明石家さんまが「福島のことを考えろ」と東京五輪開催を批判! 賄賂だけじゃない、五輪招致は間違いだらけ

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 当時は前述したように「五輪決定を国をあげて祝福」という全体主義的な空気が流れていたが、毅然とそのムードを批判したさんま。世間に迎合しない態度はさすがとしか言いようがないが、このさんまの発言は、感情論としてだけではなく批判としてじつに的を射たものだ。

 そもそも東京への五輪招致活動では、さかんに「五輪を東日本大震災からの復興のシンボルに」「復興五輪」という言葉が掲げられていた。たとえば前出の竹田理事長は「五輪を被災地の復興への活力とできるようにしていきたい」と勇ましく語っていた。だが、当然ながら彼らが進めるのは東京都内での五輪関連施設の大規模工事ばかりで、被災地のことなどまったく念頭にない。

 しかも、五輪関連の建設ラッシュなどのせいで労務単価が上がり、東京の工事費が高騰。毎日新聞15年9月23日の報道によれば、〈工事原価の水準を示す「建築費指数」(鉄筋コンクリート構造平均)は、05年平均を100とすると今年7月は116.5。東日本大震災前は100を下回っていたが、五輪決定後の13年秋から一気に上昇〉したという。挙げ句、〈復興工事が集中している被災地では人手不足に加え、建築資材費の高止まりにより採算が合わず、公共工事の入札不調が相次〉いでいるというから、五輪開催がむしろ被災地の復興を妨げているのだ。

 だが、工事費や資材費の高騰は、五輪開催地に立候補した11年7月の段階から、復興工事があることを前提とするのだから当然、予想できた話だ。しかし、招致活動中、当時の猪瀬直樹東京都知事は〈2020東京五輪は神宮の国立競技場を改築するがほとんど40年前の五輪施設をそのまま使うので世界一カネのかからない五輪なのです〉と説明。これがとんだ嘘だったことは周知の通りだが、新国立競技場の建設費が当初の1300億円から3000億円に跳ね上がるという問題が露呈すると、政府と日本スポーツ振興センター(JSC)は“ザハ・ハディド氏のデザインが特殊だから”と建築家に責任を押し付けた。これに対してザハ氏は〈東京の建設コストの高騰〉や〈労働力不足〉などが原因だと反論。新国立競技場の問題ひとつとっても、被災地の復興工事とかち合うことを無視した結果が原因となっていたと言えるのではないか。

「復興五輪」とキレイごとを並べて震災をだしに使い、そのじつ原発事故が議論の俎上にのると福島を除け者にした上、いざ開催が決まれば被災地復興を阻害する──。もはやこうしたタイミングで五輪開催を押し進めたことは“外道”と呼ぶべきだが、その裏側では、もっと醜い“五輪戦犯”ともいえる政治家たちのやりとりがあった。

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