平安時代ならベッキーも矢口も喜多嶋舞も叩かれなかった!? 春画で話題の江戸時代より平安のエロのほうが過激

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〈この傾向に拍車を掛けたのが平安中期にピークを迎える「外戚政治」。
 娘を天皇家に入内させ、生まれた皇子の後見役として、母方の親族が政権を握る、いわば「女の性」を道具に一族繁栄する「セックス政治」です。
 ここで勝利を収めるにはとにかく娘が、他の妃より少しでも早く、少しでも多く、東宮や天皇の子を生むこと。
 つまり「セックスしてもらうこと」です。
 だから平安貴族は総力を挙げて、娘を「男がセックスしたい女」に仕立てます〉

 こういった「性」をめぐる状況が、『源氏物語』をはじめ近代でも読み継がれる多くの文学が生み出される土壌をつくりだすことになるのである。

 しかし、それだけ豊かなエロティシズムを育んでいた日本の文化が、なぜミソジニーやセクハラを孕んだものへと変わっていってしまったのか。そこには、「母系的な社会」から「父系社会」へというパラダイムシフトが大きな影響を与えていた。

〈江戸時代のエロがレベルダウンしたのは、何と言っても、父から息子へ財産が伝承される父系的な社会となったため、性道徳が厳しくなったからでしょう。「どの父の子か」が重視されるため、女が夫以外の男とセックスするのが重い罪となり、儒教思想の普及も手伝って、とくに女側が色恋を楽しむ環境が減っていたのです。
 法制史家の石井良助によると、妻の姦通に関する規定が増えてくるのは戦国時代からで、鎌倉時代の『貞永式目』(1232)では、妻と密通した男を殺した夫は普通の殺人と同様に処罰されていたのが、天文(1532〜1555)ころの分国法(戦国大名による法令)では適法な行為と認められるようになります(『日本婚姻法史』)。そして江戸時代の『公事方御定書』(1742)では、夫は不義密通を犯した妻とその相手を殺しても、罪を問われないことになる(氏家幹人『不義密通』)〉

「春画」に描かれるエロティシズムは、現代に生きる我々の目にはとても新鮮に映るものであり、その温故知新的な発想がこの「春画ブーム」の礎にあると思われる。しかし、これまで述べてきた通り、平安時代の文化には、江戸時代のものとは比べ物にならないぐらい活き活きとしたエロ文化が息づいている。「春画」で日本の伝統的なエロティシズムに興味をもった方は、是非とも、より芳醇なエロティシズムを誇る平安宮廷文学にも触れていただければと思う次第である。
(田中 教)

最終更新:2018.10.18 05:05

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