辺野古トンデモ判決の裏に裁判所の露骨人事! リベラルな裁判官を異動させ行政べったりの裁判官を抜擢

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 司法記者もこの指摘に同意し、こう解説する。

「前任の須田氏は『薬害C型肝炎九州訴訟』で国と製薬会社の責任を厳しく指弾して賠償を命じるなど、リベラルな判決を出した“過去”があるので、外されたと見るべきでしょう。そこへいくと多見谷氏は“アンチ住民”の態度が鮮明です。有名なのは2013年の成田空港訴訟で、成田空港用地内の農家の住民に空港会社が土地と建物の明け渡しを求めた裁判でしたが、住民側に明け渡しを命じる判決を出した。住民は『国は農家をやめて、死ねと言うのか』と訴えたが、裁判長は聞く耳を持たず、住民側の証人申請はほとんど却下されました。他にも行政訴訟では、建設工事を進める残土処理場を巡った千葉県の許可取り消しを住民が求めた裁判で訴えを棄却したりしています」

 今回の辺野古裁判でも、多見谷裁判長は露骨に国寄りの訴訟指揮を執った。翁長知事の本人尋問こそ認めたものの、稲嶺進名護市長ら8人の証人申請は却下したうえ、しかも、国側が早期結審を求めたのに応え、わずか2回の弁論で結審する“スピード審理”でもあった。判決にある「(新基地に)反対する民意に沿わないとしても、基地負担軽減を求める民意に反するとは言えない」などというのも、国を勝たせるための詭弁としか言いようのない理屈である。

 県側は判決に納得せず、すぐに上告を決めた。翁長知事も会見で、「地方自治制度を軽視し、沖縄県民の気持ちを踏みにじるあまりにも国に偏った判断。裁判所が政府の追認機関であることが明らかになり、大変失望している。三権分立という意味でも相当な禍根を残す」と怒りを隠さなかった。当然だろう。

 沖縄は太平洋戦争末期に日本本土防衛のため、住民の5人に1人が死ぬという夥しい犠牲を負った。戦後、1972年に返還されるまで長らくアメリカの支配下に置かれた。いまある基地のいくつかはこの間に、基地反対運動が激しくなった本土から押し付けられたものだ。海兵隊基地もこの時、本土から移設された。沖縄に米軍基地が集中しているのは必然ではない。

 その米軍基地をめぐって県と国が法廷で争うのは、1995年に当時の大田昌秀知事が米軍用地の強制使用に必要な代理署名を拒否して以来20年ぶりだ。この時も最高裁まで争われ、県側が敗訴した。だが、判事15人のうち6人は、アメリカ軍基地が集中する沖縄の負担の大きさを認め、軽減するためには政府の対応が必要だと指摘している。多見谷裁判長による今回の判決は、沖縄に米軍基地があることを疑わない、20年前よりも後退した「差別的判決」と言わざるをえない。

 翁長知事は会見の最後を「長い長い闘いになろうかと思う。新辺野古基地は絶対に造らせないという信念を持って、これからも頑張っていきたい」と締めくくった。だが、判決の当日、中央政界では、沖縄・北方相の鶴保庸介氏が訴訟について、「注文はたったひとつ、早く片付けてほしいということに尽きる」などと発言し、県民の感情を逆撫でした。一方、頼みの野党第一党も、民進党内極右を幹事長に据え「辺野古は堅持」「私はバリバリの保守」などと明言する人物が新代表に選ばれるようでは、お先真っ暗と言わざるをえない。
(野尻民夫)

最終更新:2017.11.24 06:58

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