した新聞に対し、あからさまな“報復”をみまった事例も過去に明るみになっている。

 有名なのが2003年から04年にかけての北海道新聞の“道警裏金問題”追及キャンペーンだろう。03年、テレビ朝日『ザ・スクープ』が北海道警旭川中央署の裏金づくりをスクープすると、すかさず後追いした地元ブロック紙の北海道新聞は、翌年にかけて道警全体の裏金を徹底追及する調査報道を展開。最終的に道警は裏金の存在を認め不正支出の一部を返還、関係者3000人以上を処分するという大規模事件となり、道新の報道は高く評価され、新聞協会賞や日本ジャーナリスト会議大賞、菊池寛賞など数々の賞を受賞した。

 だが、その後北海道新聞を待ち受けていたのは、道警からのあからさまな嫌がらせだった。道警は個別取材を道新だけ拒否し、詳しい捜査資料を渡さず、記者クラブ加盟社による囲み取材でも道新記者のみを排除したという。さらに道警は道新に対して“報復捜査”とも言えるほどの徹底的なマーク開始し、あら探しを始めた。結果、04年に道新室蘭支社の元営業部次長が横領容疑で逮捕されたほか、当時の社長まで事情聴取を受け、翌年05年には裏金問題取材班のデスクとキャップが支社へ異動になり、取材班は崩壊。その裏では、道警との関係修復を望んだ道新上層部の意向があったと言われている。

 言うまでもなく、こうしたプレッシャーが露骨に働くのは、警察が逮捕権を有しているからだ。かつては新聞やテレビの社員が軽犯罪や法令違反を犯しても、警察がそれをもみ消したり発表を控えることで“恩”を売り、反対にマスコミは警察不祥事報道や警察批判を控えて“恩返し”をするという談合が常態化していた。あるいは新聞やテレビ記者のほうから提案し、所轄の警察関係者の不祥事を記事化しないかわりに、民間の事件モノの特ダネをもらうというような取引が横行している。

 また、新聞・テレビだけなく、週刊誌の編集長や記者などに対しても、警察は懇親会と称して酒や高級料理、ゴルフなどで接待漬けにし、そうすることで1990年代中頃まで警察マスコミのズブズブの関係は長らく続いてきた。

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