流行語大賞への「安倍、安保批判が多すぎ」クレームは的外れ! 政治ワードは昔から、逆に風刺を許さない風潮が

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 たしかに数は多い印象を受けるが、しかし、安保法の成立は今後の国家運営に深くかかわる重大な問題であることは明白だ。しかも、各社の世論調査でも過半数を超える割合の人たちが安保法制に反対し、さらには大多数が先の国会での成立は早急すぎるとして反対していた。つまり、候補に挙がっているのはいずれも世相が反映された言葉なのだ。

 逆に言えば、「安保関連が多すぎる」と批判する人は、安保法がどれだけ日本の未来を左右する重大な話だったかを理解していない、あるいは安保法制成立に賛成していた“少数派”なのだろう。

 もちろん、そうした人びとの「政権批判に偏りすぎ!」という声は、今年の候補が発表されるや否や、ネットやSNS上で噴出していたが、こうした流行語大賞候補への批判はいまに始まった話ではない。

 じつは昨年も、日本エレキテル連合の「ダメよ~ダメダメ」と、「集団的自衛権」の2語が年間大賞に選ばれたことで、「言葉を繋げると“集団的自衛権、ダメよ~ダメダメ”になる。これはおかしいだろ!」という批判が起こり、一昨年も候補に「コントロールされている」「ナチスの手口に学んだら」「アホノミクス」などといった安倍政権に批判的な言葉が並んでいたことに憤る声は挙がっていた。

 そして、怒りの矛先は審査員に向けられた。新語・流行語は、〈読者審査員のアンケートを参考に、『現代用語の基礎知識』編集部がノミネート語を選出。選考委員会によってトップテン、年間大賞語が選ばれる〉(HPより。以下同)が、その選考委員に難癖をつけはじめたのだ。現在の選考委員は、政治学者の姜尚中、クリエイターの箭内道彦、俳人の俵万智、漫画家のやくみつる、ジャーナリストの鳥越俊太郎、女優の室井滋、『現代用語の基礎知識』の清水均編集長の7名だが、批判者にとってはこの面子が「サヨクだらけ」「諸悪の根源」なのだそうだ。

 しかし、この選考委員がかかわっていない時代から、新語・流行語大賞というのは政治色が強く、かつ政権に批判的な言葉を多く入賞させてきた。1984年の第1回では中曽根康弘首相(当時)の「鈴虫発言」が銀賞に選ばれているが、翌年には同じく中曽根首相の「100ドルショッピング」を〈国民に舶来品を1人100ドル買って欲しいと訴えかけた。その姿に国民は半ばあきれ、皮肉を込めて流行語とした〉り、88年もリクルート事件の言い訳に明け暮れる政治家・官僚を批判した産経新聞の見出し「ふつうは“汚職”と申します」が選ばれている。

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