ライムスター宇多丸やECDが語るSEALDsの革新性…彼らは新しいシュプレヒコールをつくりだした!

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「キミドリの石黒」とは、思春期特有のぼんやりとした不安をヒップホップの歌詞に落とし込んだ伝説のラップグループ・キミドリの石黒景太のこと。彼はミュージシャンとしてのみならずデザイナーとしても高い地位を確立している。彼は当時「スタイリッシュ」でない従来のデモのあり方についてこう語っていたと磯部は証言する。

「旧来型のデモっていうのは、『ダサい』っていう言い方は彼はしなくて。『デザインの余地がある』みたいな話をしてたんですね」
「『いま、デザイナーとしていちばんやりたい仕事は何ですか?』みたいに、何気なく聞いた時に『デモだね。デモがいちばんデザイン足りてないと思うから』っていう言い方を彼はしたんですね」

 彼らはなぜこのように考えたのか? 「街頭デモに参加する」という行為は、「道行く人の視線を浴びる」ということに直結する。だから、「デモ」という表現を見栄えよく「デザイン」することは決しておろそかにしてはならないことだった。

「そもそもデモに参加すること自体が、見る側から見られる側に。やっぱりデモって可視化することだから。どうしても、そこのハードルだけは越えなきゃいけなくって。で、越えた人しか来ないわけよ。デモには。特に街頭のデモとかは、参加するともうすぐわかるんだけど、渋谷の公園通りを車道を下って行くともう、ものすごい視線を浴びるわけ。っていうところを、一線を越えた、そのハードルを越えちゃったらば、やっぱりかっこよくなかったら士気も上がらないし、せっかくこっち来てんのにっていう。(中略)そこはちゃんとデザインしてあげないと。参加する人に失礼っていうのもあるし」

 そして、磯部もこう付け加える。

「ルーティン化してるっていうか、『ああ、デモね』みたいな感じに通っている人に見られちゃうんじゃなくて、『こういうデモもあるんだ』とか、そういうまず、『ちょっと意見聞いてみよう』っていう風に思わせるっていうのがデザインの力みたいなのもあるのかな?って」

 これは、SEALDsにも共通する考えだ。国会前デモに実際に参加した人がSEALDsのデモを見てとりわけ印象に残るのは、クールにデザインされたフライヤーやプラカード。それは、仰々しい自分の所属団体ののぼり旗を立てているような従来のデモとは明らかに異質なものだ。もちろんそれは意識的に行っているものである。高橋源一郎とSEALDsの対談本『民主主義ってなんだ?』(河出書房新社)には、牛田と奥田愛基の「デザイン」に関するこだわりがよく分かるエピソードが収録されている。SEALDsの派生団体SEALDs TOHOKUが初めてデモを行った時の逸話だ。

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