思わず涙した忌野清志郎の歌…レクイエムの名手・菊地成孔がマイケル・ジャクソン、団鬼六の死に思ったこと

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
kikuchinaruyoshi_01_151205.jpg
『レクイエムの名手 菊地成孔追悼文集』(亜紀書房)

 日本人ジャズミュージシャンとして初めてジャズの名門レーベル「Impulse! Records」と契約するという快挙を成し遂げたミュージシャンでありながら、東京大学、東京芸術大学、慶應義塾大学といった学校で非常勤講師として教鞭をとり、また、映画評論・エッセイ集など数々の著作をもつ文筆家でもある、そんな多彩な顔をもつ菊地成孔が新著『レクイエムの名手 菊地成孔追悼文集』(亜紀書房)を出版した。

 この本はタイトルの通り、菊地成孔が2004年から2015年にかけて、雑誌連載やブログ、自身の冠ラジオ番組などで故人に捧げた「レクイエム(鎮魂歌)」を集めた1冊。ライター・川勝正幸、ジャズ評論家・相倉久人、ジャズミュージシャン・菊地雅章といった生前関わりのあった人から、「glee」でフィン役を演じた俳優コーリー・モンテース、落語家・立川談志といった面識はないものの彼が強い思い入れをもっている人まで、総勢50本以上の「レクイエム」が収録されている。音楽はもちろん、映画・文学・心理学など、圧倒的な知識量をバックグランドとした評論で00年代以降のサブカルチャーを牽引してきた菊地成孔はどんな「レクイエム」を残してきたのか? 本稿ではそのなかから、印象的なテキストをいくつかご紹介していきたい。

 ジャズシーンで活躍する傍ら、セッションミュージシャンとしても多くの仕事を残してきた彼は、多ジャンルのミュージシャンと知己をもっており、浅川マキ、ウガンダ・トラなど、バラエティに富んだ音楽家たちとの思い出を本書に綴っている。そのなかでも特に印象的なのが、忌野清志郎とのエピソードだ。

 90年代、菊地成孔は師匠である山下洋輔(タモリを発掘、福岡から上京させた人物としても有名)のバンドの一員として、忌野清志郎が主催する川崎クラブチッタでの年越しイベントに出演した。しかし、そのイベントのオーディエンスはロック好きを中心とした聴衆で、彼らを前に演奏は空を切るだけだったという。

〈チッタのフロアを埋め尽くしたロックファン達を前にした、ボトム(ベース)がない、グランドピアノ、サックス、ドラムセットだけの完全アコースティックの演奏は、どれだけ扇情的な演奏を行っても、全くの無力でした。アウェイというレヴェルではない、あれほどの無力感を感じた演奏は、ワタシの乏しい音楽歴の中でも、あれっきりです〉
〈演奏は30分間でしたが、会場全体がどん引きでシーンとする事も、ヤジが飛ぶ事も、一切ありませんでした。我々の演奏は、やってるかやってないか、演奏なのかサウンドチェックなのか判らないものとして理解され、演奏中は、休憩中と全く同じざわつきが、同じデシベル値のまま全く止まらず、演奏は空を切ると言うより、一秒ごとに、演奏している我々三人だけの独占物になっていきました〉

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

レクイエムの名手 菊地成孔追悼文集

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

思わず涙した忌野清志郎の歌…レクイエムの名手・菊地成孔がマイケル・ジャクソン、団鬼六の死に思ったことのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。世代文化系新田 樹の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
いいね! 数
1 古市憲寿「平成くん、さようなら」と「終末期医療打ち切れ」論
2 日露外相会談の大失態を必死で隠す安倍政権
3 松本人志が指原莉乃に悪質セクハラ差別発言! 
4 封印されたAKB48盗撮事件
5 東京五輪が日中戦争でなくなる?
6 追悼!市原悦子が生前語った安倍政権への怒り、反戦の思い
7 JOC竹田会長が女性死なせる交通事故
8 つんく♂が秋元のメンバー差別に
9 純烈・友井報道で芸能マスコミジャニーズ御用体質 
10 NGT48問題でも秋元康の“無責任”
11 産経と菅官房長官が「辺野古赤土投入問題」追及の望月記者を攻撃
12 文春が東京五輪を!電通元専務に金
13 元旦朝生のウーマン村本は間違ってない
14 古舘の後任に浮上!安住紳一郎の悪評
15 安倍政権の反韓煽動が酷い!「韓国へ渡航禁止」まで主張
16 収賄疑惑の甘利大臣がバンダイとも
17 仏司法当局が東京五輪誘致汚職で竹田恒和JOC会長の捜査開始!
18 古市憲寿と落合陽一「終末医療やめろ」論の酷さ
19 安倍首相の“サンゴ移植した”嘘を追及しない本土メディア
20 AKBと電通のシークレット飲み会
1安倍首相が辺野古の土砂投入で「サンゴを移した」と大嘘
2安室、上田、芸能人よく言った大賞前編
3 消費増税反対の内閣官房参与“退職”の裏に官邸の圧力
4クイーンのB・メイ辺野古署名に『ボヘラプ』鑑賞の安倍首相は…
5追悼!市原悦子が生前語った安倍政権への怒り、反戦の思い
6元日『相棒』が今年も安倍政権批判!
7ローラ、村本、りゅうちぇる芸能人よく言った大賞後編
8所ジョージが沖縄米軍基地反対ソング! 
9ウーマン村本、ローラ…権力批判芸能人を排除する醜悪メディア
10安倍首相の“サンゴ移植した”嘘を追及しない本土メディア
11早野龍五・被曝論文に重大誤り!お墨付き与えた糸井重里の責任
12たけしの性差別発言はなぜ問題にならない?
13安倍首相の改憲キャンペーンに松本人志、小藪千豊らが協力?
14 仏司法当局が東京五輪誘致汚職で竹田恒和JOC会長の捜査開始!
15産経と菅官房長官が「辺野古赤土投入問題」追及の望月記者を攻撃
16 ゴーン前会長出廷で露呈した特捜部の無理スジ国策捜査
17 バカリズム、指原莉乃が外国人労働者問題で差別丸出し
18日露外相会談の大失態を必死で隠す安倍政権
19安倍政権の反韓煽動が酷い!「韓国へ渡航禁止」まで主張
20平沢勝栄だけじゃない自民党の性差別 

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄