又吉も危ない? 芥川賞獲っても食えない! 電話は止められ、息子の貯金箱から硬貨を拝借…厳しすぎる作家の金銭事情

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
150619big.jpg
“芸人”より“作家”としての扱いが増える又吉だが、彼も例外ではない?(「ダ・ヴィンチ」2015年7月号/KADOKAWA)

 又吉直樹による『火花』(文藝春秋)が、純文学としては異例の230万部を突破し、さらに、鳴り物入りで日本での運用をスタートするオンラインストリーミングサービス・Netflixで2016年に映像化することも発表されるなど、又吉の芥川賞受賞フィーバーは、受賞から一カ月以上経ったいまも留まるところを知らない。

 世間からこれだけの注目を集める「芥川賞」。しかし、同賞を受賞したからといって、それだけで専業作家として食べられるようになるとは限らないようだ。「宝島」(宝島社)15年10月号で、10年に芥川賞を受賞した西村賢太は語る。

「原稿料も受賞前と比べて1枚につき500円しか上がっていません」
「最近は昔と違って各出版社が横並びで、作家ごとの原稿料水準を申し合わせてますからね。特別たくさん払ってくれるところもない」

 なんと、芥川賞を受賞したからといって原稿料はほとんど上がらないのだという。原稿料がダメなら、では、印税はどうか? 「夢の印税生活」なんて言葉もあるぐらいだ……。

 しかし、そんなものは夢のまた夢。長引く出版不況、特に、純文学をはじめとした小説は商業的に苦戦を強いられているジャンルだ。

 一冊の本を書いて作家が得られる印税額は出版界の慣例にならうと「本の定価×発行部数×10%-税金」という計算式になるのだが、竹内結子主演で映画化もされ、シリーズ累計100万部を超える『天国の本屋』(新潮社)というヒット作をもつ、松久淳ですら『中流作家入門』(KADOKAWA)でこう記している。

〈正確な数字は知らないけど、小説の新刊なんて1万部に届かない本が全体の90%とも95%とも言われている。5000部切ってる本の割合もそうとうなもの。つまり君たちはほとんどの本のタイトルすら知らないということになる。
 じゃあいま本屋さんに並んでる君たちが読んだことがない1500円の新刊小説、仮に部数を5000部と推測すると作家自身にいくら入るか、計算してみてごらん。きっとその作家が1年くらいかけて書いた渾身の1冊、その印税。結論は簡単。
「食えないじゃん」
 食えないんだよ。
 だからみんな、会社勤めを辞めなかったり、講師とかのバイトをしなくちゃいけないんだよ〉

 1年かけて75万円……。どんな賞を受賞しようと、いまや、作家収入のみで暮らせている人間などほとんどいないのだ。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

又吉も危ない? 芥川賞獲っても食えない! 電話は止められ、息子の貯金箱から硬貨を拝借…厳しすぎる作家の金銭事情のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。井川健二文学芥川賞の記事ならリテラへ。

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄